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狭い空間の階段を上っていくと…
風にもあおられ、腰がちょっと引け気味です。
到着したのは高さ80メートルの、巨大な風車の上!
観光気分なわけではありません。そこにはある狙いがありました。
ここは北九州市の響灘地区。海沿いに17基の風車がズラリと並びます。およそ15,000世帯分を発電しています。
ものづくりで成長した北九州市。いま力を入れるのが再生可能エネルギーです。
陸上だけでなく、洋上での風力発電も実験中。風の強い海上で安定して発電でき、今年度から25機を作ります。
そんななか、この手前の風車、メインの目的は発電ではないんです。
別の日には風車からぶら下がる人の姿が!
(リポーター)「一体何をしていたんですか。」(作業員)「風車の羽根の点検をしていました」
忍者のようにぶらさがっているのはある会社の社員。国内でも珍しい風車専門の管理会社、北拓です。
(北拓 伊藤課長)「こちらでは風力発電に関する様々なデータを監視しています。」
独自に開発した技術で風車の状態を遠隔で確認。異常があれば整備もします。
風車の設置は急速に増えています。その一方で日本に多い台風や雷のため故障は珍しくありません。
(日本経済新聞 山本記者)「風車など大きな設備を作れるメーカーが国内になく、多くの部品を輸入に頼るのが現状。(メンテナンスには)高所や海洋での作業であったり、電気設備などさまざまな知見が必要になり、人材不足が深刻になっています。」
海外メーカーに依頼すると機材やエンジニアの手配に時間がかかり、稼働を長く止めるという問題がありました。
そこで力を入れているのが国内の人材の育成です。
(指導員)「足は下、これは上。そうそう垂直ね。」(生徒)「難しい。全然上がらない」
この日に来ていたのはインターンシップの学生です。ロープで昇り降りする訓練を体験したり、風車に上って内部を見学したりしました。
(学生)「上っただけでこれだったので作業するのは大変」「原発の被害も大きかったと聞いた。再生可能エネルギーの仕事に携わりたい」
長さ40メートル、重さ7トンの風車の羽も研修用に用意されています。
実は北拓の本社は北海道の内陸・旭川市にあります。北九州に来たのは、風力発電の事業拡大をめざす市からの熱烈なオファーがきっかけでした。
(北九州市エネルギー産業拠点化推進課 白井担当課長)「目指しているのが洋上風力関連の総合拠点。響灘の地から全国に向けて、多様なサービスを展開していければと進めています」
部品製造の内製化からメンテナンスまで、新しい産業をいかに根付かせられるか、そのカギのひとつが人材の育成にありそうです。