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ずらりと並んだ可愛らしい形の車・・・イタリアのフィアット500。いわゆる「チンクエチェント」です。
名古屋市にある「チンクエチェント博物館」はその魅力を知ってもらおうと常時15台程度を展示、販売もしています。
この博物館には、ちょっと変わったチンクエチェントがありました。
この車、後ろのエンジンルームを開けると
実はこれ、エンジンをモーターに乗せ換えた電気自動車=EVなんです。
トランクルームを開けるとバッテリーがぎっしり。
窓を開けるには
(深津館長)「窓のハンドルはオリジナルのままになっている」
このフィアット500EV、販売は受注生産で、製作は本場イタリアの工場に委託。価格は660万円です。
フィアット500EVに乗ってみた
しかしなぜ、わざわざ電気自動車に作り換えたのでしょうか?
(深津館長)「今のガソリンエンジン、これが乗り続けていくのがちょっと厳しい時代になりつつある。この先、フィアット500を長く乗り続けていくための1つの手段としてEV、これを選択したっていう感じになる」
世界的な脱炭素化の流れを受けて去年7月、EU、欧州委員会はヨーロッパでのガソリン車の新車販売を2035年に事実上、禁止する案を発表しました。
「EV化への大きなうねりからチンクエチェントを守りたい」その思いからコンバートEVに乗り出しました。
(日本経済新聞・中尾記者)「往年の名車は存続の危機にある。クラシックカーをEV化して次の世代へつなごうという取り組みが出ている。そういった取り組みへの関心は高い一方で、コストや航続距離が短い課題があって、普及していくかは未知数」
2020年の受注開始以降、博物館に注文があったのは3台。
半田市に住む稲葉浩司さんです。この日は、点検のためにやってきました。
(稲葉さん)「きょうはいい感じで来ました」
(稲葉さん)「よっこいしょ。行きます」
(稲葉さん)「フィアット4台目。中学生のころに近所のおじさんが乗ってた。見た目がかわいいのが一番大きい」
車内を見ると、クーラーが・・・・ない。
持病がある稲葉さんにとって、夏は毎年大変です。
さらに航続距離は100キロ。充電施設もそれほど多くありません。
それでも乗り続けるのは、稲葉さんにとってこの車が、単なる移動手段の道具ではないからです。
稲葉さんはこれからも、チンクエチェントに乗り続けたいと話しています。