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流し込んでいるのはドロドロに溶けた鉄。一体何を作っているのでしょうか。
愛知県碧南市にある「石川鋳造」は、いわゆる鋳物メーカーです。
この会社の主力製品は…
(石川鋳造 石川社長)「これがですね、インゴット(金属の塊)を溶かす『るつぼ』というんです。」
るつぼとは、金属を熱して溶かすときにつかう鍋のようなもの。これは鉄製で、アルミを溶かします。
自動車部品メーカーのアルミ溶鉱炉の中に入っていて、るつぼの中で溶かしたアルミは、自動車のエンジンをつくる材料に使われます。
つまり「るつぼ」がなければエンジンは作れない。石川鋳造は、このるつぼでニッポンの車づくりを支えてきました。ところが…
(トヨタ自動車 豊田社長)「トヨタのバッテリーEVラインナップです」
(石川社長)「今後日本の車産業がエンジンから、ハイブリットや電気自動車にかわっていくだろう。」(Q. 受注数に変化はありますか?)「(るつぼは)ピーク時の4分の一くらいになっている」
るつぼに代わる製品として開発したのが…こちら。その名も「おもいのフライパン」です。どこの家庭にも必ずあり、鋳物の「熱伝導率の高さ」を生かせるという点に目をつけました。新製品の「頂」は、焼き面に波打つような溝があるのが特徴です。
このフライパン。一体どうやって作るのか?鋳物の型は砂を固めてつくります。型は上下2つでワンセット。下の型には…確かにフライパンの形がわかります。
焼き面に溝をつくる上側の型は企業秘密。2つの型を重ね合わせ、あとは穴から溶かした鉄を流しこみます。
型の中にある空洞に溶かした鉄が流れ込み、フライパンの溝ができます。うまく隙間に鉄が入り込まないと、思った通りの溝はできません。
(石川社長)「気温と湿度によって製品がごろっと変わる。その時の気温・湿度によってまず(鉄の)湯の温度を変える。」
これが湯。1500度以上で溶かした鉄のことです。ここから微妙な温度調整で、このときは1525度に。まさに熟練の技です。
鋳物メーカーのフライパン。使い勝手はどうなのでしょうか?
(ステーキせんだ 横地シェフ)「温度変化が(焼くのに)一番よくない。置いた瞬間に、普通のフライパンだと肉が冷たいので熱が下がる。そうするときれいに焼けない。(石川鋳造のフライパンは)厚みがあってすごく熱伝導がいいので、焼き色がすごくきれいにつく。」
さらに注目はこの溝。石川鋳造によりますと、まるで「網焼き」のように、肉の余分な油を落としてくれる効果があるといいます。
その味は…
(横地シェフ)「油を落としながら焼いているので、すごく触感がいいですね。」
石川鋳造がフライパン事業に乗り出したのは5年前。ただ当初は、ある悩みを抱えていました。
(石川社長)「正直本当にBtoCは素人の素人なので、売り方は最初はわからないこと知らないことがたくさん。そこが一番苦労した」
そこで試したのは、SNS。販売開始の1年半前から、試作品による調理の様子などを投稿し続けました。すると…
(石川社長)「出来ましたら一つお願いしますとか、早く売りなさいとかね。写真のクオリティ含め今思うとひどい部分もありますよ。でも必死だったのでそれがよかったのかと思います。」
(石川社長)「ひとついいものを作って売れて終わってしまう商品やメーカーは多い。そうならないために。鋳物を使った世にないものを作るべく試作している。」