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トヨタの人気車種「カムリ」。その最上級グレードにしか装備されていないパネルがあります。
(販売員)「“色合い”“ツヤ”。これでカムリをさらにラグジュアリーな感じにしております」
この波立つような造形は、「塗装」ではなく、ある特殊な「貼る」技術で作られています。生み出したのは、大阪のある町工場。
大阪市の南東に位置する、羽曳野市。のどかな住宅街の中にあるのが「布施真空」です。
これまでの発想を覆す製造現場にテレビカメラが初めて入ります。
社員が持ってきたのは、、、塗装前の車のボンネット。型の上に慎重に配置すると、その上を赤いフィルムが覆いました。
(野條さん)「これは、部品とフィルムを箱の中に密閉をして真空にする準備をしています」
言うや否やマシンの中は一瞬で真っ白に。真空になったのです。これで厚さ3ミリのフィルムを立体的な造形物に寸分の隙もなく密着することができるのです。
これが塗装ではなくフィルムを張る、世界初の技術、「TOM(トム)工法」というもの。
乾燥させて、あっという間に赤いボンネットが完成しました。
作ったのは、この部分。その他のパーツも分けて貼ることで、様々な色やデザインを組み合わせたオリジナルなカラーリングを実現することができます。
通常の自動車の塗装工程がこちらです。まったく生産方法が異なりますが、TOM工法には時代に合った優位性があると言います。
(社長)「塗装だと塗って乾かしての工程を何回も繰り返していきますので、CO2を削減しないといけない、そういったところの代替ということでいえば、非常にフィルム自身の熱効率も良くて、優位性というのがある」
塗装は、車1台を作るときに使う電力のなんと4割近くを占めるとされています。
フィルムを数回貼るだけのTOM工法の電力消費は、塗装の3分の1。
省エネも実現する布施真空のTOM工法は、このほどパナソニックやソニーグループなど名だたる大企業と並んで「日経優秀製品賞」に選ばれました。
(日経記者・解説)「最大の評価ポイントは、省エネ技術です。トヨタをはじめとする自動車メーカーも塗装の省エネ化をはかってきました。その中で今回まったく塗装とは違う方法を編み出したと。課題はコストです。量が増えないとフィルムのコストが下げられないというなかで、最初は利益を度外視してでも普及を優先して、安い価格で提供するということが必要になるのではないか」
TOM工法は、現在、便座カバーや、新幹線の内装などに使われています。
塗装設備を持たないEVベンチャーは、初期投資が省けるうえ環境への配慮をアピールできると、高い関心を寄せています。
(社長)「夢のある工法ですし、世界のためにもなるということで、さらにチャレンジしていこうとことで、頑張っていきます」