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イントロ
雨の五郎
雨の降る夜も雪の日も 通ひ通ひて大磯や
廓の諸分のほだされやすく誰に一筆
雁のつて野暮な口説を返す書
粋な手管についのせられて 浮気な酒によひの月
晴れてよかろか 晴れぬがよいか
とかく霞むが春のくせ いで オオそれよ 我もまた
いつか晴らさん父の仇 十八年の天つ風
いま吹き返す念力に 逃さじやらじと勇猛血気
そのありさまは牡丹花に
つばさひらめく 胡蝶のごとく
勇ましくもまた 健気なり
藪の鴬 気ままに鳴ひて うらやましさの庭の梅
あれそよそよと春風が 浮名立たせに 吹き送る
色と恋との実くらべ実 浮いた仲の町 よしやよし
孝勇無双のいさをしは 現人神と末の代も
恐れ崇めて今年また 花のお江戸の浅草に
開帳あるぞと賑しき