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愛媛県南西部の大洲(おおず)市。江戸時代、城下町として栄えたこのまちのシンボルが、2004年に天守が復元された大洲城(おおずじょう)です。ここでいま、「見る」だけではない、新しいサービスが始まっています。
(家臣役)「木村殿。ご無事の到着、何よりにござる。今般大洲城『一日城主』之儀」
これは、城主の入城場面を再現したもの。実際のサービスでは、鉄砲隊による祝砲などで客を盛大に出迎えます。
官民でつくるまちづくり組織などが2020年にスタートした「大洲城キャッスルステイ」 客が「城主」となり一夜を城で過ごせる日本初の試みです。
(キタ・マネジメント 吉田覚企画広報係長) 「「歴史や文化の本質」というものを伝えていく。城を活用して、その中で「ここでしか味わえない体験」というものをやっていきたいと―」
国重要文化財の櫓(やぐら)で振る舞われる食事もこだわりの1つ。県産和牛や伊予灘(いよなだ)の海鮮など、およそ20種類のメニューが一度に味わえるのも「城主」ならではのぜいたくです。 (木村アナ)「(食事を頬張り)んふ~ん・・・」
極め付きは
(吉田さん)「では今晩は、こちらでお休み頂きます。」 (木村)「こちらですか!ここ天守ですよね!」
「天守での宿泊」です
料金は1組、110万円。これまでに8組が利用。アフターコロナに向けて、海外からの問い合わせもきているそうです。
前例のない取り組みに向け、住民の理解を得られるよう説明を重ねました。
(吉田さん)「お客様に価値を提供することによって文化財の保全に貢献をしていきたいという、そういった未来のビジョンというものをどれだけしっかりと見せることができるかー」
まちのシンボルを未来へ引き継ぐために―「城に泊まる」事業で生み出した財源は、文化財保護にも活用されます。
大洲城が先行して始めたこの取り組みは「城泊(しろはく)」と呼ばれ、国も注目。観光庁では地方への誘客などを目的に城泊事業を推進していて、すでに中四国、九州の5カ所で準備が始まっています。
その1つが、香川第二の都市・丸亀(まるがめ)市のシンボル、丸亀城。天守が現存する12城の1つで人気の観光地ですが、こんな課題を抱えています。
(丸亀市教育委員会文化財保存活用課 東信男課長)「「通過型」と言って、天守を見てそのまま次のところへ行くということが多かったんです。丸亀っていろいろ魅力のあるところも多いので、「滞在」して頂ければなと思いましてー」
ただ天守は、国の重要文化財に指定されているため、宿泊に活用するのは難しく・・・ 候補地となったのが、城内にひっそりとたたずむこちらの建物「延寿閣(えんじゅかく)別館」です。
東京にあった藩邸の一部を移築した、丸亀藩主・京極(きょうごく)家の歴史を引き継ぐ建物で・・1番の売りがこの絶景です。
(東さん)「この丸亀平野が一望にできるという素晴らしい景観を
現在、市と観光協会を中心に準備を進めていて、2024年度の開始を目指しています。
(日本経済新聞社高松支局 竹内支局長)「単に見るだけではなく、歴史に根ざした多様な体験を提供しその他の地域との差別化を図ることを目指しています。今後は「城泊」という括りの中で、いかに魅力的な体験メニューを造成するかということが課題になると思います。」
丸亀では、藩主の大名庭園の活用を検討。日本最古の煎茶室(せんちゃしつ)で食事を提供するなど、宿泊以外のメニューも充実させる計画です。
(東さん)「城泊に備える機運を高めていくということを今後始まるまでにやっていきたいと思っております。」