お櫃は旅行の楽しみの一つである。 普段は炊飯器からしゃもじでよそう日常。 それが一度お櫃で出てくる非日常が、美味しさをかき立てる。 旅館や合宿で興奮し、食べ過ぎる。 お櫃の使われ始めは分からないが、昔から連綿と続いているのは確か。ずっと興奮したい。 #お櫃ファンタジー #一口エッセイ pic.x.com/oAbB5KPgUr

朝風呂から上がり、ベッドの上で過ごす。 この誰かの家に来たかのような気分になるのは大事だ。非日常感。 仕事帰りに居酒屋のドアを潜るような、明らかに違う自分になる。 そんなことが生きる糧になるのだろう。 時間がないと言って出掛けられなかったのは言い訳だった。 #非日常感 #一口エッセイ pic.x.com/RSEs4c6hee

温泉に浸かりながら、胸の一部が痛む。昨夜の飲み過ぎか、考え過ぎか。 間違いに気がつくことが… この線路を降りたら… 露天風呂で自然と歌い出す。 他に誰もいない。 小川の流れる音に消えていく。 なぐさめてしまわずに、生活を続けていくしかないのだ。 #風呂で自然と #一口エッセイ #小沢健二

旅館での晩御飯の記憶があまりない。 飲み放題をいいことに、最後22時まで一人急性アルコール中毒並みに飲んでいたからだ。 ずぶどろの眠りにつき、1時半と7時過ぎに起きる。 温泉に入ったのに、髪も顔も脂でコーティングされている。 朝風呂に行くことにする。 #晩御飯の記憶がない #一口エッセイ pic.x.com/34xEEUVuXF

夕方御飯時の大浴場は空いている。いつの間にか我が子と二人で貸切状態となる。 やることがないと出たがる子供と、ドラゴンボールの話をする。 いつの間にか好きなものが共通となり、次々と話せるまで大きくなっていた。 時間は着実に過ぎている。何だか心が軋んだ。 #時間は着実に #一口エッセイ

片道六時間でようやく箱根に着いた。東名も下道もほぼ同じ時間がかかったことになる。 箱根新道から見える夕陽が美しかった。 どんなことがあっても、いつもこの夕陽が沈んでるのだと思うと、僕らは何てちっぽけなのだろうと感じる。 日本中きっと美しいものだらけ。 #箱根新道の夕陽 #一口エッセイ pic.x.com/i8rQFBP5GH

かまぼこ販売所の団体用昼食会場では、片付けるため、一人鍋用のコンロが重ねられている。 整然と並べられた昼食は壮観だ。 だが、片付けられる時の侘しさったらない。 ドナドナが聞こえてくるような、最後に所定の場所へ仕舞われるコンロ。 次の活躍まで時を待っている。 #たらない #一口エッセイ pic.x.com/aqQ9rAIA8D

度々来るかまぼこの販売所では、フロア一帯で外国語が飛び交う。 ここは小田原なはずだが、東南アジアの団体が食事をしていたようだ。 小さな子供が母親に怒られて泣いている。 側では我関せずのお父さんが後から付いて行く。 どこの国でも母は強い。男は弱い。 #どこの国でも #一口エッセイ pic.x.com/N0TbVqalfh

小田原厚木道路を下り、小田原港へ向かう。 ただ、道という道が全て車で埋め尽くされている。1m動くのに、五分かかる。 みんなが脇道を探している。だが、道はそんな簡単に拓かれてはいない。 この先は見通せない。みんな苛立つ。 全国の人がここに押しかけてるよう。 #道埋め尽くし #一口エッセイ

東名高速は東京料金所を越えると、海老名SAまで110分と表示される。 どこまでも渋滞。下りることもできず。 横浜青葉ICで何とか下り、地元民を装いつつ下道を走る。 県を越えると、チェーン店の装いも変わる。見たことない店が新鮮だ。土地ごとに感覚は違うのだな。 #地元民を装う #一口エッセイ pic.x.com/I8k1LrwWYS

一泊二日で行く旅行。出発時刻が近付いていても、まだ何も荷物の用意をしていない。 それが何だか快感。 たかだか一泊くらい。何なら着替えもなくていいくらいの気概でいるのが心地良い。 旅行のハードルが下がったというか、お金で解決する方法を覚えたというか。 #旅行のハードル #一口エッセイ pic.x.com/gREsEl2Fze

土曜は疲れているか、昼から横になっていると、自分がいびきをかきながら身動きできないのに頭が気付く。 これを疲れていると言うのだろう。頭だけ起きて、体は休眠状態。　 頭が起きていていいじゃんと思うが、かなりヤバい印だと思う。 頭も体も常に寝てたい今日この頃。 #休眠状態 #一口エッセイ

ドラッグストアで洗顔料をカゴに入れると、楽しみの食品の棚へ。 スーパーでなくても、ソース類だけでこんなに沢山の種類がある。 いつか試そうと思っているが、使ったことがないものだらけ。 いつもどうしてチャレンジしないのか不思議になる。それが生活というものか。 #並ぶソース #一口エッセイ pic.x.com/fZ80lQ6qqE

三連休は天気がいい。みんな楽しそうだ。 その中、小さなアーチを前と後ろで抱える女の人がいた。 見ると、「たいじょうもん」と文字が掛けられてる。保育園の運動会後か。 アーチがあまりにも小さかった。くぐれない僕らは大人になってしまった。戻りたいが戻れない。 #退場門アーチ #一口エッセイ

仕事中はみんなに「お疲れ様です」と一声をかける。 無言のまま通り過ぎる人も、モゴモゴと何かは返してくれる。 どうせ返ってこないからと、声をかけるのを諦めたら、僕も黙り込んでしまう。 黙りながら生きるのは嫌なのだ。 誰かの一声を聞くために今日も声をかける。 #声をかける #一口エッセイ

夕暮れの道を行く。 どこかから微かに焼いた魚の匂いがする。もうどこかで夕御飯が始まりかけている。 自分の時間軸をその家庭に近付ける。 一緒に生活するため、今日玄関を開けたくなる。 夕御飯の匂いはいつも安心する匂いだ。一日を終えるための儀式な気がする。 #夕御飯の匂い #一口エッセイ

三連休が影響するのか、金曜朝のバスはいつも乗る人が何人かいない。 四連休を計画しているのだろう。 いつもの同士がいなくなったようで、少し寂しい。いつの間に仲間化してたのだろう？ 連休はどうせ明日から休みだしモードを早くから作り出す。嬉しい。 #明日から休みだしモード #一口エッセイ

都会の地下鉄は網の目である。今でもスマホがないと、乗り換えができない。 朝乗った路線と夕方乗った路線が変わるが、きちんと目的地まで着く。 朝知っておけば楽だったのにと思うが、スマホには降りて来ない。 直通という幻のルート。 みんな幻を知ってるようだ。 #幻のルート #一口エッセイ

しばらく会えなかった人と偶然会い、応援の言葉をもらった。 何があっても、何も変わらない自分でいるようにと。 その言葉がただただ嬉しかった。 巡り合わせとは不思議。 神様がいるような時間続く。 何が変わっても、自分らしくいようと思えた時間だった。 #神様がいるような時間 #一口エッセイ

口をへの字に曲げながら、スマホの画面を見ている女の人がいる。自然と眉間に皺が寄る。老眼という訳ではない。 何かを見ている時の顔って、かなり油断している気がする。 みんなすましているように見えるが、画面に集中してるから、かなり疎かだ。色んな顔がいる。 #口をへの字 #一口エッセイ

公営賭博継続中。 僕の目の前に座るおじさんが薄目を開け始めた。次の駅で降りるのではないか。 そんな時、割と大きな蚊がおじさんの背後に入って行った。 空いたら、座るのは僕か。見事な蚊の餌食。 あぁ！おじさん、そのまま座っていて！ と願う木曜日の朝。 #公営賭博2 #一口エッセイ

電車で座席が埋まっている時は、ルーレットである。 いかにも途中で降りそうな人前に立つかを、みな心がけている。 だが、ルーレットの枠は皆目を閉じていて、その様子が分からない。朝からギャンブルをしてる気分。 満員電車程ではないから、まだ楽しめる公営賭博。 #公営賭博 #一口エッセイ

大事にしてたものを手放してしまうと、緊張の糸が切れるように力が抜けた。 もうどうにでもよくなることもできないくらい、力が入らない。 人間は何かにすがる。自分でそのすがるものを見つけ、大事にしながら生きている。 それは他人にいともたやすく踏み躙られてしまう。 #すがる #一口エッセイ

応援していると、誰もいない廊下で声をかけられた。 どんなに失敗しても、その言葉だけで何とか立っていられる。 静かな、他に人がいない場所でないと、そんな言葉に巡り会えない。特に大人になってからは。 もらえた言葉は宝物だと思う。なくさないように気を付ける。 #もらえた言葉 #一口エッセイ

雨が降る夜は冷えている。 バスは座席にヒーターが焚かれ、この間までのうだるような暑さがなくなったことをようやく感じた。 同じような温度でこんなに気持ちも違う。 ギャップなのだろうなと思う。 寒い中での暖かさ、暑い中での涼しさ。 それを年中追い求めてる。 #温度ギャップ #一口エッセイ

まだ6時半なのに、道路にボトルカーが停まる。 小雨も降る中、業者は補充する飲料をカゴに入れていた。 涼しいが、飲料の供給は続く。 動作が少し荒々しいのはこの後回ることを考えてるからか。 今思えば、24時間や早朝深夜営業も当たり前だ。感謝を忘れかけてるな。 #早朝飲料補充 #一口エッセイ

どんなに苛ついていても、ご飯をかき込んで食べた後は、気持ちが少し穏やかになる。 自分の欲求を満たすことの大事さよ。 イライラしながら食べた弁当がもったいなかったなと、後から反省する。 弁当には何の罪もない。 人間不機嫌な時に何かに当たるのは変わらない。 #何かに当たる #一口エッセイ

寝覚めが悪い時。それは寝るのが遅かった日だけでない。 夢の続きを見ていたいと思う時もそうだ。目が開かない。頭が重い。 浅い睡眠の中にもう一度戻りたいと思う。 だが、その瞬間から、夢のことを忘れ始めてる。 早く再ロードショーを！ 願うが、生活は始まる。 #再ロードショー #一口エッセイ

くじ引き大会は、野生の勘を取り戻すような感覚だ。 地区の小さなお祭りでも、何だか今日は当たりそうな気がしてくる。 二等のお米3kgが当たる。 袋に入った米を暗がりの中持ち帰る。 優等生になったかのような誇らしい感覚に包まれる。 くじは昔から一大イベント。 #くじは野生の勘 #一口エッセイ pic.x.com/p20fHyNsvm

町内のくじ引き大会に来てみた。住み始めて数年経つのに初めて。 自治会費は納めているが、何だかアウェイ感が強い。会ったことない人たちだからか。 でも、それはお互い同じ。 いかにその中に溶け込むかにかかっている。 今日はこの地区の一員であることを打ち出す。 #くじ引き大会 #一口エッセイ pic.x.com/EoukT5e2yX

お札引き換えのため、夕方神社へ行く。 丁度祭礼も佳境で、神主さんの儀礼に総代と呼ばれる人の間に紛れた。 日本人で良かったと思う瞬間。 生活の近くでこんな厳かなことが行われている。忙しいと気付けない儀式。 大事にしているおじいちゃんたちを尊敬した。 #祭礼クライマックス #一口エッセイ

祭囃子や掛け声が段々近付いてくる。 日本全国津々浦々、それが聞こえるとみんな心がざわつくのは何故だろう？ 二階から60人程が囲む神輿を見ていた。 ガタイのいい人たちばかり。会ったことないが、どこに住んでいるのだろう？ 地区の神輿担当は任せて、僕は何をしよう？ #神輿担当 #一口エッセイ

朝のクリーニング店から出てくると、下着の男が歩いていた。電話をかけている。 神輿がさ… これで変質者ではないと気付いた。見ると、鯉口シャツと股引きで歩いてる。 新参者は地域になかなか溶け込みにくい。 地域と密接につながれるイベントが独特衣装なのもあるかな。 #独特衣装 #一口エッセイ

以前同じ職場だった同僚。でも、名前がどうしても思い出せない。 それは相手も同じで、目が合った瞬間に気付くが、すぐに目を逸らす。 微妙な仲に長い時間が重なると、知らない同士になってしまう。 だが、失礼なくらいすぐ駆け寄ってくれた若手もいた。単純に嬉しかった。 #微妙な仲 #一口エッセイ

車から見える建物を見るのが好きだ。 しかし、運転すると、大掴みな風景なのが辛いところ。 今日は他人の車に乗ることができ、首都高をあちこち見渡す。 ふいに新宿区のマンションで、ダブルベッドにしわくちゃなシーツが見えてドキリとする。 他人の生活覗いてみたいのかも。 #風景 #一口エッセイ

世の中、他人を指図する人と他人に従う人に分かれる。 従う人はその方が楽だし、くらいの思いである。 指図する人は逆で、他人を使ってなんぼと思う人が多い。 なんだ、この違い？ 従う人同士で話すと、やはりどちらかが主導権を取り、二手に分かれる。何故？ #分けなくても分かれる #一口エッセイ

昼食が仕事で遅くなり、仕事中のみんなの横で弁当を食べる。 全員の耳が気になる。箸を置く、弁当箱が擦れる音も申し訳ない気分。 だから、音を立てずにただハモハモと食べる。 他人に気を使い過ぎる食事は食べた気もしない。 今思う。デリカシーのない食べ方も正義だと。 #食べた気 #一口エッセイ

思ったより時間は進んでる。今日は家を出るのが最遅だった。 今日は燃えるゴミの日。これを出していたら、間に合わないかも知れない。 そんな時ほど、チャレンジしてみたくなる。一発逆転を狙いたくなる。 人間の性か、男のわがままか。 万が一も振り切って進んでく。 #一発逆転 #一口エッセイ

夜のバスでは二席前にカップルが座っている。 男はハーフパンツで小太り。女性がいるのが不思議。 男は斜め45度の角度で、自信過剰気味に女の肩に顔を横たえる。見るだけで何だかむさい。 その人となりを想像する。これまでの不幸を幸福で取り返してる最中だと思い込む。 #思い込む #一口エッセイ