＜千花/京都＞ しかし、せつかく京都へ来た以上、千花へゆかないといふ手はない。そこで、南座の近くの小ぎれいな店へ足を運ぶ。酒は、普段は松竹梅なのだが、白鹿を出してもらふ。最初になますが出た。 #食通知つたかぶり

＜鳥新/長浜＞② 殊にいいのは、鳥鍋に餅を入れて食べたあとに出て来た赤蕪の漬物で、きりりとひきしまつた風味がこたへられない。わたしはこの漬物を肴にして、店の主人が特に出してくれた浜正宗の原酒を楽しんだ。 #食通知つたかぶり

＜鳥新/長浜＞ わたしは二階の座敷で、まづ、寒鮒の子つき(刺身である)を肴に地酒の竹生島をちびりちびりと飲みながら(辛口でちよいといけます)、おつとりと軒をめぐる雪どけのしづくの音に耳を澄ませた。 #食通知つたかぶり

＜河繁/京都＞ そこで菊正宗を飲みながら(司馬さんはオン･ザ･ロック、わたしは燗酒)日本史を論じ(正しく言へばほとんど聴講し)、箸をあやつり、味はい、メモを取るのだから、じつに忙しい。名店中の名店の料理には申しわけないが、この店の紹介は手を抜いたものになるしかない。 #食通知つたかぶり

＜瓢亭/新潟＞ 新潟の食通がまづすすめるのはこの瓢亭であつたし、それに、今の場合に限つてはわたしの知つたことではないけれど、勘定もわりあひ安いといふ。そこで、晝はウナギだけといふのを無理に頼んで、県庁裏へと足を運び、入れこみの座敷のの炬燵の上で、まづ白鶴を飲む。 #食通知つたかぶり