【読み切り #3行小説 】第1436回 髪を切った。軽やかになったのは、どうやら髪だけじゃないらしい。 今にもスキップでもし出しそうな、ウキウキとした足取り。 彼女の髪から、足元から、笑顔から、新しい季節がやってくる。 #ショートショート #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1435回 あなたからもらったものはたくさんある。両手で抱えきれないほどに。 その一つひとつが、あなたの愛だと思っていた。偽りだとも知らずに。 本当にほしかったたった一つの言葉は、最後まで私にはくれなかったね。 #ショートショート #ほしかったもの #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1434回 眩しい太陽に煽られるように、体温がグングンあがっていく。 鼓動がドクドクと早鐘を打ち、そろそろ冷静でいられそうもない。 ポーカーフェイスのその裏で、彼の心はジタバタと騒がしい。 #ショートショート #ときめき #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1433回 じわりと汗がにじむ。別に緊張しているわけじゃない。暑いからだ。 必死に自分に言い聞かせ、目の前の彼女を見れば、涼しい顔で笑っている。 ドギマギするのはオレの方だけ。アタフタするのは惚れた方だけ。 #ショートショート #エモい話 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1432回 目の前に飛び込んできた光景に、これは夢だとすぐにわかった。 だって、私の隣にあなたがいる。私にやさしく微笑んでいる。 そんなこと、あるはずない。ありえないって、私はもう知っているから。 #ショートショート #夢の中 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1431回 「暑いのは苦手なんだ」と言って汗を拭うあなたは笑っていた。 その顔は青く晴れ渡る空のように清々しくて、夏が大好きだと言っている。 素直じゃなくて、でも想いを隠しきれなくて。あなたはいつもそうだったね。 #ショートショート #夏が来る #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1430回 目が覚めると、背中に大きな羽が生えていた。え、まだ夢の中？ 羽はバサリと勝手に動き、私を連れて空へと舞い上がっていく。 え、やっぱり夢？ 遠ざかっていく地上を見下ろし、私はようやく思い出す。 #ショートショート #超短編小説 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1429回 「寂しい」と誰かが言った。とてもか細く頼りない声だ。 「哀しい」とまだ誰かが言った。震える声は今にも消え入りそうだ。 毎日聞こえるその声は、自分がつぶやいているのだと知った。 #ショートショート #声 #超短編小説

【読み切り #3行小説 】第1428回 心の中は見えないから、何を考えてもバレやしない。 裏切っても、嘲笑っても、伝わるはずないと、彼は高を括っていた。 だから、彼は知らない。裏切られているのは誰なのかを。 #ショートショート #裏切り者 #毎日更新

【読み切り #3行小説】第1427回 泣いてしまえばよかったのかな。無理して笑ったあのときに。 怒っていればよかったのかな。「ごめん…」と言ったあの人に。 すべてはもう終わったこと。ずっと昔に、終わってしまったことだった。 #ショートショート #毎日更新 #別れ

【読み切り #3行小説】第1426回 ここはどこだろうと思い、彼女はきょろきょろと周囲を見回す。 覚えのない光景に心がザワザワと騒ぎ出す。何かがおかしい。 彼女が迷い込んだのは並行世界？ それとも、誰かの設えた箱庭の中か。 #ショートショート #パラレルワールド #箱庭 #毎日更新

【読み切り #3行小説】第1425回 花が咲き誇る季節、誰もが笑顔で行き交う様子を女神も微笑んで見送る。 そして人々は、太陽がまぶしい季節がやってくるのを待ちわびる。 けれど、しっとりと静かな、短い季節にも女神がいることを知らない。 #ショートショート #春夏秋冬 #梅雨 #毎日更新