【読み切り #3行小説】第1465回 急に降り出した雨。誰もが早足に彼女を追い越していく。 濡れるがままの彼女は、時が止まったように動けないでいる。 かすかに彼女の唇が開く。こぼれた言葉は、何だったのだろう。 #ショートショート #雨の中 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1464回 毎年、夏はやってくる。そして、いつの間にか過ぎて、季節は巡る。 だから、気にすることはない。流れるままに任せればいい。 それなのに、夏が来るたびに思い出してしまう。私がここにいた記憶を。 #ショートショート #まだ夏ですね #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1463回 バターのいい香りがして、思わずクンクンと鼻を鳴らせば、 「おはよう、お寝坊さん」と、あなたはフライパンを片手に笑った。 あれから、フレンチトーストは食べていない。だって苦いもの。 #ショートショート #休日の朝 #久々の投稿 #恋バナ

【読み切り #3行小説】第1462回 交わした言葉の中に答えはあった。それに気付けなかっただけ。 キミの表情も仕草も、すべてが物語っていたのに、目を逸らしていた。 だから、キミは悪くない。ほんの少しズルかっただけだよ。 #ショートショート #本音 #愚痴 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1461回 「一緒にいると楽しいね」そう言って無邪気に笑っていたキミが 笑顔を失くしたのはいつからか。口数も少なくなって視線も合わない。 今日も彼は暗い部屋の中でひとり、彼女の亡骸に寄り添っている。 #ショートショート #微ホラー #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1460回 小さな足音が聞こえてきて、少しずつ街の色が変わりはじめる。 清々しい青は少しだけトーンを低くして、気づけば紅がちらりほらり。 何が移りゆくとも、私はずっと変わらない。でもあなたはきっと…。 #ショートショート #季節 #夏秋 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1459回 「もう、夏も終わりだね」とキミが言う。その髪をさらりと風がなでた。 終わっていく季節が惜しいのか、うつむいたキミの顔が淋しいのか。 黙り込んだ僕はわからずにいる。秋が来る前に、答えは出るだろうか。 #ショートショート #夏から秋へ #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1458回 夜が来て、ぽつりぽつりと灯っていく明かりをぼんやり見ていた。 その一つひとつが愛のカタチに思えて、小さくため息をこぼす。 誰もいない真っ暗な部屋の中、ゆらゆらと白い影が揺れていた。 #ショートショート #白い影 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1457回 今日で終わりにしよう。何度そう思ったかわからない。 けれど決意は脆くも崩れ、ずるずると今日まで続いてしまった。 これ以上心が壊れないうちに。この手が真赤に染まりきる前に。 #ショートショート #オチ怖 #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1456回 「雨、あがったね」空を見上げながらそう言えば、応える声はなく、 あなたは隣で、同じように空を仰いで静かに微笑んでいた。 手を繋ぐことはもうできないけれど、あなたの気配がいつもそばにある。 #ショートショート #気配 #雨上がり #ほぼ毎日更新

【読み切り #3行小説】第1455回 「言葉にしてなくてもわかるだろ？」と彼はそっぽを向いた。 「わかるはずないでしょ？」と彼女は小さな声でつぶやいた。 「もどかしいなぁ」と二人を見守る天使のいたずらまで、あと5秒。 #ショートショート #恋の天使 #ほぼ毎日更新