速報◆今月、寺田寅彦が、関東大震災のときの経験を踏まえて、『流言蜚語』を東京日日新聞に発表する。「科学的常識」を持つことこそが、流言の拡大を防ぐと論じる。　＝百年前新聞社 (1924/09/01) #流言情報 #それぞれの大震災

速報◆1日夕方、警視庁官房主事・正力松太郎(38)が、新聞記者を集める。「朝鮮人が地震に乗じて暴動を起こす計画をしていた」と触れ回るよう、伝える。朝日新聞の下村宏(48)は、地震を予知して事前に計画できるわけがないと一蹴する。　＝百年前新聞社 (1923/09/01) #それぞれの大震災 x.com/dx2v9xriruaydn…

「その次の日（9月2日）の出來事でした。何せあの大袈沙な朝鮮人騒ぎ，「そんな馬鹿な」とは思ひ乍も，矢張り尠からず恐怖に襲はれて居りました。 放火・強盗・毒薬・追ふ人・追はれる人，正に劒戟の巷です。 #それぞれの大震災

雑夫一夜に全滅 掠奪を恣にした 神奈川警察署の管内 #それぞれの大震災 震火災で横濱では神奈川警察署だけが唯一つ辛うじて焼け残ったが其の管内の混雑は悲絶を極め二日朝から伝へられた流言で自警団の不統一は言語に絶し日中は横濱倉庫や各商店の掠奪を恣にし，

速報◆11日、警視庁官房主事・正力松太郎（しょうりき・まつたろう）(38)が、社会主義者の監視を強め、容赦なく逮捕するよう命令を発する。　＝百年前新聞社 (1923/09/11) #それぞれの大震災

【作家・田山花袋(51)】 11日、「中央公論」の編集者の木佐木勝の訪問を受け、震災体験の執筆を依頼される。花袋は、「鮮人が縁の下に隠れたから、引きずり出して殴ってやった」という武勇伝を語る。 #それぞれの大震災

【四谷第一尋常小学校の小学4年生・丸山眞男(9)】 「朝鮮人暴動」のうわさでつくられた自警団を見て、「朝せん人なら誰でも来い。皆、打ころしてやると言ふ気だからいけない」「よいせん人がたくさん居る」「こんなことなら自警団をなくならせた方がよい」と、冷静な感想を記す。 #それぞれの大震災

【地震学者・今村明恒(53)】 20年前から東京に大地震が来ることを警告していたが、地震学者・大森房吉(54)などに反対され、「ホラ吹き」と罵倒されてきた。震災後は一転、「地震の神様」と呼ばれるようになり、摂政宮・裕仁親王(22)の前で進講を許される。 #それぞれの大震災

【作家・芥川龍之介(31)】 菊池寛(34)と会う。芥川が大火の原因は不逞鮮人の放火で、彼らはボリシェヴィキの手先だそうだ、と話をすると、菊池はすぐさま「嘘だよ、君」と一喝。芥川も「じゃ嘘だろう」と撤回する。朝鮮人暴動を簡単に信じる人々を「善良な市民」と揶揄する。 #それぞれの大震災

【高輪の中学生・伏見康治(14)】 4日、朝鮮人が攻めてくるといううわさを聞く。父親が刀や槍を取り出すのを見て、自分も近所でつくられた自衛団に参加しようとするものの、姉に引き止められる。そのとき、朝鮮人の話自体が嘘であるとわかり、一件落着する。 #それぞれの大震災

【神奈川県知事・安河内麻吉（やすこうち・あさきち）(50)】 4日、朝鮮人による暴動はまったくないと語る。地震当日、横浜刑務所が囚人を解放し、不安に思った住民が武器で自衛したことが、朝鮮人への殺害につながったと見る。 #それぞれの大震災 関連記事： x.com/100nen_/status…

【田端の住民・北沢初江】 4日、母の故郷の福島に向かう途中、駅でイモの差し入れが配られる。一人の男性が食べずにいたところ、「イモを食わないのは朝鮮人だ」との声が上がり、撲殺されるのを見る。本当に朝鮮人だったかは分からないが、ひどいことをするものだと恐怖を感じる。 #それぞれの大震災

【海軍少将・四竈孝輔（しかま・こうすけ）(46)】 4日深夜、朝鮮人が爆弾を電車に投げつけ、多数の死者が出たという話を聞く。現場に駆けつけると、「悪うございました。不注意で提灯を燃焼しました」との話で、大笑いで解散する。 #それぞれの大震災

【作家・志賀直哉(40)】 4日、東京に到着。大手町で、若者同士の会話が聞こえてくる。「鮮人が裏に回ったてんで、すぐ日本刀を持って追いかけると、それが鮮人でねえんだ。しかしこういうときでもなけりゃあ人間は殺せねえと思ったから、とうとうやっちゃったよ」と笑っていた。 #それぞれの大震災

【大井町の住民・竹内重雄】 3日夕方ごろ、川崎方面から朝鮮人2000人が攻めてきて井戸に毒薬を投入しているという話を聞く。男たちは刀やピストルで武装し、警戒したが、夜まで何も起こらなかった。 #それぞれの大震災

【横浜市長・渡辺勝三郎(51)】 3日、避暑地の平塚から徒歩で歩き、ようやく横浜に着く。人々が港の倉庫に殺到して、食料などを略奪していることを知る。また、「朝鮮人暴動」のうわさが足元の横浜から広がったことを知り、早速対策を練る。 #それぞれの大震災

【神奈川警察署鶴見分署長・大川常吉(46)】 3日、朝鮮人300人を保護する鶴見分署を1000人の群衆が取り囲む。群衆の前に立ち、大声で「手を下すなら下してみよ」と叫び、もし一人でも朝鮮人が逃走したら「割腹して諸君にお詫びする」と啖呵を切る。群衆はこれを聞いて引き下がる。 #それぞれの大震災

【作家・志賀直哉(40)】 3日、続けて東京へ。群馬の松井田では、警官と野次馬十数名が朝鮮人1名を追いかけるのを見る。戻ってきた一人があっさりと「殺した」と言うのを聞く。高崎では、朝鮮人7、8名が連れて行かれるのを見る。 #それぞれの大震災 関連記事： x.com/100nen_/status…

【作家・志賀直哉(40)】 3日、京都から東京に列車で向かう途中、長野・群馬を経由。列車の中は騒がしく、殺気立ってケンカが起きるのを見る。夕方、軽井沢では「東京では鮮人が爆弾を持って暴れ廻ってゐる」といううわさを聞くが信じなかった。 #それぞれの大震災

速報◆3日、警視庁官房主事・正力松太郎(38)が戒厳司令部を訪れる。「朝鮮人暴動」の鎮圧のために軍を動かしたい考え。「こうなったらやりましょう」と鼻息荒く意気込んで言うと、戒厳参謀長・阿部信行(47)が「正力は気が違ったのではないか」と返す。　＝百年前新聞社 (1923/09/03) #それぞれの大震災

【神田の小学生・清川虹子(10)】 3日、朝鮮人が井戸に毒を入れたから水を飲んではいけないという話を聞く。父が自警団に入って朝鮮人狩りに出動する。男たちが交番のそばで朝鮮人を叩き殺すのを見て、恐怖を覚える。 #それぞれの大震災

【梨本宮・伊都子（いつこ）妃(41)】 3日、朝鮮人の暴徒のうわさはまったくの嘘であることを聞く。むしろうわさによって日本人が朝鮮人を虐殺しているので、朝鮮人を集めて千葉県の習志野で保護することを決める。 #それぞれの大震災

【アメリカ大統領・クーリッジ(51)】 3日、関東大震災に対する同情と哀悼の意を公式に示す。全国から1000万円相当の義援金を呼びかける。“Minutes make lives.（数分早ければ数人助かる）”をスローガンに掲げる。 #それぞれの大震災

【海軍少将・四竈孝輔（しかま・こうすけ）(46)】 3日、朝鮮人暴動に備えて警備をおこなう。深夜「不逞鮮人が堀を泳いでいる」と聞いて大騒ぎになったが、明るくなって見るとただの鵜であったことが判明した。 #それぞれの大震災

【作家・芥川龍之介(31)】 2日、体調が悪化。地震の前から発熱していたが、体温が39度まで上がる。しかし、世間体を気にして自警団に加わる。廃墟になった街並みを見て「自然は人間に冷淡なり」と感じる。 #それぞれの大震災

【物理学者・寺田寅彦(44)】 2日、親戚が上野の避難先の警察官から、朝鮮人が火をつけ、井戸に毒を入れ、爆弾を投げて回っているから注意するようにと聞いたという話を日記に記す。しかし、それが本当なら毒や爆弾の量があまりに莫大になるため、自分には信じられないと述べる。 #それぞれの大震災

【板橋で勤務する看護師・岩田とみ】 2日、市役所で被災者救援の手伝いをしようと上野まで歩いてきたところ、「朝鮮の女が逃げてきた」と言われて捕まり、火の中に入れられそうになる。「朝鮮人ではありません、看護師です」と叫び、何とか窮地を脱する。 #それぞれの大震災

速報◆2日、警視庁官房主事の正力松太郎（しょうりき・まつたろう）(38)が「不逞鮮人の暴動」について各新聞に情報を流す。朝鮮人排除の好機と見た。これを聞いた内務省はあわてて火消しに動く。　＝百年前新聞社 (1923/09/02) #それぞれの大震災

【演歌師・添田知道(21)】 2日、野宿した上野公園で朝を迎え、周りが焼け野原になっていることに気づく。凌雲閣が折れているのを見る。 #それぞれの大震災 ▼浅草公園。右奥は崩壊した凌雲閣（浅草十二階）。 pic.x.com/jlffba106a

【落語家・古今亭志ん生(33)】 1日、揺れが続くなか、酒がこぼれるのはよくないと急いで酒屋に走り、あびるほど酒を飲む。金も払わず1升5合も飲み、泥酔して帰宅。妊娠中の妻は、さすがに怒る。 #それぞれの大震災

速報◆1日夕方、警視庁官房主事・正力松太郎(38)が、新聞記者を集める。「朝鮮人が地震に乗じて暴動を起こす計画をしていた」と触れ回るよう、伝える。朝日新聞の下村宏(48)は、地震を予知して事前に計画できるわけがないと一蹴する。　＝百年前新聞社 (1923/09/01) #それぞれの大震災

訃報◆1日、俳人・富田木歩（もっぽ）、焼死。26歳（誕生:1897/4/14）。「境涯の詩人」と呼ばれる。足が不自由のため親友に背負われて川まで逃げたが、後ろから火が迫る。黙ったまま手を握って別れを告げ、親友は一人、断腸の思いで川に飛び込んだ。　＝百年前新聞社 (1923/09/01) #それぞれの大震災