#ギーゼブレヒト 伝の書写。ハッセルバッハ校長の報告。「監査の成果として特別会議でわれわれに表明された、外面的および内面的なギムナジウムの状態に対する喝采は、それに相応しく身を持するように、教師たちをただ励ますことができるだけである。われわれは真率な感謝をここに表明する」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ハッセルバッハ校長が監査について公にした報告は、ギーゼブレヒトとは対照的。1843年夏に行われた監査は、個人の努力に対する承認であり、人生で滅多に出会えないものとする。いかなる本質的な点をも見逃さないアイラースの思慮深さを称えている。おべんちゃらであろう。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ギーゼブレヒトは異議を唱え、官僚主義的な拒否的回答を受けたが、彼の教育学的な信念は変わらなかった。試験的に導入されたルートハルトの教育法に対する怒り。それは学校におけるポエジーと精神的生活を殺し、干からびたミイラにしようと狙いをつけている。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。文部省からの譴責は、ギーゼブレヒトのドイツ語授業のテーマについて言っていた。ギーゼブレヒトが授業のなかで、生徒たちの悟性を批判的に発展させるばかりで、宗教の領域における積極的なものや歴史的事実、および文学における現象をなおざりにしているというのである。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。アイラース博士によるギムナジウムの監査。「思い上がった生徒は罰せられずには済みませんから」とギーゼブレヒトが言うと、口頭ではそれで片づいた。しかし数ヶ月後に文部大臣から命令が下る。アイラースの監査報告に関連して、ギムナジウムを譴責するものだった。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ギーゼブレヒトは1834年6月4日の政令への注意を喚起した。それはドイツ語の口頭試問で、受験者たちが最優先で祖国の作家たちを読んだかどうか試すように求めていた。作文帳に不適切な文章があったか？ 先日の会話で不都合なことが起こったか？ これらの問は否定された。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。そんなことがあった日から風向きが変わった。アイラースは生徒たちの作文帳を提示させた。作文のテーマには、ヘルダーの『人類歴史哲学考』からの議論の余地のある文章が含まれていた。アイラースはこれを憂慮した。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。新しいシステムがギムナジウムに迫ってきた。大臣の命を受けたアイラース博士が、ギムナジウムの現状を調査すべくやって来た。目をつけられたのは主としてハッセルバッハとギーゼブレヒトだった。アイラースはギーゼブレヒトのドイツ語授業に同席し、様子を見ていた。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ギーゼブレヒトは反発し、「われわれがキリスト教を持っているのではない、キリスト教がわれわれを持っているのだ」と言ったが、これは神学者たちには不遜な話と思われた。「あなたは狂っている。偉大な芸術があなたを狂わせるのだ」と言い返す人がいた。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。1843年（異説あり）に祝われたギムナジウムの300年記念祭あたりまでは平和だった。そこから試練の時代が始まった。政府当局がギムナジウムの校風に合わないことを言い始めた。大臣アイヒホルンの演説を新聞は伝えた。積極的なキリスト教をしっかり守れというのだ。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。パトロンが新しいギムナジウムをマリエン広場に建ててくれた。それが1832年に引き渡された際、裕福な商人で市参事会員のドレーアーが、大講堂にオルガンを寄贈してくれた。生徒たちは喜んで歌い、弁論した。新鮮で詩的な息吹がギムナジウムに通っていた。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。「ハッセルバッハは私よりわずか10歳年長なだけであり（10歳差はでけえよ！ 正確には11歳）、私の縁者となり（彼の妹を妻にした）、詩と音楽を愛していたので、私と共通点が多かった。レーヴェと私が学園祭を盛り上げるために働くのを見て、彼は喜んでいた」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。1826年にギーゼブレヒトは「教職の有益なる成功のゆえに」ギムナジウムの教授に任じられた。彼よりもかなり年長のコッホ校長とは合わず、校長から逃れるためにカタツムリのように家に帰った。1828年にハッセルバッハが校長になってからは、事態は変わった。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。メルヒェン「七羽のカラス」を少女たちの教材に。少女たちとギーゼブレヒトは学校外でも交流した。「寮母さんはわが家の友人だった。私の娘たちが成長すると、少女の世界は親しいものになった。僧侶通りにある私の役宅に、花咲く女生徒たちを招待して妻ともてなした」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。シュテッティンにあったブルーメの学校で、彼は少女たちにも教えた。メルヒェンを題材とした作文を課題に出すことで、少女たちのファンタジーを刺激し、その弁証法的な論究によって、彼女たちの悟性を教育した。「赤ずきん」に基づいた計画の紹介がある。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ギーゼブレヒトは厳しいだけの先生ではなかった。学校は国家のように、義務の遂行と打算的なエゴイズムだけで動くこともできようが、しかし献身がなければ慰めがない。教材と一体化した教師は生徒を傾倒させる。彼は近寄りがたくはあったが、そんな力を持っていた。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。「学校は父親の家の続きであり、教師は父親の代理であると主張する人がいるが、全然違う。家族には血の繋がりから来る感情があり、親子は相互に依存しているので、家庭教育には明確な原則は必要ない。それは掟を意識することなく、自然現象のようにうまく行く」。→

#ギーゼブレヒト 伝の書写。「みんなに愛される公の教師というものは、私（ギーゼブレヒト）にとっては憂慮すべき現象だ。彼の職務とは、差し当たり少年たちの無分別との戦いだが、しかし間接的には、子供たちに劣らない大人たちの無分別との戦いでもある。教師と無分別な人々が仲良くなれようか」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。「芸術作品には、美を直観にもたらすという目的がある。個人と同様に国家にも、プラトン的な意味での正義を実現するという課題がある。国家が目指すべきは、有用なものすなわち市民の物質的福利、正しいものすなわち国家の法的秩序および諸外国との関係、」→

#ギーゼブレヒト 伝の書写。「学校とは器官である。それを通じて国家がその教育学的な権能を行使する。この原則から、私の式典の歌の内容が明らかになる。祖国の息子たちは応答し、讃え、行儀のよい生徒たちや善意の教師たちについて問う。平凡な俗物根性の慣習的な決まり文句は問題外である」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。「学校とは器官である。それを通じて国家がその教育学的な権能を行使する。この原則から、私の教育の詩のために必要なものが明らかになる。母とも女王とも考えられた祖国そのものと、教える年長者と教わる年少者が、ひとつの声となり合唱となる」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。教育学的な詩に、適切な形式を与えようと試みた。「私がこの学校に来た頃は、コッホ校長の時代だった。学校の式典は教会の式典を真似ていたが、後者の尊厳には及ばなかった。教会の歌が醒めきった雰囲気で歌われ、校長は勿体ぶった修辞で空疎な話をした」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。彼の教育論。「庭師は種子や芽といった未完成なものから、完成された樹木を育てる（教育）。陶工は土というそれ自体完成されたものから、より完成された器を作る（教養）。大理石の塊というそれ自体完成されたものから、彫刻家はより完成された像を作る（教養）」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。彼の教育論。「教育（Erziehung）は未完成なものを完成へと導く。その目指すべき手本は現象のなかにある。教養（Bildung）は完成されたものを、より高い完成へと導く。その原像は現象の外にあり、それゆえ目標は果てしない」。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。彼の教育活動の前半から、教育論がふたつ紹介される。ひとつは1831年の手稿で、教育（Erziehung）と教養（Bildung）を論じるとともに、彼の「教育の詩学」を披瀝したもの。もうひとつは1826年に新ポンメルン州新聞に載ったもので、学校教育と家庭教育の違いを論じたもの。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。余暇の時間を学術研究に使おうと詩作に使おうと、ギムナジウムでの教職に彼は忠実であり続け、どんなに小さく見える義務でも疎かにしなかった。彼の天才と深く広い研究は、教育の仕事を損なうことはなかった。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ギーゼブレヒトは劇作を世に出せなかった。詩集が受け容れられなかったわけではないので、非常にがっかりした。長らく詩作しない時期が続く。もうこの方向では終わったと思い、カルトゥジオ会士のように沈黙した。その代わり熱心に歴史学や考古学の仕事をした。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。ギーゼブレヒトは『ザクセンの旗』を、三部作中で最良のものと見なしていた。だが私（ケルン）はその判断に疑問がある。たしかに『ザクセンの旗』は最も自立しているが、最も美しくはないだろう。ドラマの核心をなす旗をめぐる争いは、読者の共感を呼び起こすのに不向き。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。三部作の第3は『ザクセンの旗』。ヘルマンフリートとアマルベルガは栄華を極めたが、嗣子のないことを嘆いていた。アマルベルガには、以前の結婚で生まれた息子がいるはずだったが、それはバーデリヒとの戦争で死んだオルテヴィンだった。ふたりは厳粛な教訓を得る。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。『王の息子』より、アマルベルガの独白。彼女は実の子だと思い込んでいたオルテヴィンを、バーデリヒに引き渡す。 自然よ おまえの似姿が 童の顔のなかで 湖の鏡に映したように 愛すべき静けさのうちに おまえに出会う ギーゼブレヒトはメクレンブルク湖沼地帯の出身。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。三部作の第2である『王の息子』は、独立の戯曲としては通用しない。最たる弱点は、オルテヴィンとダゴベルトというふたりの男の子の描写にある。バーデリヒ王の宮廷で友達になったふたりの台詞は、卓越しているとはいえ年少者に似つかわしくない。

#ギーゼブレヒト 伝の書写。三部作の第2は『王の息子』。アマルベルガの小姓オルテヴィンは、バーデリヒの死んだ妻アルフレーデ（アマルベルガの姉妹）に似ている。それでバーデリヒはオルテヴィンを引き取る。果たしてその子は拐われた実の子だった。父と子は戦死する。