水が増しているのに 靴をうまく重ねて履かなければ ならなかった 道という道は無く 大きな鯉が二匹先導してくれる お店に入ると 夫のお付きの者が待っていて 贈り物の相談ができた 鯉たちが先を急がせる 軒先が賑わっている 先触れが聞こえないようだ 差配する姿を眺めるのは楽しい #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/Ffr7CntXzz

こぼせる場所が無くて 新月の夜 庭に穴を掘る いつかしらは 誰かに届くだろう えっちらおっちらあやふやな 遠い記憶 小声で言えば穴が笑うから さっさと花の種を埋めた 秘密の芽が出て膨らんで 蕾の頃 水遣りを躊躇う 隣の梅の木がわけ知り顔で あんたが死んでも 守るべき秘密かい #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/cTSrqtXy54

おじさんたちの顔はいつも渋い 何故なのか私にもわかってきた 簡単に頷くわけにはいかない 勿体を付けて辺りを睨み回せば 目がギョロギョロ 面倒が降って来て避けきれなくて 眉間に皺 単純にくしゃみが出そうで 鼻がムズムズ 全部が大切なルーティーン そんなわけないって笑いなよ #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/pFXXtmPFtN

橋の裏には流れている川の 水の光が反射していて美しい まばゆくて 目が開けていられないが 橋を過ぎると忘れてしまう 同じ船に乗った人たちは 同じ言葉を口々に言っている 私も原則通りだ やがて強い雨が降り始め 傍らの小さな桶で水を汲み捨てる 私たちの船では文句は囁かれない #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/stoy1mVV4E

山道は簡単に嫌えたから できる限りは近寄らない 夏が嫌いなのに 炎天下の記憶が鮮明だ 夏が好きな人から冬を貰い 夏を渡せば かき氷を失くしてしまうし 日数が足りなくて 春と秋も貰わなければ合わない そんなにまで嫌いか 夏が膝を抱えて 高台の空に大きな蜻蛉が すっ飛んで行く #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/LDezJTc0I0

終わってしまった昨日へ 手紙を書く 過ぎ去って 二度と会えない相手だから 何を言ったら伝わるだろう あなたの空が青かったこと 車を降りる度に 潮風がして嬉しかったこと 不慣れな車が多いせいでも 今が早く過ぎればいいと思ってしまって ごめんなさい あなたは最後まで実直だった #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/PIIvUcBURU

煌めくお店に行った 私からは私が見えないから安心だ 心も隠しておけるけれど 自分だけには見えてしまう しかも言動だけしか残らないから 涙や努力や真心は伝わらない この世は隅々まで 地獄でできているのに 宝石は美しく輝き 苺は良い香りがして お店は煌めいている 鴉が塒へ帰る #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/Zsu2U0usy3

私は建造物だったかも しれないから 同い年の建物を確認する 唯一無二の最高裁判所や 千葉県立美術館や 船の科学館も素敵だけど やっぱり図書館がいい 市立図書館がいくつかあるから このどれかかもしれなかった 子どもが時間をかけて本を選び 閲覧室の椅子を引くのを 見守る係です #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/hlXl4hsRWN

死のにおいがわかるうちは死なない そう言ってくれたのは誰だったか 大人になったら 憧れではなくなってしまった 人間てのはよくできている 突然暑くなって 植物が嬉し気にまた伸びて 生きることを説いてくる 違うんだよ 忘れさせてくれ 死とか生とか 知らなかった場所に返してくれ #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/7Pf6hm4dGs

ネモフィラと空だから世界は青で 好まれた青と選ばれなかった青で 気まずい空気を出したりしないから 自然というものは素晴らしい 世界はまだ半分も不明瞭で 違う部分が重なっている可能性だって ある 私たちに認知できないだけで 勇者パーティに魔物が居合わせている かもしれない #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/gXa55J1wuA

アイスティーの季節に 見送ってばかり いつか私も 風という爽やかさを持つ 今は吹かれても 頑丈に立っていられる あきらかになった世界では やっぱり 思い出をツマミにした 飲み会があるはずなんだ だめだよ 自分の話ばかりしちゃ だめだよ 泣いてばかりじゃ 花見はその練習なんだ #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/ZGNc5b4awg

自分を卑下する気持ちも 邪神なのではないかな かといって 肯定できる努力が必要になるなら 人生の後半戦は負ける しかし 幸せが正しい 誰が間違いと言っても 本人の思う幸せだけが 正しい 鏡になど聞かずに言ってやれ 私はこれでいい 誰のことも決めないから 私を放っておいてくれ #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/3KpqzQFHt6

もちろん明日が恐い 新しくて何が起こるかわからない 昨日や一昨日の 災害が起きてない過去なら いつでもいい 苦手な人と会わなくて済んで 大切な人と一緒に居られた日 大好きな曲みたいにヘビロテして 過ごす メイクや服を変えても 大切な人は変わらないから 一日はたった一日だけ #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/UKvgOflsNj

モノレールに 日常的に乗るのは不思議だ 本当は車も電車も不思議だ 通学で満員のバスで ドア付近の ステップの一番下に乗っていた 足の20cm下は道路なのだ 浮いて立ちながら前へ走っていた 今は許されないだろう 吊られた車両から見える誰かは ちょうど人形の大きさ 掌に乗せてみる #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/2gGV85SLN4

沢山の闇が合わさった いちばん黒に近い闇に今は居る らしい いろんな人が 逃げ出せないほど暗いと 教えてくれた 愛想が良くなって 周りを照らす光では足りない 全てを照らす光は岩戸の内だと 諭される 裸踊りではなくて 大晦日が終わらなければ 改まらない 今を春べと咲くやこの花 #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/gq65FyZxoS

私は料理歴40年の主婦だが 味醂を未だに使えない インスタで見かけた 簡単な料理ばかりを作っている 実験みたいなもの 記録しない 決められた通りに作らないと 知っている 次は何を作ろうか 思いついただけで 料理の80%は終わっている チョコレートには宇宙がある 食べられて消える #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/pkmnhOGszp

しづ心なくが今年もなくて 信じられないほどの花吹雪を 来年まで見られない 地面も 池も川も空も覆って 唐突に春を終えてしまったんだろう 私はどうして観に行くのを やめたんだろう 過ぎて行く時が散るのを観ながら ただ飲み食いすべきだった ねばならぬを忘れ 見上げるべきだった #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/gk1eG652db

恋をやり直せるチケットを 貰った みっともない初恋も 初めは美しかったから 桜舞い散るなかでふたり 遊んでいた時に戻りたい 隣の席になった時 席を譲ってと言われて また譲ってしまうだろう 何も言えないまま組が離れて 告白もしない 待ったりもしない 初恋の中にいるだけで充分 #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/jPYPmXtnUZ

視界の端 ナナホシテントウが不意に飛び去った 写真の中でピースする娘を思って 束の間の希望に目を閉じ 精神を落ち着かせた 裏表の無い 人なんていない 強調して彼は言って 弱い悲鳴のように風が応えた キャメル色のコートが靡く 魔女裁判はこの地で行われたという 忘れたりしない #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/vxsW9bKU6A

繰り言ばかりの スパムは缶詰だけで充分 ケーキが食べられる世界に 私はみんなと一緒にいたい 危機感はあった方がいいけれど それは私たちの役目じゃない 舵取りをすべき人が うまく 運転できないならどうしたらいい ケーキを不必要と言って 取り上げられる 世界にはなりたくない #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/PnR90lpOxc

あまりに見る目が足りないので 採集に出掛けた 夜でないと油断してくれない フードを目深に被りゆっくり歩く さっそく短髪のパーカー ジャケットの二人連れ メガネに目の荒いカーディガン 話し方が全員同じ 笑わなければ諦めてくれる もういいかと踵を返すと 見る目が私を見つけた #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/X6kWZNhNkG

疑惑の人が笑っている 大切にすべき人を騙して 笑っている顔は 偽物なんだろうか 仮面の下で腹を立てたり 焦ったりしているんだろうか 私と何も変わりはないのに 笑っている顔の 本物なのが許せない 気を許してしまった 私を許せない たくさんの笑顔を 台無しにされて 許せないのに #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/JjifKqyJHE

世の中が私に甘い ありとあらゆる甘味が ひたすらに甘く感じられる しつこい甘さじゃない 不味い甘さじゃない のに どれだけ 故郷を離れていたのか コーヒーをやめたからだ 苦い味が無いと 活きないからだ コーヒーを飲むのは苦しい 苦くはない わかってしまった 甘やかされてきた #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/KYBXvzb517

公園なんて動物園だ 叫び声が真っ逆さまに聞こえて 大人たちは動揺する 鳴き声なのか 泣き声なのか 確かめるまでは空気が張り詰める うららかな光の春の日なのに 声が大きく 元気に響いて 誰も口には出さないが いや 親は急いで駆け寄り 声を掛けながら撫でてやっている 大丈夫だよ #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/6rBf527VC5

入学式の間中 体育館の屋根を雨が叩いていた 龍が入学するつもりだったのが 忘れて寝ていたんだろう ようやく入場したと思ったら 式は終わっていて 説明会が淡々と行われている iPadを一人一台 買わなければいけなくて 龍は保護者になんて言うだろう 龍に保護者は一体誰なんだろう #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/w7HdvQFvcB

大人は少ない選択肢から 自由を得ているのだ そんなわけで 細分化された豆腐を 自由に見立てている 自のように三分割するか 由のように四分割か 全部で麻婆豆腐なんて なかなかできやしない 角が崩れてしまって 思った通りの自由じゃない 結局 きみは豆腐を 醤油と生姜で食べている #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/RnDhvPoEyb

シャボン玉が割れると 現実がひび割れて新しくなり 諦めないでもう一度と後押しする 心の旅は広く深く さっきまでの思いはもう 残っていなくて 明け方 メモは何が書いてあるのか わからない 現実では 私は微動だにしていなかった 鳥の声が窓から聞こえてきて 失意に 日が差していく #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/MsEmXBwX0b

目立ちたいわけじゃない 思いもよらなかった言葉を使って驚く 書けてしまった後は忘れてしまう インク切れで できた詩を清書するが 詩は見てほしくても字は見てほしくない 締め切りが遠いほど早く書けてしまう 封をしてから変えたくなる 温室に籠り 苺のように魅力的な詩を書きたい #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/Z7TOaWbvqX

愛想笑いのつもりはなかった写真だ ケーキのあどけなさが羨ましい 恥ずかしさで顔が熱くても知らない 知らない人にどう思われてもいい お礼はした ホテルに二階から入ると 宴会場しか紛れる場所が無い ようやっと席に着き 並ばされているお菓子に出会う お互い大変だったねと一口で #コーヒーとチーズ pic.twitter.com/gb6Tu5rKnv