「朝や夕方は涼しくなって、過ごしやすくなったなぁ」 「千秋さんは体調に気をつけないとなあ。抱きしめて暖めようかあ？」 「……そんな大袈裟にしなくても」 広げようとした手を千秋さんにそっと取られる。 「手を繋いでくれるだけで、俺は十分暖かいぞ」 #一日一斑千

「読書の秋ということで、読みたかった文庫本を色々と買ってきたぞ！」 「千秋さん、嬉しそうだなあ」 「よかったら三毛縞さんも読むか？」 「んー……俺は千秋さんが寝る前に読書してる様子を眺めてる方が楽しいかなあ」 「まるで紅葉を眺めるのを楽しむみたいな言い方をするなぁ……」 #一日一斑千

「マム先輩とち〜ちゃん先輩って付き合ってるよね？」 突然のスバルさんからの質問に、飲んでいたお茶でむせかけた。 「……よく見てるなあ」 「ふふ〜ん、まあね☆　それならマム先輩には自分が幸せになることを一番に考えてほしいな〜」 「？　千秋さんを幸せに、じゃないのかあ？」 #一日一斑千

「千秋さん、昨夜は俺のこと悪魔みたいに思ってただろう」 「そんなことないぞ。ただ……」 「ただ？」 「……昨夜の三毛縞さんは、悪魔というより狼男だったぞ」 「……改めてそうやって言われると、さすがに俺も恥ずかしいなあ」 #一日一斑千

「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ！」 玄関の扉を開けると、百均などで買ったのであろうカチューシャをつけた千秋さんがそう告げる。 「……お菓子はないけど、フライドポテトなら用意してあるぞお」 「本当か！？」 キラキラと目を輝かせる悪魔の格好の千秋さんを部屋に招き入れた。 #一日一斑千

「千秋さんって、あまり髪型のアレンジってしないよなあ」 「そうだな、単に機会がなかっただけだが、それがどうかしたか？」 「シャワーを浴びた後に、前髪を思いっきりあげた時の髪型とかグッと来るんだが、他人に見せたくない気持ちもあって悩ましいなあと」 #一日一斑千

「とうっ！」 元気な声と共に千秋さんに抱きつかれたかと思うと、脇の辺りをくすぐられたが。 「俺、くすぐったくならないんだよなあ」 「そんな人が存在するのか！？」 「だから目の前に……つまり、千秋さんはくすぐったい人なんだなあ？」 しまった、という表情が全てを物語っている。 #一日一斑千

「三毛縞さんのつけた跡がなかなか消えないんだが……」 「ごめんごめん！　綺麗に跡がつくからつい興が乗ってしまってなあ。それこそお返しに俺につけたっていいんだぞお」 「……確かにそうだな！　それなら」 三毛縞さんの服の襟を広げて、出来るだけ目立たない箇所に唇を寄せる。 #一日一斑千

寝ぼけ眼でベッドから抜け出すと、すっかり身支度を終えた三毛縞さんがそこにいた。 「……千秋さん。まだ寝てていいのに。今日はオフだろう？」 「三毛縞さんはもう出かけるのか？」 「朝からお仕事だからなあ」 そういえば、昨夜そう言っていたなぁとなんとか頭を働かせる。 #一日一斑千

「守沢、三毛縞のことは別に嫌いな訳ではねぇんだろ？」 「……三毛縞さんの気持ちはとても嬉しいし、俺も同じ気持ちだと思ってはいる」 「そうなのか」 「だがな、両想いが嬉しい反面、俺としては現実としてうまく受けとめきれていなくてな……」 #一日一斑千

「羽風、先日は祝ってくれてありがとうな！」 「もりっち、その日の夜は初めてお酒飲みに行ったんでしょ？　どうだった？」 「うむ、やはり俺は体質的にアルコールに弱かったみたいでな？　三毛縞さんがいてくれてたから、大丈夫だったぞ！」 「何事もなかったのなら良かったよ」 #一日一斑千

「千秋さん、お誕生日おめでとう！」 「ありがとう、三毛縞さん。お酒が飲めるお店に連れて行ってくれるんだろう？　楽しみだなぁ」 「俺が二十歳になったのだって数ヶ月前だし、そこまで詳しい訳じゃないけどなあ。でも楽しみにしてくれて俺も嬉しい」 「三毛縞さんとなら安心だからな」 #一日一斑千

「明日はもりっちの誕生日だね。三毛縞くんは何かプレゼントを用意してるの？」 「俺は千秋さんとお酒を飲みに行く約束をしたぞお」 「……念のため言っておくけど、前後不覚のところを何かしたらダメだからね？」 「ははは、俺って薫さんから意外と信用されてなかったんだなあ」 #一日一斑千

「千秋さん、作ったおにぎり食べるかあ？」 「おにぎり！　貰って良いなら頂くぞ！」 「千秋さんは美味しそうに食べてくれるから、作り甲斐があるなあ」 「三毛縞さんの作るご飯はどれも美味しいから、毎日でも食べたいくらいだぞ！」 「胃袋から掴んでいこうと思ってなあ」 「……ん？」 #一日一斑千