『#乙夜之書物』、本能寺の変当時の前田利長の動向を伝える部分も面白い。 利長は上洛途中だったんだけど、利長が取り立てた家臣たちは変報を知るとみんな逃げてしまい、残った古参の家臣に「殿は家臣を見る目がなく、腰抜けにばかりに知行を与えてる」と嫌味を言われるところとか。

『#乙夜之書物』には本能寺の変に遭遇した侍女の談話も収録されてた。 手傷を負った信長は居間に引き上げてくると、残っていた侍女四、五人に「何（いづ）れも出よ、何れも出よ」と声をかけ、彼女たちを外に逃がしたそう。 記録にある信長最後の肉声は、もしかしたらこの「何れも出よ」かもしらんね。

萩原先生の『異聞 本能寺の変 「#乙夜之書物」が記す光秀の乱』、惟任光秀の乱パートまで読了。 光秀の乱の関して、斎藤利宗と進士作左衛門という二人の光秀家臣が親戚や子孫に語ったものを関屋政春が又聞きしてまとめてるんだけど、乱当時の光秀サイドの事情が垣間見えるのは面白いね。

『#乙夜之書物』で描かれる本能寺の変は著者の生前の事件なので当然聞き書きで、それ故に史料としての精度に疑わしい部分も生じるんだけど、エピソードの発信源が光秀の重臣斎藤利三の子で本能寺の変にも参戦した斎藤利宗だったりするので、頭から否定するのもどうかなってところ。

先月の #戎光祥ヒストリカルセミナー の「本能寺の変」回において、講師の柴先生が史料のひとつとして取り上げた関屋政春が江戸時代初期に書いた『乙夜之書物』がどうしても気になったので、萩原大輔先生による解説本『異聞 本能寺の変 「#乙夜之書物」が記す光秀の乱』を購入してみた。 pic.twitter.com/ymxrLS8L2W