早苗は大型バイクなど運転したこともない。 だが、なぜか懐かしい思いとともに白いカラスにまたがった。 「大阪の家に帰らんとあかん。」 早苗はバイクを走らせ、時速400kmを越えるスピードで夜の高速を東京から大阪へ向かった。 (続く) #人造人間ハカイオカン

軽く力を込めて押すと、メリメリと音をたてて扉は開いた。 早苗は外へ出た。 「どうしたらええんやろう？」 早苗は途方にくれたが、なぜか口笛を吹いた。 「ピイイイイーッ」 口笛を吹いて30秒もたたないうちに、爆音をあげて「白いカラス」が主人の元に到着した。 #人造人間ハカイオカン

その頃、研究所の地下では早苗が意識を取り戻していた。 「ここは... どこや？あかん、家に帰らんといかん。子供らが待ってる...。」 早苗はよろよろと起き上がった。 階段を上り、出口らしき扉を見つけたが、鍵がかかっているらしい。 「なんや、これは。うっとうしい。」 #人造人間ハカイオカン

「ええ、脳を取り出してロボットの体に移植したわ。」 「それって、まさか...」 「1ヶ月で新しいロボットボディーを用意するのは無理だったから、実績のある機体を使ったのよ。」 「あれを使ったのか？」 「そうよ。人間の脳を搭載した実績のあるボディーを使ったのよ。」 #人造人間ハカイオカン

「さあ、早苗さんを地下の研究室へ。勝はここで待っていて。」 ミツ子の指示で早苗は地下に運ばれた。 夕方近くになってミツ子が1階へ上がってきた。 「早苗はどうなった？」 「大丈夫、うまく行ったから。ガンが脳にだけは転移していなくて良かったわ。」 「脳だけは？」 #人造人間ハカイオカン

覆面を取ると二人の懐かしいロボットの顔が現れた。 「イチロー、ジロー。来てくれたんだね。」 「勝君、僕たちは君のためならどこへだって駆けつけるよ。」 車は数時間走り続けて、明け方には東京郊外の古びた建物に到着した。 「光明寺ロボット工学研究所」 #人造人間ハカイオカン

「姉さん、来てくれたんだね。」 勝が病室で待っていた。 「さあ、早く車に運んでちょうだい。」 ミツ子が指示すると覆面の男たちは手際よく早苗の体をストレッチャーで車に運び込んだ。ミツ子が運転席に座り車をスタートさせる。 「二人とも、もういいわよ。」 #人造人間ハカイオカン

ある日、妻の早苗が倒れる。病院で診察の結果は末期ガン。全身に転移しており余命1ヶ月を宣告される。 追い詰められた勝は姉のミツ子に電話をする。 「姉さん、助けてくれ。」 その夜、ミツ子と覆面姿の二人の男を乗せたワゴン車が大学病院に到着する。 #人造人間ハカイオカン

母の日に私が妄想する「人造人間ハカイオカン」。 ダークとの戦いから40年、光明寺勝はロボット工学の道を進み、南河内大学工学部学部長として多忙な日々を送っていた。 家族は妻の早苗、大学生の長女 舞、中学生の長男 武司。 #人造人間ハカイオカン youtu.be/uOQ1PvZ14vc?si…