【日蓮宗の宗学史19】 檀林 ↓ 充洽園 ↓ 立正大学 というような教育機関の進化を経て、 現在の日蓮宗では立正大学で教えられる大崎教学が公式採用されている。 それ以外にも新日蓮教学をはじめとして、様々な教学がある。 というのが現状である。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史17】 新日蓮教学は僕も学ばせて頂く縁があったが、非常に実践的で面白いと感じた。 これを作った髙佐貫長師（行道院日煌上人）は天才である。 大崎教学が冷静で客観的なら、新日蓮教学は情熱的で実践的だと感じた。 どちらも確固たる根拠と理論がある。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史16】 ちなみに日蓮宗公式の大崎教学の他には ✅新日蓮教学（髙佐教学とも。霊断師会の教学） ✅大石寺教学（日蓮正宗の教学） 等がある。 教学が複数あるのは「聖人の教えをどのように理解するか、近づくか」が研究者によって違うから、である。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史15】 「宗学は先師の積み重ねの上に成り立つ」ということを私は立正大学で教わった。 それまで宗学で重視されてきた「御義口伝」を否定した執行海秀師の研究はかなりの衝撃だっただろう… しかし、文献学的客観性を宗学に取り入れる動きは必要だと思う。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史14】 「御義口伝」とは日蓮聖人の法華経の講義録で、日興上人が書いたとされてきた。 執行海秀師の研究により、実際には日蓮聖人・日興上人よりも後の時代に作成されたものと判明。 日蓮宗の宗学（大崎教学）では採用されないが、採用する教学もある。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史13】 執行海秀師（1907～68） ✅望月歓厚師・浅井要麟師の精神を受け継いだ。 ✅論文『御義口伝の研究』で「御義口伝」を偽書とした。（それまでは重要な書とされてきたのでかなりの衝撃） ✅よって「御義口伝」は現在の日蓮宗の宗学では採用されない。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史12】 浅井要麟師（1883～1942） ✅「祖書学」を確立した。 ✅日蓮聖人のご遺文を文献学的な観点から研究。（筆跡鑑定や成立年代などをしっかり吟味し、偽書か真筆かをしっかり判定する） ✅浅井師もまた、宗学に客観性を持たせようと尽力した方である。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史11】 望月歓厚師（1881～1967） ✅「宗学史」を確立。 ✅近世の宗学は優陀那院日輝師により成立した、とした。 ✅中立的で冷静で客観的な宗学のあり方を唱えた。冷静で論理的な視点は学問としての宗学には必要不可欠であろう。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史10】 ✅ここまでのまとめ 1️⃣檀林での教育は日蓮教学ではなく天台教学だった。 2️⃣優陀那院日輝が充洽園を設立し、日蓮教学の講義。 3️⃣充洽園卒業者が立正大学の前身を設立。宗学を担っていく。 4️⃣望月歓厚師・浅井要麟師が宗学に客観性を。 5️⃣現在へ… #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史9】 優陀那院日輝（1800～59） ↓ 新井日薩（1830～88） 吉川日鑑（1828～86） ↓ 清水龍山（1870～1943） ↓ 望月歓厚（1881～1967） 浅井要麟（1883～1942） ↓ 茂田井教亨（1904～2000） 執行海秀（1907～68） ↓ 宮崎英修（1913～97） #作務衣チャンネル豆知識 pic.twitter.com/bjAj2ADJHh

【日蓮宗の宗学史8】 私は北川前肇先生という宗学の第一人者に、子供の時可愛がってもらいました。 北川先生やその同期の庵谷行亨先生は茂田井教亨先生にも教えを受けており 茂田井先生は清水龍山先生という日蓮宗大檀林卒業で立正大学学長を務めた方に師事しています。 #作務衣チャンネル豆知識 pic.twitter.com/zO0VyTMn9e

【日蓮宗の宗学史7】 現在の日蓮宗の宗学は 浅井要麟（あさいようりん）先生 望月歓厚（もちづきかんこう）先生 の2人が土台を作った。 彼らの特徴は宗学に客観性を持たせようとした事。（日蓮仏教は情熱的で主観的になりやすい。それでは道を誤る可能性もあるので…） #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史6】 充洽園を卒業していった僧侶たちが明治時代の日蓮宗を作っていく。 その中には新居日薩師、吉川日鑑師らがいて、彼らは日蓮宗大教院を設立。 日蓮宗大教院 ↓ 日蓮宗大檀林 ↓ 日蓮宗大学林 ↓ 日蓮宗大学 ↓ 立正大学 となっていくのである。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史5】 充洽園では優陀那院日輝の教学が教えられ、「充洽園教学」「優陀那院教学」と呼ばれた。 特徴としては、日蓮聖人の情熱的な部分を重視するというよりは論理性を重視。（立正安国論、開目抄などは重視していない） また、折伏よりも摂受を重視した。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史4】 優陀那院日輝（うだないんにちき。1800～1859）は「日蓮門下の僧侶なのに、檀林で教わるのは天台教学…」という状況を変える為、「充洽園（じゅうごうえん）」という私塾を幕末、石川県に開設。 檀林教育に不満がある多くの僧侶が入塾し学んだ。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史3】 日蓮宗の僧侶教育機関としては檀林（だんりん）が有名。 1500年代から檀林は出来始め、政府が運営した。 そして、そこで行われた教育は日蓮教学ではなく、天台教学を教えるものだった。 （日蓮教学を教え、政府批判する者が生まれるのを防ぐ為） #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史2】 宗学という言葉は実は比較的新しい。 「日蓮聖人の時代からあるのでは！？」と思ってしまいがちだが実はそうでもなく、「宗学」という言葉が使われ始めたのは大正時代くらいから。 ※もちろん大正時代より前にも教義を研究・勉強する動きはあった。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗学史1】 「お前ごときが日蓮宗の宗学を語るな」 というご批判はあるのは百も承知ですが、一応立正大学で教育を受けた日蓮宗教師として、無理のない範囲で日蓮宗の宗学の流れを述べていきます。 ※ここでは「宗学」と「教学」は同じ意味です。 #作務衣チャンネル豆知識

【妙】 不可思議（人智を超えた）で微妙（細やか）な 【法】 教え、全存在 【蓮華】 ・泥から咲く美しい花 ・華果同時（花と実が一体） →苦しく汚れた娑婆世界から生まれ、美しい理想の世界に変革する象徴。 これが【妙法蓮華経】という字に込められた意味なのだ。 #作務衣チャンネル豆知識

「南無」とは ✅帰依（きえ）：深く信仰する ✅帰命（きみょう）：心身を捧げて信仰する という意味がある。 南無妙法蓮華経（お題目）は「妙法蓮華経を深く、心身を捧げて信仰する」という意味なのだ。 #作務衣チャンネル豆知識

ちなみに「宗」という字は 1️⃣台の上に 2️⃣お供え物が乗っていて 3️⃣屋根がそれを守っている という様子を表している。 これは命の根源ともいえる先祖や神仏を供養する意味が込められている。 自分もいつか供養される訳だし、供養の大事さを教えてくれるのが宗なのだ。 #作務衣チャンネル豆知識 pic.twitter.com/EWd3MijWFJ

「宗学」というと「宗派の教えを学ぶ、宗派の為の学問」というイメージだろう。 その宗派の考えもあるだろうが 日蓮宗の宗学は「日蓮宗の為の学問」ではなく「法華経を通じ自己を見つめ直し、他者を導く為の学問」である。 日蓮宗というグループよりも広い部分を目指す。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史133】 まだ紹介出来ていない日蓮門下系の教団、宗派もあるのですが、これにて日蓮宗の宗史シリーズはいったん終わりにします。 なるべく難しい言葉は使わずに、枝葉を落としてシンプルな解説を心掛けましたが、それでも中々長くなっちゃうものですね💦 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史132】 今後は特定の宗派に所属せずに、単立寺院を選択をする寺院が増える可能性もあるかも。 もしそうなったら、それはそれで新しい歴史だとは思います。 SNSでバズって有名になって、自分が新しい宗派を作った方もいますしね。（法華系ではないですが） #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史131】 ここまでであまり触れなかったのですが、単立寺院というものがあります。 単立寺院とは「宗派に属していないお寺」です。 「歴史的には○○門流のお寺なんですけど、どの宗派にも属しておらず、1人でやってます」みたいなお寺も結構あります。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史130】 今後の日蓮門下教団がどういう歴史を辿るかは未知数。 ただ、最上稲荷教が平成21年に日蓮宗に合流したように、小さい教団は僧侶の教育と後継者探しに苦労するから、比較的大きい宗派に合流していく可能性も。 今後は分裂ではなく、合流の流れか？ #作務衣チャンネル豆知識 pic.twitter.com/GbGWq0SsZd

【日蓮宗の宗史129】 個人的には一致か勝劣かはどうでも良い問題。 「ご自身が正しいと思う方を信じて頑張って下さい」と感じる。 どの宗派も歴史があるので、尊重されるべき。 ※ちなみに一致派は日蓮宗や日蓮宗不受布施派などで、他の日蓮門下教団は大体勝劣派です。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史128】 日蓮門下の教団が分裂していく主な原因が、「一致」か「勝劣」かという教義上の見解の違いである。 一致（一致義）は「法華経は全体が大事」、勝劣（勝劣義）は「法華経は後半が大事」という考え。 日蓮宗は一致だが、勝劣の宗派も多い。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史127】 長かったこのシリーズもそろそろ終わり。 ダイジェスト的に短くまとめたつもりですが全然短くないですね💦 日蓮宗（日蓮門下の教団）は日蓮聖人から六老僧＋日常（富木常忍）を中心に発展して来ました。 復習として総まとめの整理図をどうぞ！ #作務衣チャンネル豆知識 pic.twitter.com/i0K4hdB7Dr

【日蓮宗の宗史126】 日持上人についてはここまでで一区切り。 分かっていることが非常に少ない、ミステリアスな六老僧ですね。 僕も海外布教はしてみたかったけど、現実的には難しい。 海外布教の祖なので、ちょっと憧れてしまう方であります。 #整理図はありません #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史125】 日持上人はその後、北海道から大陸へ渡ったとされるが、大陸で日持上人が布教をした確実な証拠は見つかっていない。 一応、満洲には日持上人が来た遺跡があると言われているが、ちょっとよく分からない。 没年も亡くなった地も不明である。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史124】 日持上人は自身の門流を作るという事はなかったが、貞松（静岡県）の蓮永寺を作ったのは有名。 また身延山の宿坊である窪之坊も作っている。 聖人の滅後には海外での布教を志し、北へ向かった。 青森や北海道には日持上人の足跡がある。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史123】 日持上人（1250～没年不明） 駿河国（現在の静岡県）出身で、六老僧の1人。 六老僧の中では法臈（ほうろう。出家してからの年数）が最も短い。 日興上人の弟子であったらしく、日興上人に導かれ日蓮門下に入る。 他の六老僧と同じく勉学に優れる。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史122】 日蓮宗の宗史シリーズの最後は日持上人です。 日頂上人と同じく、日持上人も自身の門流を作ることはありませんでした。（お寺は作りましたが） しかし、海外への布教を志し、挑戦した六老僧として名高く、とてもロマンあふれる方なのです。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史121】 日頂門流というか、日頂上人の人生についてはここで一区切りです。 六老僧で学識に優れ、義父（富木常忍）も力がある。 成功の為の条件がすべて揃っていたような方にも思えるのですが、他の六老僧に比べるとどうしても控えめに感じてしまいますね… #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史120】 日頂上人は富木常忍から勘当された後は日興上人の下へ行き、重須（静岡県）で暮らし、亡くなっていった。 才能にあふれ、将来を期待された方だったが、自身の門流も作らず静かに生涯を終えてしまうのは、ちょっと勿体ない気も… #整理図はありません #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史119】 日頂上人が富木常忍に勘当された理由は下記のような説がある。 ①日蓮聖人の3回忌の前日に日頂上人が到着。→「もっと早く来い！」と常忍の怒りを買った。 ②真間弘法寺の関係者が日頂上人の悪い噂を富木常忍に流していて、それを常忍が信じたか？ #作務衣チャンネル豆知識 pic.twitter.com/i25oWZqBKS

【日蓮宗の宗史118】 日頂上人は学才に優れ、その資質の高さは日蓮聖人も認めている。（六老僧なので、資質が低い訳がないが） そんな日頂上人だが父親の富木常忍に勘当されている。 日頂上人が活動していた下総中山周辺は富木常忍の領地である為、退出していくことに。 #作務衣チャンネル豆知識

【日蓮宗の宗史117】 真間弘法寺は弘安元年（1278年）に天台宗の寺院を、富木常忍が宗論で打ち勝ち、日蓮門下に改宗させた寺院。 富木常忍と当時の弘法寺の住職の対決だったが、実際に論破したのは日頂上人。 そんな訳で真間弘法寺の開山上人は日頂上人なのである。 #作務衣チャンネル豆知識