1934.6.23(土)続き いいお天気の一日のひがへりの旅はみちみちそれ相当な風景のなかに陽がかげろひ 風物詩的な旅愁をのこして ちと 侘びしい 最後のところ 『「人情紙風船」が山中貞雄の遺作とは、チト、サビシイ』 を思い出します。 どちらかの、または仲間内の流行り言葉だった？ #全日記小津安二郎

1934.6.23(土) 梅雨どきには珍しいいいお天気の日で宏 忠 荒と野田のきのへねに出かける 工場を見てから清水公園でめしを食ふ 成田山にまわつて 九時頃帰宅する 兄 房州行 8歳下の妹登久の嫁ぎ先がキノエネ醤油だった縁で、母と弟の信三の疎開先にもなった野田。いつか訪ねてみたい #全日記小津安二郎 pic.x.com/pGosGjUwTR

1962.6.22(日) まことに暑い 東京33℃の由 テレビにて〈きくとイサム〉を見る 秀作 良輔くる 夜一同コックドールにゆく 魚徳にて鮎を購ふ 無為 60年以上前に33℃とは！🫠 「キクとイサム」という映画を見てみたい。 コックドールは蓼科プール平にあったアメリカンスタイルのカフェ #全日記小津安二郎

1959.6.22(月) 新宿十二時の準急で 岸 三村 林 宮内くる 山中会　井上和男ロケの途中による　片倉にて款談 雨となる 夜更けて井上黒部に立つ 山中会が片倉山荘＝無藝荘で行われた。小津は「浮草」の脚本訂正中で在蓼。 「蛮さん」こと井上和男は『小津安二郎•人と仕事』の発行者。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/GUjYaHcVjM

1961.6.21(水) 出社　出演助役者の衣裳しらべ　のち電車で清荒神から大阪に出て　城の見へる風景ロケハン　のち美々卯にてうどんすき　道頓堀の夜景をみて　電車にて西宮まわり帰る 明くる年の「小早川家の秋」のロケハンもこの日。春に台本が出来上がり、初夏にロケハンという流れ #全日記小津安二郎 pic.x.com/4t9lY8IcfC

1960.6.21(火) 上野一時過ぎの汽車にてロケハンに出発　渋川まで　それから車にて伊香保に至り岸権旅館に投宿　本館の三階なり 「秋日和」のロケハンだ。 翌日は榛名湖へ。 「別館に移って二泊　鶴の間　よるもすがら時鳥をきく」 #全日記小津安二郎 pic.x.com/zdm6XhRLyI

1955.6.20(月) …高橋貞二と板橋がくる 契約の相談なり 大船に電話して山内を呼ぶ …高橋のキャデラックで横浜の海員閣にゆく… 夏に撮影する「早春」で高橋貞二は小津映画デビューを果たした。 酒好きで車好き。危うい運命を知っているからか、親近感と共に煌めきを感じる彼である #全日記小津安二郎 pic.x.com/Te126ACZe6

1956.6.18(月) 出社 10万円借りる 貞二の車で山内　村上 小松と上京 北川 村上とおかめ〈満員〉　重箱にゆく… この日夜 池部ドイツにゆく 啓子くる 前年に撮った「早春」の高橋貞二と池部良が出てきた。 築地の天ぷらおかめに振られ、赤坂の鰻重箱へ。どちらも名店中の名店である #全日記小津安二郎 pic.x.com/gY0h5fzAy4

1937.6.17(木) 池忠と浜に落合つて相州箱根清光園に行く 俗事全般を極む 山中貞雄が東京に来て2カ月半の頃、監督仲間との集まりも多く、ゴルフ、買物、ご馳走…と連日連夜楽しんでいる。 なかでも頻繁に会うのは池田忠雄。共に過ごし、この日は何やらはっちゃけた模様？ #全日記小津安二郎 pic.x.com/CPqFXOzLik

1953.6.16(火) …松坂屋→松屋→高島屋→白木屋→三越の屋上を見る　白木屋にて英国アストールの電気冷蔵庫を買ふ 車で松坂屋うらの蓬萊屋にゆく のち上野公園を見る 不忍の池をめぐり車にて銀座に出て…帰る 帰つて茶漬を喫す 東京物語のロケハンだ。 とんかつ→茶漬でしめくくり #全日記小津安二郎 pic.x.com/YZIfGrg1Je

1935.6.15(土) …茂原　飯田に会ふ …僕　茂原氏とは年来の口約あり　口約を果さんとせば監督廃業するにしかず 決心す　それもよし トーキーは「茂原式」で撮るという約束のため小津は粘った。そして翌年「一人息子」を撮った。 小津らしさがビシビシ伝わるエピソードの一つ。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/2BMsSg1xks

1934.6.14(木) 新館に久米さんを訪ねて色紙をかいてもらふ 蝙蝠や出水明りに書く手紙 で僕も一句 ▲青梅も色づくままに酒旗の風… 2日前より湯河原の中西旅館で池忠と「浮草物語」のストーリー作り。作家で俳人の久米と合流し相談。前日も「夜半に茶漬をくらひ　ストリーを立てる」 #全日記小津安二郎 pic.x.com/7BOB3FiPGZ

1961.6.13(火) くもり 十一時出社キャメラテスト …一時から〈浮草〉の試写 宿に帰つて床屋にゆく 明いうちに夕めしにする 柴田からワイシャツとどく 寒い 8日から「小早川家の秋」のロケで宝塚方面に滞在中。主演の方々が出ている「浮草」をかけ、翌日は「秋日和」をかけている。 #全日記小津安二郎

1955.6.12(日) 車で鎌倉会に出かける　ゲスト菅原夫妻　田中春男　のち菅原邸にゆく この年の日記はその1、2があり、鎌倉会は長谷の華正樓、通済邸は常盤山とある。通済邸の古民家を移築したのが茅ヶ崎の熊澤酒造。生誕120周年の湘南ビール買いに寄りました。華正樓は中華菓子も⭕️ #全日記小津安二郎 pic.x.com/eyD70kAGcB

1953.6.11(木) 曇天 朝餐を終れば午となる 三時半の電車にて大船に行かんとせしに のり後れたれバ バスにて行く… …晡時 帰る 駅前本屋にて荷風全集前期十二冊を購ふ 前年大船の火事にて焼失したれバ也 火事で日記も焼失。これも本当に残念。 この年の6月は荷風を読みつづいている #全日記小津安二郎

1935.6.10(月) 召集令状来る 七月十日から三週間 暑さのさなか召集とある 終日たのしまず 池田相談に来る 相談ののち仲町宮川に行く 清水にてきんつば… 青山 近衛歩兵第4連隊の演習召集だった。 宮川は門前仲町の鰻屋。きんつばは深川不動参道の清水甘酒店。 門仲でなく仲町と書く #全日記小津安二郎

1953.6.9(火) 珍しく晴天となる　シャツとズボンに白帽にて出社　本年初めてのいで立ち也… …敬三の役　高橋にてハ如何とのこと　理由を述べて断りぬ　敬三の役　彼の如き肥大漢にあらず　会社の俳優運用上　適当ならざるを押しつけらるるハ甚だ不愉快也… 高橋とは高橋貞二⁉️ #全日記小津安二郎 pic.x.com/uuq90McDML

1937.6.9(水) 忠と高浜ゴルフに行く モナミで正男に会ふ 山中貞雄　岩田専太郎に会ふ… 4月に東京へ来て、「人情紙風船」のシナリオに取り掛かる山中と、その美術考証の岩田専太郎に会った。 その後は別の用事が立て込んでいたため、小津は少しの時間、山中達に会ったのだろう。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/5H62w9lsVr

1953.6.8(月) …入浴　夕刻会社より電話あり　東京物語コッピー出来たる由也… …鯛うしほ　ぬた　酒にて夕餐を喫し　蓐中荷風日乗をよみつづく　四更に至る… 終日の雨に肥厚性鼻炎の手術を翌日に送るも、股間に腫物と思わしくない。四時間毎に服薬しつつ終日荷風でa.m.3:00に。 #全日記小津安二郎

1961.6.7(水) 一時新橋駅　伊勢由にて湯衣を買ふ　東宝本社にて白川洋服仮縫を見る　高島屋にて洋服地小布を見る　中井　石井　下河原　金子　寺本　竹前と神田天政にて会食　村上と同車　浦野に会ふ 「小早川家の秋」の服飾関係の準備が捗った一日。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/TyllswFcV9

1933.6.6(火) …服部の大時計が八時を打つた　竹葉のよしの戸から銀座の夜の町が美しい　九時がなつてone hour with youだ 銀座の鰻、竹葉亭。 『小津安二郎美食日記』によると、この本店と五丁目店があり、気楽な後者を好み、鯛茶漬に執心された。「うなぎ」の字に小津味あり。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/1XLF2hhbOO

1953.6.5(金) すでに梅雨に入りたるものの如し 友野　紅蜀葵の苗を鎌倉より購ひ来る　雨の晴間に植へたり 天気鬱陶しけれバ月ヶ瀬に電話して出社とりやめたり 荷風日乗を読む 紅蜀葵はモミジアオイという赤い花。秘書のような益子さんに出社せずとことづけ、荷風日乗を読む。流石！ #全日記小津安二郎

1960.6.4(土)曇 入浴　鰹の刺身をくふ　久々にして美味　ひるね　早慶一回戦をテレビにて見る　三対二　慶の勝　夜に入つて雨　雷鳴　利市の餅を野田さんに届ける この日スト 「秋日和」の脱稿後、蓼科から戻り、蓬萊屋のとんかつを食べた翌日は家で寛いだ。ストは安保反対スト。 #全日記小津安二郎

1934.6.3(土) 湯の島館主の案内にて車にて飛騨高山に行く 見知らざる古き町に真昼の雨細かく降りて美し この日下呂に引き返し湯の島館に泊る ▲藤咲くや屋根に石おく飛騨の宿 前日より同行八人、つばめで下呂温泉・湯之島館へ♨️ 霧雨、石置屋根、咲き残る藤とは風情があります。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/6J4eCSAmRV

1933.6.2(金) ▲大学よいとこがとに角出来上つた ▲あしたの旅でとに角ねつかれず　小学生の様な気持でまぢまぢと夜更けまで机の前で煙草を吸ふ 「大学よいとこ」の台本が一応でき、 翌日から会津若松、猪苗代湖、磐梯山などを巡る二泊三日の福島の旅へ出ている（同行者は不明） #全日記小津安二郎

1955.61(水) 快晴　野田夫人と柳井邸にゆく 海岸の方散歩　夕めし岡村くる　藤沢にゆく　入舟ーー大阪ずしにゆく… 茅ヶ崎館近くの柳井隆雄の家に寄ったのかな。「東京物語」の尾道「竹村家」は柳井のいとこが経営していたとのこと。 #全日記小津安二郎 #小津安二郎と茅ヶ崎館

1953.5.31(日) …亜紀子くる　兄鯛の浜やき持つてくる　刺身　酒にて昼食 入浴　麦酒　豚やきにて夕食 玄関に兄　八畳に吉成　亜紀子とねむる　六畳に母と慧子と啓子　塘眠堂満員なり 北鎌倉のお家は賑やかだ。 俳号でもある塘眠堂がきいてます。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/i8ma3mpCwE

1937.5.29(土) 一日在宅 〈路傍の石〉など読む ましろやにモーニング注文する　市川の次女結婚式近けれバなり 〈路傍の石〉は新聞連載か。 「淑女は何を忘れたか」公開後から山中の「ええ花植えたな」の葉鶏頭の夏までの束の間の日々。 #全日記小津安二郎 pic.x.com/oo1tJVtRdq

1954.5.26(水) 良輔小田原に出かける　競輪五百円のる　百円返る　柏又のうなぎを持つて帰る　散歩に出る 夜　良輔　野田と月ハ上りぬを訂正して　暁に及ぶ #全日記小津安二郎 #柏又 pic.x.com/2beKRVJ9oT