「天使が、横切ったのよ」 そっと彼女は、呟いた。 #架空小説書き出し

惑いながらも、あなたに寄り添った。 アクアリウムの熱帯魚たちはゆらゆらと極彩の鱗を輝かせている。 いま、あなたを連れ去って、摩天楼を見にゆきたいの。 ううん、違う。そうじゃないわ、きっと。 あなたとこれからずっと、一緒にいたいだけなのにね。 #架空小説書き出し

返信先:@DP_HINATAひにゃ、お誕生日おめでとう🎂🎉 そう言ってくれるお友達が増えた合宿でした。そしてこの感想文を提出したら、おめでとうと言ってくれる先生も増えるかも知れません。そういう意味では感想文を書き終えるまでが合宿なのかも知れませんね。 #架空小説書き出し #後藤ひなた

返信先:@manamodesugaもしかして ラランドのニシダさんのやってる #架空小説書き出し みたいなの？

今から何十年後かの遠い未来。死を覚悟した私は、古いアルバムをめくりながら、高校入学直後に行われた合宿に想いを馳せる。 「この合宿で私は一生涯の友を得たんだなぁ」 未来の私は、きっとそう思う。 そうなって欲しいと、今の私も思っている。 『感想文』より #架空小説書き出し #後藤ひなた

ああ、なんということだ、どうにも胸が高鳴ってしょうがない。 【浪漫道に彼は征く】 #架空小説書き出し

2024/04/02 電車の車窓から咲き始めの桜が見えた。 ほんのりピンクに染まった顔をしている。 新しい生活が始まることを予感させるようで、うんざりする。 私はまだ、ここにいたいのに。 『堕落』より #架空小説書き出し

フライドポテトの匂いがすると思ったら隣に座った女の香水だった。せっかくの匂いに申し訳ないが、終盤に差し掛かったミステリに勝る興味は沸かなかった。電車を降りる時にチラリと女を見ると顔が想像通りで1人笑ってしまった。 『拍手喝采を追いかけて』 #架空小説書き出し

タバコの煙が部屋を満たせば満たすほど、男の心は空っぽになっていく。 手に残っている温もりはきっと、あの娘のものに違いない。 『未練』より #架空小説書き出し

さて、原稿を書き終えた私はひどく疲れている。本当にこんな終わり方で良いのか散々悩んだあげく、何も手を加えなかった。自然の流れに任せるしかない。やはり、この点については人生と同じである。 『シナリオ』より #架空小説書き出し

ゴールデンウィークに不思議な出会いがあった。漫画に出てくるような小さくて、可愛い狐が目の前に現れたのだ。こないだの稲荷寿司の恩返しだと言いたいのだろうか。短い足で立ち、小さな手で感謝を示しているように見えた。これがこの物語の最初の縁である。 『GoldEN』 #架空小説書き出し

雨の中ひとり考える。どんな夢を見たのか。どうやって歩いてきたのか。その時泣いていたのか、笑っていたのか。あまりに曖昧なこの世界の揺らぎにいて、進んでいると怖くなる。これが正しいと、誰が声を掛けてくれるんだろうか。 『かけ端』より #架空小説書き出し

死ぬことへの恐怖が薄れてから、いやそんなことを考える暇すら消えてからどれくらいの時間が経っただろうか。自分が慣れたのか受け入れたのかはわからないが、学生時代の自分が見たら嘲笑するようなつまらない人生を歩んでいる。 架空小説書き出し「天国行き」 #架空小説書き出し

大型連休前はいつも気分が落ち込む。祖父の家の手伝いをしなければならないからだ。そんなマイナスな気持ちを抱えていたが、一瞬で消え去った。今年はいいお茶が摘めそうだ。 「緑よりも輝く」より #架空小説書き出し

退任を祝う演奏会が無事に終わった。第二の人生の序曲に相応しいトランペットの高らかなファンファーレに胸を躍らせたのはもう数日前の話である。Nは、想像以上に素晴らしい演奏会になったと喜びを噛み締めていた。 『大・団・縁』より #架空小説書き出し

命の燈が消えかかったモスグリーンの君の瞳には最期なにが写っていたのか、それを考えるだけで僕のI日が終わる。 「碧色の世界」より #架空小説書き出し

カーテンの隙間から差し込む朝日に気がつくと、いつも決まって頭が痛くなる。また一日をやり過ごさねばならないのかと思うと、このまま布団に潜り込んで隠れていたいという願望に支配されてしまう。そうぐずぐずしている間に、昼になっている。 『六年病』より #架空小説書き出し

ジャムも砂糖、ケーキも砂糖。ほとんどの甘味は砂糖が八方美人をしているだけだ。顔の系統が違う美人であっても食べれば食べるほど病気のリスクは高まる。甘いもので信じていいのは意外とワゴンの中にある不恰好な果物なのかもしれない。手に取ろうとは思わないがね。 『果実』より #架空小説書き出し

どんなものでも日本一がいい。日本一の山や日本一の湾が身近にあるからか、どうしても日本一に惹かれる。そうした環境で育ってきたから。 「頂点」より #架空小説書き出し

人と一緒に仕事ができない。サラリーマンとしては致命傷である。そして、その致命傷を追っている事に気がついたのは、サラリーマンを始めて13年目の事だった 『カウンター２名でお待ちのお客様』 #架空小説書き出し

雨。雨。 外界から聞こえる音。金切り声のように揺れる窓。激しい雨。鳴り止まない不快音との間にある、居心地の良さ。 私は思った。雨のような瞬間的なものに、全ての自由を奪われたい。 『束縛ロン』より #架空小説書き出し

まだ肌寒い朝 あえて肌を出し寒そうに毛布に包まれたこの時間と温度がたまらなく愛おしい 春でもなく夏でもないこの私の知らない季節はそれを教えてくれるのだ 『パンイチ』より #架空小説書き出し

君の光が目の前を通り過ぎた。 銀色の装飾が光を反射させてチカチカと目が痛い。 ああ、と目を瞑った僕を見て、君はイタズラに笑った。 『正反対ピアス』より #架空小説書き出し

夜の香りがあちこちに残され流れていくこの華やかな通りのあの角を曲がると薄暗い裏道に入る。まるで人間の本性を表したようなこのルートが平和な世界への行き方なのだと私は知っている。 『ニューハーフBar Half&All 』より #架空小説書き出し

国民は全て子どもであり、aiを知る者を［おとな］とする。 『心二人告献豊～しんにほんこくけんぽう～』 #架空小説書き出し

桜の花と春の連休が瞬く間に過ぎ去った憂鬱な季節。暦の上では春のはずだが、こちらの気分とは裏腹に清々しいほどの快晴、夏日である。早くも冷房を稼働させた診察室で溶けていると、いつも通りの足音と数ヶ月ぶりのクールビズで女刑事が飛び込んできた。 『Dr.花咲の事件簿」より #架空小説書き出し

1999年の春、千年紀の終わりに差し掛かる東京で、彼らは誰にも言えない秘密の約束を交わした。都会の喧騒が静寂に変わる夜、彼らの間に芽生えた秘密は、やがて運命を大きく揺るがすことになる。それは、二人だけの知られざる物語の始まりだった。 『秘密の線』より #架空小説書き出し

私には大きすぎてサイズが合わないパーカーを着て水たまりに寝そべる。ほのかに泥だらけになってもなおあの雨の日を思い出す。二度と思い出してやるもんか、ばーか。 『紐の行末』より #架空小説書き出し

「好きだったよ、昨日までは」 そう言われた日の帰り道、悪かったのは昨日の僕なのか今日の僕なのかひたすら考えていた。 『蛇口の締め忘れ』より #架空小説書き出し

久しぶりの実家では朝食で1合の新米を使った親子丼が出た。 「あんたこれ好きだったでしょ」 そんなのいつの話だよ。と思いながら食べた親子丼がきっと人生で一番美味しかった。 『オンブバッタ、がんばった』より #架空小説書き出し

君はいつでも周りと同じと思われることを嫌っていた。そんな君を理解できなかったのはきっと平和ボケしているマジョリティが正義な世界で生きていたせいなんだろう。全世界が同じ意見になってくれれば君と僕とはもう少しだけ近くにいられたはずなのに。 『魔女のスープ』より #架空小説書き出し

人と違う部分を探す行為自体がそもそも人と同じでそんな風に"特別感"だけを味わって今を生きる人が私は苦手だ。そんなことを時々考えるようになった。 『十人無色』より #架空小説書き出し

ゴミ出し玄関を開けた同じタイミングで隣の日向さんと目が合った。 ｢おはようございます｣と日向さんは柔らかな笑顔で挨拶を向けてくれた。 また顔のアザが増えている､昨晩も同棲相手の男の怒鳴り声が聴こえてたっけ。 ｢アスモデウスの隣人｣ #架空小説書き出し

｢奥様､大丈夫ですか…｣ 夫の葬儀場で1人項垂れる私を夫の秘書だった男が声をかけた。 ボディガードを兼ねていた彼は夫より浅黒い肌で体格が良く､ 低い地声が失意に覆われた心に響いた。 肩に置かれた逞しい手に触れ 声がついて出た。 ｢私を満たして｣ ｢ベルゼブブの未亡人｣ #架空小説書き出し

私は恩人である金貸しの叔父の仕事を手伝える歳になった。 初めて請け負った取り立て相手は、 私をイジメた主犯の同級生の父親だった。 ｢マモンの娘｣より。 #架空小説書き出し

どうやら僕が生きるこの世界は広くて、騒がしいらしい。 『空に潜れば』 #架空小説書き出し

嫉妬に狂いそうな程に美しい夕焼け空 『見えているモノ』 #架空小説書き出し

涼しい風が入ってくる。少しひんやりとした風は、頬をつたい髪にあたる。毛先がなにか言いたそうに揺れたように感じた。彼女の気持ちを汲むかのように。 ｢清らかな風｣より #架空小説書き出し

嘘でもいいから、好きとか、言えないわけ？ すると君は平然と言ったね。 「思ってもないのに言ったって怒るでしょ」 嘘をつくことすらできない自分を誇っているみたいな口ぶりだった。 「馬鹿にすんな」 生まれて初めて人を殴った。 『嫌う勇気もないくせに』 #架空小説書き出し