【異なる世界の話１４３】 「ぐるぐると廻っていれば大抵は辿り着くものさ。」 『なぜ傾いたんですか。』 「どうしてかは分からないが、それだけ時が経ったってことだろな。それに、これはモニュメントだ。本物ぢゃなひ。本物は、造りが精巧で何百年経っても、傾きやしなひ。」 (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１４２】 「あぁ…風が…どこから吹いている？」 『東より吹いてございます。』 「東…そうか、東か…郷里よりの便りか…。」 『郷里(さと)の風』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１４１】 「ん、山霧が。月は、はっきり見へるといふのに。しかも、地に水の氣が溜まっている。ここは干し場のはず。…まさか、山が滑るのか。」 『彩雲の山』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１４０】 少し昔までは、たくさんの古い街の残影が、道端にむき出しになっていたものだったが、今は全く失せて、薄っぺらに綺麗になってしまった。何をそこまで取り繕って化粧する必要があるのか、理解しかねるが、それが"街"といふものなんだらう。 『街』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３９】 総称の水脈が縦横に流れている。この水脈を頼りとしてピッドが存在する。 またピッドとは別にディクマロウラの地下には、多くの人々がワウリ(集落)を数多作って暮らしている。彼らも、水脈を頼りとしている。 『ピッド』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３８】 いう意味がある。 そのアリゴフラードの周囲に広がる不毛の砂漠地帯はディクマロウラ、絶死の大地とも呼ばれる。そこを歩く者は誰もいない。 このディクマロウラの地下には、アルマウラ・セーリといふ (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３７】 人々は、過去の遺産である"灰の大地"を基礎とし、街を造った。それを彼らはピッドと呼んだ。主要なピッドは８つあり、他に大小数多のピッドが存在する。それらピッドの総称を"アリゴフラード"と呼んだ。古い言葉で"照らす者"や"明るき者(転じて賢者)"と (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３６】 『旧世界言語大鑑』より フォーティークピッド(古世語アルカロニア語で、"たくさんの埋もれた島"の意) 「神住まふ聖地コドラルと古への都マスガヴィーに永劫の平和と繁栄を」 (原典:『ピッド』) 『旧世界言語大鑑』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３５】 『旧世界言語大鑑』より クレアッド・ウィルの名を冠する。) ステムテアルピッド(旧アティトニル派の神、アルタムの最初の崇敬者エルトゥーニ・ステムテアルを由來とする。) (原典:『ピッド』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３４】 『旧世界言語大鑑』より フォートルピッド(伝説の巨鳥。旧オスールガヴィ騎士團の主團旗の紋様。元はニディナ戦記に登場するアクラバル王國の國旗に由來。起源は"コラレイオの翼"と傳ふ。) クレアッド・ウィルピッド(傳創設者、 (原典:『ピッド』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３３】 『旧世界言語大鑑』より 居た参拾余族が居住する) ブラッダサイピッド(聖なる３つの丘の守護者エルデムが持つ杖の名。古ウルジ語で"闇の光") フォートルピッド(伝説の巨鳥。) (原典:『ピッド』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３２】 『旧世界言語大鑑』より クラトー・ノームピッド(創設者クラトー・ノームの名を取る) ロコタイピッド(コドゥラルにあったといふ教會の神紋、教會はアルザ教最後の拠点と傳ふ) ダリハヤピッド(沈島したウッラ諸島の地方名、そこに (原典:『ピッド』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３１】 『旧世界言語大鑑』より ラフトメル・ボザール(開かずの要都)、ボザールの神軍(神聖参大族)、クアローノル(ボザールの聖なる門)、ワラメイル・アートス(ボザールの盾)、ダワフ・メロラ(ボザールの黒鋼) (原典:『ボザール聖典』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１３０】 『旧世界言語大鑑』より イゥ(１)、マト(２)、カサ(３)、ヒュ(４)、クヲ(５)、ウル(６)、ワゥニラ(７,見えないの意)、ィミニ(８)、イムマ(９,舟の意)、イウユマ(１０) (原典:『セニ語拾遺』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２９】 『旧世界言語大鑑』より クヲルグ商會、オッフコドゥラル地区、クラレイクデ地区、イウユマ地区、カサフアル地区、ゾフク集合廟、扇主連(オホスレン)、狩右守連(カルウシュレン)、古主座の杜、隻翼の者、主要陸區 (原典:『トルカウ地區商會日錄』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２８】 『旧世界言語大鑑』より コールホーマイン船集街、ジップ(僚空船)、ハッジ(他空船)、ダワイネッド商會、ハチケイ商會、拾参號商會、キヲケンク商會、キンジ=ビケクワ商會、エルトゥーニ・ステムテアル、第四空商連、 (原典:『トルカウ地區商會日錄』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２７】 『旧世界言語大鑑』より トノース・レデア、ルネス・トノーキ、アフラディア地方、ネディクス川、ラティアロー山脈、メネノチス空湾、アクタンノー(アクトゥアン・ノール)ピッド、リーニクレア、アミアーマ、ザルクス (原典:『トルカウ地區商會日錄』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２６】 『旧世界言語大鑑』より モロフ、キア、カリトフ、ハスナ、イア、セネ (原典:『アルマウラ・セーリ湖底文書』) サディアラ・ウルマンス、ルプタ・カウセ、タラフ・キラクワイ、ケェイチェステニファン・シェス (原典:『サルダチャムナ院上名士錄』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２５】 『旧世界言語大鑑』より マドル・フェルーニ、フディー・カイヤワ、ドルビズリー、マルビェマ、モラフト・バンチ、パルビャマク、コーブヤズシ、ディアマルサ、ワーヌノーヌ、ハトシーフ、ウィドネル (原典:『大陸部族踏襲調査集成』) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２４】 最も険しき処に、家、伍、陸あり(内、壹所は堂か)。開きし者の名を取りて、在家の名とす。案蔵の衆、極めて長寿なり、中でも翁多し。又、翁衆、影の色見へる者ばかり也。ツキサチ(突八)サマの緣と云々。 『陽炎、舞ふ』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２３】 名より一字取り、地の形が谷であった故、旦谷(だんや)と名付く。彼の衆が住まふ土地をいつぞやより旦谷村と称す。村には伍つばかりの在家(ざいや:集落)あり。その一つが案蔵也。村の最奥、谷と山の境の (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２２】 注１ アンゾ:旦谷村(だんやむら)案蔵(あんぞう)。土地の者はアンゾと呼ぶ。生田原(いくたはら)の戦いの敗者、僧原(さわり)方の一将、八景(ひろみ)某と配下の衆、四拾数名、この地に流れつき、開きて住まふと伝ふ。旧在(きゅうざい:元の住まひ)の地の名 (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２１】 大体、形といふか影といふか、さういふものを見るのはこの辺りじゃ、さほど珍しいことじゃなかったんだら。殊にこの土地じゃ、常日頃、昼夜問はずして、よく見へておったら。さから、他所の土地の衆は酔氣(ゑひき)や影酔(かげゑひ)郷と言ふてござったら (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１２０】 人に見へるいうのは、殊に心に遺りのある衆や、大切な者を失った衆が、よく見へてござったけれども、それは、あまり良き事ではなひでら。形に喰はれるやら呑まれるやらいふて、そういふのを見ると早くにどうにも舟を漕ぐ(彼岸へ渡る)者の多かったら。 (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１１９】 青の影(月の影)を見ながら言うてござったら。えっと前の変はりの戦の折に、空ぁ見上げたら、そりゃあ色々の形の色々のものたちの行列が、様々の色を散りばめて幾列も幾列も終はりなく続いておったそうだら。誰ぞか、形の人に見へるという衆もおったら。 (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１１８】 大方は半透明なんだら、中には、色のついたものが見へる言ふ者も居て。だんさん(旦那さん)、ほれ、村奥のアンゾ(注1)のじさま連衆も色が見へると言ふてござったら。そりゃあ色々のいつくし(美しい)彩りであらしゃい("ござった"の古語)と青の影(月の影) (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１１７】 この頃は、えっと明るうなりしまうて、なずなず(なかなか)お見かけせんけども、しょて(昔)は、ようも見よったら。花に見へたり、獣やら、見た事も無ひ様な生き物に見へるたり、まあ、さういふのが見へん衆も居りはしたれど、大概の衆は見へよったら。 (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１１６】 「じさま、あの影、鯉に見へる。鯉のぼりみたいじゃ。」 『坊、影を見たらいかん。影に呑まれてしまふ。』 「呑まれる…？」 『ありゃ、人の暗がりを好むでな。心のな。』 (續) #異なる世界の話

【異なる世界の話１１５】 その峠には、もう春が来ただらうか。 『春待ち峠』(了) #異なる世界の話

【異なる世界の話１１４】 少なくともそいつ自身は信じて無かったらうさ。自分がそれを失ふとはよ。けれど、そいつが受け入れやうが受け入れまひが、実(じつ)として、失ったんだ。あの峠に来る頃にゃあな、そいつは失ってたんだよ。じゃなけりゃ、あの峠に立ち寄る事なんてねえさ (續) #異なる世界の話