青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “観海寺の和尚で名は大徹と云うそうだ。俗一人、二十四五の若い男である。 　老人の部屋は、余が室の廊下を右へ突き当って、左へ折れた行き留りにある。大さは六畳もあろう。大きな紫檀の机を真中に据えてあるから、思ったより狭苦しい。” pic.x.com/ag1gzvfDvE

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “静かなる風呂場を次第に向へ遠退く。余はがぶりと湯を呑んだまま槽の中に突立つ。驚いた波が、胸へあたる。縁を越す湯泉の音がさあさあと鳴る。 八 御茶の御馳走になる。相客は僧一人、” pic.x.com/qLNthGAguP

#夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “今一歩を踏み出せば、せっかくの嫦娥が、あわれ、俗界に堕落するよと思う刹那に、緑の髪は、波を切る霊亀の尾のごとくに風を起して、莽と靡いた。渦捲く煙りを劈いて、白い姿は階段を飛び上がる。ホホホホと鋭どく笑う女の声が、廊下に響いて、” pic.x.com/qc4s9T24LQ

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “滑稽に落つるが事実ならば、赤裸々の肉を浄洒々に眺めぬうちに神往の余韻はある。余はこの輪廓の眼に落ちた時、桂の都を逃れた月界の嫦娥が、彩虹の追手に取り囲まれて、しばらく躊躇する姿と眺めた。 　輪廓は次第に白く浮きあがる。” pic.x.com/7oooQA3hDp

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “ほのめかしているに過ぎぬ。片鱗を溌墨淋漓の間に点じて、(「虫＋礼のつくり」)竜の怪を、楮毫のほかに想像せしむるがごとく、芸術的に観じて申し分のない、空気と、あたたかみと、冥(「二点しんにょう＋貌」)なる調子とを具えている。 pic.x.com/dzkyg4tWqT

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “これほど抵抗の少い、これほど苦にならぬ輪廓は決して見出せぬ。 　しかもこの姿は普通の裸体のごとく露骨に、余が眼の前に突きつけられてはおらぬ。すべてのものを幽玄に化する一種の霊氛のなかに髣髴として、十分の美を奥床しくも” pic.x.com/SZGqKRd50y

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “少しく前に傾く。逆に受くる膝頭のこのたびは、立て直して、長きうねりの踵につく頃、平たき足が、すべての葛藤を、二枚の蹠に安々と始末する。世の中にこれほど錯雑した配合はない、これほど統一のある配合もない。 pic.x.com/sC5f0hRtGZ

#NS1908夢十夜 「こんな夢を見た。」 覚醒までの寄る辺なき永遠を今夜も漂う。 曖昧で掴みどころのない、明け方にみる夢の朧花色 ・ ・ ・ ・ #指先に文学を纏う #夏目漱石ネイル #指先に夏目漱石を纏う #草枕 #文喫 #etseq. #エセク #ネイル #羽根ペンネイル #羽根ペンネイルポリッシュ pic.x.com/VPbfIPmEDU

#夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “豊かに、丸く折れて、流るる末は五本の指と分れるのであろう。ふっくらと浮く二つの乳の下には、しばし引く波が、また滑らかに盛り返して下腹の張りを安らかに見せる。張る勢を後ろへ抜いて、勢の尽くるあたりから、分れた肉が平衡を保つために” pic.x.com/eNcmsFufm5

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “濃かに揺れるなかに、朦朧と、黒きかとも思わるるほどの髪を暈して、真白な姿が雲の底から次第に浮き上がって来る。その輪廓を見よ。 　頸筋を軽く内輪に、双方から責めて、苦もなく肩の方へなだれ落ちた線が、” pic.x.com/23NCLiNw1G

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “始めより着るべき服も、振るべき袖も、あるものと知らざる神代の姿を雲のなかに呼び起したるがごとく自然である。 　室を埋むる湯煙は、埋めつくしたる後から、絶えず湧き上がる。春の夜の灯を半透明に崩し拡げて、部屋一面の虹霓の世界が” pic.x.com/pyYe4q3qRO

#夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “全身の筋肉をむずつかして、わが裸体なるを観者に示さんと力めている。 　今余が面前に娉(「女＋亭」)と現われたる姿には、一塵もこの俗埃の眼に遮ぎるものを帯びておらぬ。常の人の纏える衣装を脱ぎ捨てたる様と云えばすでに人界に堕在する。” pic.x.com/HPFeDjMJ8R

#夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “彼らは嫖客に対する時、わが容姿のいかに相手の瞳子に映ずるかを顧慮するのほか、何らの表情をも発揮し得ぬ。年々に見るサロンの目録はこの芸妓に似たる裸体美人を以て充満している。彼らは一秒時も、わが裸体なるを忘るる能わざるのみならず、” pic.x.com/unMoJCst8X

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “必須の条件である。今代芸術の一大弊竇は、いわゆる文明の潮流が、いたずらに芸術の士を駆って、拘々として随処に齷齪たらしむるにある。裸体画はその好例であろう。都会に芸妓と云うものがある。色を売りて、人に媚びるを商売にしている。” pic.x.com/ZVPfX9WDUW

#NS1906草枕 「名画をかき得る人は必ずこの境を知らねばならん。」 あなたが神に近づいた刹那をこの眼に焼き付けたい。 人の世のしがらみを憂いつつ、人の情のなかに美を見出す思索の青丹色 ・ ・ ・ ・ #指先に文学を纏う #夏目漱石ネイル #指先に夏目漱石を纏う #草枕 #文喫 #etseq. #エセク pic.x.com/Mh4gkbf9Sy

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “うつくしくせんと焦せるとき、うつくしきものはかえってその度を減ずるが例である。人事についても満は損を招くとの諺はこれがためである。 　放心と無邪気とは余裕を示す。余裕は画において、詩において、もしくは文章において、” pic.x.com/TwuqqeQQb4

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “赤裸にすべての権能を附与せんと試みる。十分で事足るべきを、十二分にも、十五分にも、どこまでも進んで、ひたすらに、裸体であるぞと云う感じを強く描出しようとする。技巧がこの極端に達したる時、人はその観者を強うるを陋とする。 pic.x.com/srN5plEYZ7

「それが出れば画になりますよ」 漱石のゑがく憐れは戦場へ 向かふ男を見送る女 #短歌　#夏目漱石　#小説　#草枕　#憐れ #戦場 #男　#女　#那美　#反戦　#平和

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “かくさねば卑しくなる。今の世の裸体画と云うはただかくさぬと云う卑しさに、技巧を留めておらぬ。衣を奪いたる姿を、そのままに写すだけにては、物足らぬと見えて、飽くまでも裸体を、衣冠の世に押し出そうとする。 pic.x.com/UVDtxKfnLI

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “どことなく気韻に乏しい心持が、今までわれを苦しめてならなかった。しかしその折々はただどことなく下品だと評するまでで、なぜ下品であるかが、解らぬ故、吾知らず、答えを得るに煩悶して今日に至ったのだろう。 pic.x.com/gHzW5FlcEu

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “ただひたすらに、うつくしい画題を見出し得たとのみ思った。 　古代希臘の彫刻はいざ知らず、今世仏国の画家が命と頼む裸体画を見るたびに、あまりに露骨な肉の美を、極端まで描がき尽そうとする痕迹が、ありありと見えるので、” pic.x.com/8gsAZWZ1GG

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “早くもあらわれた。漲ぎり渡る湯煙りの、やわらかな光線を一分子ごとに含んで、薄紅の暖かに見える奥に、漾わす黒髪を雲とながして、あらん限りの背丈を、すらりと伸した女の姿を見た時は、礼儀の、作法の、風紀のと云う感じは pic.x.com/nS18wLNsJo

#指先に文学を纏う ネイルポリッシュ #夏目漱石 シリーズ 『#草枕』 人の世のしがらみを憂いつつ、人の情のなかに美を見出す思索の青丹色（あおにいろ） 重ね塗りの違いをご紹介💅 一度塗りでは透け感があり使いやすく、重ねることで深緑になるカラーです。 今の季節にもぴったり🎨 pic.x.com/TWndSQsx64

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “が輪廓は少しく浮き上がる。余は画工だけあって人体の骨格については、存外視覚が鋭敏である。何とも知れぬものの一段動いた時、余は女と二人、この風呂場の中に在る事を覚った。 　注意をしたものか、せぬものかと、浮きながら考える間に、 pic.x.com/xkxAj66v3E

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “一段を下り、二段を踏んで、まともに、照らす灯影を浴びたる時でなくては、男とも女とも声は掛けられぬ。 　黒いものが一歩を下へ移した。踏む石は天鵞(「毬」の「求」に代えて「戎」)のごとく柔かと見えて、足音を証にこれを律すれば、 pic.x.com/zBwMUkfX7f

いつかは来たいと思っていた ステキな雰囲気の喫茶店でマンデリン☕ #草枕 #虎ノ門 pic.x.com/iFFXA5cPtU

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “やがて階段の上に何物かあらわれた。広い風呂場を照すものは、ただ一つの小さき釣り洋灯のみであるから、この隔りでは澄切った空気を控えてさえ、確と物色はむずかしい。まして立ち上がる湯気の、濃かなる雨に抑えられて、 pic.x.com/C0sduJlvMm

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “湯槽の縁の最も入口から、隔たりたるに頭を乗せているから、槽に下る段々は、間二丈を隔てて斜めに余が眼に入る。しかし見上げたる余の瞳にはまだ何物も映らぬ。しばらくは軒を遶る雨垂の音のみが聞える。三味線はいつの間にかやんでいた。” pic.x.com/7SZMR6Aucn

#夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “三味の音が思わぬパノラマを余の眼前に展開するにつけ、余は床しい過去の面のあたりに立って、二十年の昔に住む、頑是なき小僧と、成り済ましたとき、突然風呂場の戸がさらりと開いた。 　誰か来たなと、身を浮かしたまま、視線だけを入口に注ぐ。” pic.x.com/hSEhHQYEx2

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “鉄灯籠はもう壊れたに相違ない。春の草は、昔し、しゃがんだ人を覚えているだろうか。その時ですら、口もきかずに過ぎたものを、今に見知ろうはずがない。御倉さんの旅の衣は鈴懸のと云う、日ごとの声もよも聞き覚えがあるとは云うまい。” pic.x.com/MIulR4BNRC

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “だいぶんと世帯じみた顔を、帳場へ曝してるだろう。聟とは折合がいいか知らん。燕は年々帰って来て、泥を啣んだ嘴を、いそがしげに働かしているか知らん。燕と酒の香とはどうしても想像から切り離せない。 pic.x.com/dGgUsYhbDr

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “わずかに膝を容るるの席を見出して、じっと、しゃがむのがこの時分の癖であった。この三本の松の下に、この灯籠を睨めて、この草の香を臭いで、そうして御倉さんの長唄を遠くから聞くのが、当時の日課であった。 pic.x.com/fKPvSakzEL

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “名の知れぬ赤石の上に、いつ見ても、わからず屋の頑固爺のようにかたく坐っている。余はこの灯籠を見詰めるのが大好きであった。灯籠の前後には、苔深き地を抽いて、名も知らぬ春の草が、浮世の風を知らぬ顔に、 pic.x.com/r2d0sY5Vi4

“智に働けば角が立つ。 情に棹させば流される。 意地を通せば窮屈だ。 兎角に人の世は住みにくい。 住みにくさが高じると安い所へ引き越したくなる。 どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画が出来る。” #草枕 #夏目漱石 #問悶bot

青空文庫より #夏目漱石「#草枕」 aozora.gr.jp/cards/000148/f… “御浚が始まると、余は庭へ出る。茶畠の十坪余りを前に控えて、三本の松が、客間の東側に並んでいる。この松は周り一尺もある大きな樹で、面白い事に、三本寄って、始めて趣のある恰好を形つくっていた。小供心にこの松を見ると pic.x.com/iqdhiLyaLq

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