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#蒼薔薇短歌 1062 症状と言われる名前をつけられて自分のからだが少し遠ざかる/君村類『塔2024年9月号』 言葉にはならなかった体の不調が、症状という言語に変えられてしまうと、何か別のもののようになる。その感覚が下の句の表現なのだろう。それは、分類化されることの違和感なのかもしれない。

蒼音@chari433

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#蒼薔薇短歌 1061 会ふ約束すればたちまち時空超えふたり故郷の川の辺にゐる/青木朋子『塔2024年9月号』 故郷にルビ=こきやう 今はお互い違う土地で暮らしていても、故郷の記憶は消えないもの。その人とは「川の辺」でお喋りしていたのだろうか。会うことを楽しみにしている主体が浮かぶ。

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#蒼薔薇短歌 1060 ビーカーは割れたる面の凹凸に初夏の鋭き光を呼べり/今紺しだ『晴れ上がり』 ビーカーの方が光を呼ぶ、という発想に発見がある。そして主体は、そこに初夏を感じている。割れたショック、冷静な視点が描く美しさ、ガラスの持つ二面性が詩的に表現されている。

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#蒼薔薇短歌 1059 サバンナよ老母の愚痴を聞いてくれだるいふらつくトイレが近い/俵万智『歌壇2024年10月号』 穂村弘の、象のうんこの歌の本歌取りだろう。ただこちらは「サバンナ」という広大なるものに訴えている、壮大さ。それが自身の老化というギャップが楽しい。俵さんも老化を詠む時代だ。

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#蒼薔薇短歌 1058 北端の放牧の地に群れて咲くトビシマカンゾウは漁告げの花/ほうり真子『塔2024年9月号』 トビシマカンゾウは佐渡島の北部に群生する花。花期になると美しい黄色の景色となる。鯛の漁期を告げる花とは知らなかった。結句の視点が、花の美しさのみならず、歌を生き生きとさせる。

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#蒼薔薇短歌 1057 正絹のくるまれ心地若葉集 作品2とふは荒れ野か花野か/林陶子『塔2024年9月号』 「正絹」の比喩に、主体の若葉集に対する思いがある。対して下の句には不安が吐露されているが、ユーモラスでもあり、むしろこの状況を楽しんでいるかのよう。大丈夫です。作品2も楽しいです。

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#蒼薔薇短歌 1056 花嫁の手紙はちいさくたたまれてその父の手に握られいたり/永野千尋『塔2024年9月号』 結婚式の場面だろう。「父の手」に焦点を合わせたことで、父の娘に対する想いが表出する。巧い。「ちいさくたたまれて」の平仮名表記に、不格好な畳み方を想像した。

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#蒼薔薇短歌 1055 フリーサイズとふ帽子ありわがあたまフリーにあらずして風の中/小林信也『千里丘陵』 よく考えると「フリーサイズ」とは違和感のある表現だ。それが「フリーにあらずして」に込められているかのよう。「風の中」の体言止めは、帽子を被れずに寒い頭をおもわせる巧さがある。

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#蒼薔薇短歌 1054 にんげんの取り扱ひ説明書通りのこゑする朝のコンビニ/桜川冴子『角川短歌2024年9月号』 「にんげん」「こゑ」を平仮名にしたことで、人間とは違うものを想起させる。機械的な挨拶をされたのかもしれない。最近はレジが自動精算機なので、従業員は機械の添え物のようでもある。

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#蒼薔薇短歌 1053 そういえば家にアイスがあったなと説教受けてる時に思い出し/平田あおい『塔2024年9月号』 退屈な説教なのだろう。それは得てして長くなりがちであることが、主体の頭をアイスが占めることから読み解ける。また、結句が連用形で終わることで、尚も続く説教を思わせ、切ない。

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#蒼薔薇短歌 1052 ぽとぽととソフトクリームの腕つたひ 父はどこかへ行つてしまつた/渡邊美穂子『塔2024年9月号』 上の句は時間の無常さの比喩か。父が居ないことを、まだ受け入れられない主体の心情も滲む。そう読むと、溶けたソフトクリームのべたべたとした感触が、妙に生々しく伝わる。

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#蒼薔薇短歌 1051 ユルチェンコ2回ひねりで着地せし心地に朝の窓を開けたり/栗木京子『塔2024年9月号』 ユルチェンコ2回ひねりは、体操の技名。ユルチェンコはソ連の体操選手で、名前の響きが愛らしいが、技はかなりエグい。着地せしには、単純な達成感とは違う可笑しさも、同時に感じてしまう。

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#蒼薔薇短歌 1050 柄本佑よりいい男だらうと笑ひ来しがいまや道長まあよしとする/永田和宏『歌壇2024年10月号』 柄本佑は以前にドラマで永田和宏の役を務めた。それが今や、大河ドラマで藤原道長を演じるまでに成長した。結句の「まあよしとする」のまんざらでもない感じに、思わず笑ってしまう。

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#蒼薔薇短歌 1049 六月でやめてしまった新人の机を派遣のひとが拭いてる/西鎮『うたの日「義務/権利」』 やめて「しまった」なので、主体としては残念な思いがあるのだろう。それも六月である。しかしその新人の机を「派遣のひと」が拭く姿に、組織として淡々と運営される無情さを感じている。

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#蒼薔薇短歌 1048 味噌󠄀汁か澄ましどっちにしようかと台所から声をかけおり/田宮智美『にず』 汁物を尋ねるという何気ない場面。しかし一首には、主体の相手を思う心が自然に表出している。汁物は体が温まるもの。相手を温めたいという気持ちに、主体の心そのものが温たかくなる。

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#蒼薔薇短歌 1047 なると巻き四つ入りなるラーメンになにかしら励まされてゐるなり/千葉優作『塔2024年8月号』 普通のラーメンだと「なると巻き」は一枚入るのが定番だろう。それが四枚。チャーシューではなく、なると巻きというところが良い。ほんの少しの嬉しさ。それが「なにかしら」なのだ。

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#蒼薔薇短歌 1046 来月で転勤ですと医者は言ふ淡たんと言ふ脈をとりつつ/大島えり子『塔2024年8月号』 大病院なのだろう。「転勤です」という言い方、「淡たんと」に、サラリーマン的な就業意識が医者にもあるということが面白い。主体のこの医師に対する感情も、ここに表出されている。

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#蒼薔薇短歌 1045 起重機もかへり地上に月光をはじめて浴びたやうな空白/尾崎まゆみ『角川短歌9月号』 「月光をはじめて〜」の比喩に、ながく起重機が置かれていた場所を想像した。工事とは、いわば空白期間。結句「空白」にはその意味もあろう。工事が終わり新しい地の新鮮さを感じる。

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#蒼薔薇短歌 1044 黒鍵と白鍵の間の音を鳴らせずにいた過去の恋では/朝野陽々『塔2024年8月号』 現在の我々がよく知る音階は、等分された音列であり、黒鍵と白鍵の間には無限に音がある。その間の音とは、形式的でないものを想像させる美しい比喩だ。フレットレスな弦楽器を思わせる。

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#蒼薔薇短歌 1043 たっぷりと墨を含ませ大筆を紙に振り下ろすこの一刹那/白波瀬弘子『塔2024年8月号』 書道の一場面。おそらくは一画目だろう。ゆったりとした描写と、結句に置かれた「一刹那」に、その緊張感は否が応でも伝わってくる。「たっぷり」「含ませ」に、「大筆」の重量感がある。

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#蒼薔薇短歌 1042 頚椎に七つの骨があるといういまその何番目までの怒り/大森静佳『塔2024年8月号』 「怒り」は込み上げてくるもの。それを「頚椎」という具体で捉えたところに、肉体的な感覚がある。骨が震える程の怒りなのだろう。四句から五句の句跨りに、沸々とした怒りの動きを感じる。

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#蒼薔薇短歌 1041 短歌に日記を添えるとなると、どうしても短歌の説明になりがちだと思うが、この一冊は詞書のように日記が短歌と響き合い、作品として昇華されている。こういう日記なら読みたい。 未来持つゆえに不安は生まれると眠りのまえに反芻したり/吉川宏志『叡電のほとり』 pic.x.com/fskwgl1dpy

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#蒼薔薇短歌 1040 あともどりできぬ時間を子も生きて朝の月に刃こぼれのあり/小島ゆかり『憂春』 おそらくは、雲に隠れた月の比喩なのだろう「刃こぼれ」が、心に残る。下の句の景には、子との関係に悩む親心も投影されていよう。されど時間は流れゆく。

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#蒼薔薇短歌 1039 白木蓮 つぼみを見れば満開を満開みれば朽ちゆくおもふ/田中ミハル『塔2024年8月号』 人は無いものもそこに見てしまう。そういう意味で、主体にとっては「つぼみ」の頃が一番美しいのだろう。そこには、主体自身を見つめる視点もあるのかもしれない。抗えない時間というもの。

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#蒼薔薇短歌 1038 御礼参りをしなくてはねと母言ひき寛解ならざる退院のとき/加茂直樹『塔2024年8月号』 「寛解ならざる退院」ということは、おそらく完治の見込みが薄いのだろう。そんな母の、上の句の言葉を聴く主体を思うと、切ない。中の句に置かれたことで「母言ひき」の存在が浮き立つ。

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#蒼薔薇短歌 1037 死んだ者ばかり出てくるわ出てくるわ午後ふかきBSの画面に/大辻󠄀隆弘『角川短歌9月号』 昔の映画の再放送を観ているのだろう。「出てくるわ」の繰り返しに、主体の楽しそうな表情を想像した。二句頭に「ばかり」を置いたことで、一首に勢いがついた。

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#蒼薔薇短歌 1036 「このなかにちつちやいママがすんでるの」つみきの家のわれに会ひたし/小金森まき『塔2024年8月号』 子が遊びで作った「つみきの家」。果たして子の世界にいる自分は、どんな人なのだろうか?結句「会ひたし」の言い切りに可笑しみがあり、楽しい。

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#蒼薔薇短歌 1035 満員のバスが横断歩道にて止まりわれのみ焦つて渡る/一宮奈生『塔2024年8月号』 「満員」と「われのみ」を比べれば、人数の差が歴然としているという発見。普段はバスという固体として見ているので、なかなか気づかない。「焦つて渡る」に主体の優しさと、可笑しみがある。

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#蒼薔薇短歌 1034 ほのぐらき照明のなか墨を継ぐまでの呼吸を眼になぞりをり/横山未来子『とく来たりませ』 書道を鑑賞しているのだろう。「墨を継ぐまでの呼吸」は、実際に書道をされている人の視点に思える。「ほのぐらき照明」に、書が生命感を持って立ち上がってくる。緩やかな文体も魅力。

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#蒼薔薇短歌 1033 忘れ物届けに来たというように春の小川はひらひら流れる/北山順子『塔2024年8月号』 上の句の言い方の優しさが春なのだろう。「ひらひら」は花びらのようであり、思い出のようでもある。緩い流れが、主体の記憶を掘りおこすかのような景を想像した。心まで暖かくなる、春。

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#蒼薔薇短歌 1025 私のミスが別の先生を忙しくさせて何もできぬ春の昼/川上まなみ『塔2024年8月号』 先生の職場は忙しい。その忙しさを「私のミス」のせいで、さらに忙しくさせてしまった後ろめたさ。主体では「何もできぬ」もどかしさ。結句「春の昼」の長閑さが、主体の苦しさを浮き彫りにする。

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