右手でナイフを留め(それでも肩に掠めていたが)左手で目を潰し、苦しんだ男が仰け反りこちらに向かってくるまでの一瞬に身を返して逃げ出す、そこまでやってのけた。 こうして逃げ出したはいいが、私は自分がどこから来た何者であったか全く思い出せず、途方に暮れるのだった。 #鯵は夢を見た

男が手に持った刃物をわたしに突き立てようとした時、あれは火事場の馬鹿力というものかそれとも単なるご都合主義か、その手を僅かに留めることができた。頭は殴られたショックで脳震盪を起こしたのか高速で回転している。その結果あろうことか、私は次の瞬間、男の眼球を潰していた。 #鯵は夢を見た

しかしある時、油断して表の掃除をしていた私を男たちの1人が見かけ、単身で乗り込んできた。巨躯に押し倒され、馬乗りになって殴られる。(夢だから痛みはなかったのに、心の底から怖かった。)男がなにか刃物を持っていると気付いたのは、意識が朦朧とし始めてからだった。 #鯵は夢を見た

見つかりにくいよう、皆散り散りに逃げた。トラックに付いている男は3人組だったので、何人かはすぐ捕まったのかもしれない。 私(私じゃなかったのかもしれないが)は小さな民宿のようなところに駆け込み、お金が無いので働きながら住ませてくれと頼み込み、数日間は隠れていられた。 #鯵は夢を見た

「逃げて」(Run!と言われたと思う) 私たちは必死で逃げた。男たちはすぐ気づいた。マローは時間を稼ぐ為に残ると言って自分の左手を潰し、私たちが武器を隠し持っていてやられた、逃げられてしまったと説明していた。 でもバレたらマローが殺されてしまうんじゃないかと怖かった。 #鯵は夢を見た

そしてその後2回ほどトラックが給油と休憩のために停まった後、比較的大きな街のステーションに立ち寄った機会に、作戦は決行された。 男たちはすっかり油断して眠っている。同じように5分間、澱んだ空気を入れ替えるためにとコンテナの戸が開いた。その隙にマローは合図をした。 #鯵は夢を見た

そしてその間、長距離のドライブで疲れた男たちが眠る隙に逃げようと言い出した。 見つかったら殺されると思い、何人かは恐れてNoと言ったが、どうせ臓器売買で殺されるくらいなら僅かな希望に縋りたいと、残りの者は逃亡計画に賛同したので、結局皆逃げることとなった。 #鯵は夢を見た

でも彼女は我々のことを不憫に思って、助けようとしてくれていた。 給油のためにトラックステーションに入り、我々にも売り物に死なれては困るということで水が与えられた。 マローはあと数回はこうやって空気を入れ替えるために、数分間コンテナを開ける時間がある、と言う。 #鯵は夢を見た

運良く見た目が気に入られればどこかの金持ちの愛妾になれることもあるが、大抵は小汚い娼館か臓器売買のルートに回される。何とかして逃げ出すチャンスを皆探っているようだった。 中にマロー(マラウだったかもしれない)という黒人の女性がいたが、彼女は売り物でなく我々の監視役。 #鯵は夢を見た

今朝(きのう)見た夢の中で、寒い国の危ないギャングみたいな男達に捕まって殴られて錆でボロボロのコンテナに積まれた。他にも色んな人種の女の人(痣だらけで服もぼろぼろ)が何人か乗っていて、片言の英語でコミュニケーションを取っていたんだけど、どうやら我々は売られるらしい。 #鯵は夢を見た