直線、曲線、犬線。 pic.x.com/HN5PQgbsjr

カップの底に生成する世界。 pic.x.com/wdO39wxho1

夜、街灯の少ない寂しい道を犬と散歩していると、歩調に合わせて意識しないうちにリズミカルな音声を口にしていることがある。さっきはなぜか「ぞん、ぞん、ぞん、ぞん、ぞん‥‥」と呟きながら帰ってきた。私も犬も暗闇に溶け込んで、彷徨い歩くゾンビみたいだと感じていたからかな。ぞん、ぞん。

やっぱり屈託のないアン・ハサウェイより、泥水飲んできた感ありありのエミリー・ブラントの役の方にずっと興味が湧くなぁ（テキストではそこまで書けなかったけど）。

人間を人間として基礎付けている「性」と「法」の根底には、暴力がある。ものの本を読まなくても、なんとなく体感的にわかることだ。でもそれを口にすると、意外にも反発を買うことが多い。

「毒抜き」というのはその言説を解体していって、ありふれた、見慣れたものの組み合わせにしてしまうこと。「害」を為すものではなく、つまらない、とるに足らないものとして扱うこと。「有害」や「害悪」の特権的な座から引き摺り下ろすこと。

オンライン読書会（『精神分析の倫理』（上）』）で、「芸術は＜もの＞に出会い損ねることですよね。作品は＜もの＞に出会おうとすることの失敗の結果」と発言して、これどこかで聞いたことあると思ったら、自分が７年前に自著に書いてたことだった。ボケとる&進歩してない。。

20年近く前から「現代美術という歴史的カテゴリーは終わった。価値観を更新し続ける運動性を失ったから」と折に触れて言ってきたが、同意する人は少なかった。最近やっと違ってきたらしい。『ベジタブル・ウェポン』のパクリに見えるものが「パクリではない」と当人に言われるのもそういう現象の一つ。

車で街中を走行中、「貴方だけの隠れ家」というバーの看板を見た。住宅街の中にひっそりとあるバーやレストランなどを「隠れ家」的なお店などと言うことはあるが、店の名前にして表通りに出しているなら「隠れ家」でもないしもちろん「貴方だけの」でもない。それにしても堂々としていて笑えてくる。

彫刻だったが骨組みを作ってから肉付けしていくやり方が、やっぱり肌に合わなかったのだな。かといってカービングはもっと計画性が必要で。全体を把握してから細部に進むのではなく、細部と細部をつないでいったら思いがけない全体が見えてきたというふうにしたかった。言葉でもまだうまくできてない。

朝の地元の情報番組で服のコーディネートをやっていて「プチプラ・高見え」を強調してたがそのうち「大人見えするコーデ」とか言い出し、普通に「大人っぽく見える」と言えばいいのにとイラついた。きっと「若々しく見える」は「若見えする」、「痩せて見える」は「痩せ見えする」になってるんだろう。

確かに「もてない人は不幸だ」が異性愛至上主義（というかパートナー至上主義）を強化する面はあってそこに与したくはないが、自分は（性的）欲望をかなり広く且つ人間存在において根源的なものと捉えているので、「性的でない存在としての人間」というフレーミングがピンと来ないということもある。

山荘の周りの花。 pic.x.com/sAHHtxavzy

昨夜は夫が「芸術家が制作で失敗して当初のイメージとは違うものになってしまった作品を、まあこれもありかと発表したら思わぬ大絶賛を受けた時、芸術家は正直に本当のことを話すのか」という問いを投げてきて、なんかややこしい話をした気がするが、酔ってたから忘れてしまった。

そろそろ日没。外気温15度。叔父が薪ストーブに火を入れた。 pic.x.com/EvTlT4AJpz

大勢の人が何となく感じていることを適切な言葉に落とし込むのは、書き手としてはそれほど面白くはないことだと思う。「一体何だろう？」という疑問や興味を追求していった先に、自分の知らなかったところに辿り着きたい。そして、実はそれを「知らなかった」わけではなかったことに打ちのめされたい。

マスクをお店に忘れて来てそのまま地下鉄に乗ってる。マスクしてないの私だけ。なぜこの人は顔の下半身を晒してるのか？という視線。

（あいトリ「不自由展」を見て「傷つきました」と言った河村名古屋市長は、森美術館での会田誠展を見て「傷ついた」と怒った女性たちとよく似ている。政治的思想的立ち位置は真逆だと思うが、切り取られ表現された対象との距離感がない。距離感を持たねばまともな批判などできるわけがない）

甘みが今ひとつだったイチジク、コンポートにしようかと思ったが面倒臭くなったので、ブルーチーズをまぶして蜂蜜をかけた。外見は雑だが白ワインによく合う悪魔の食べ物。 pic.x.com/flkk1qttfo

義従兄の炭焼き小屋の外に、放し飼いの鶏がいた。おやつに頂いた草餅の端っこをちぎって地面に落とすと、喜んで食べる。可愛い。どんどん寄って来て、この後、七羽くらいの鶏に追いかけ回された。 pic.x.com/zhc1xm0eo0

（精神分析の言葉を借りれば）芸術とは法の支配する象徴界の外部としての現実界を垣間見せるものだという信念がなくなって、「傷ついた」「いや文脈を読め」という想像界の中で収束していってるぞ。。

犬民が世界を実効支配する日を目指し、深さ40センチまで掘った塹壕に身を潜めて敵の動向を伺っている。呼んでもチラッと見るだけだが、おやつを見せるとノコノコ出てくる。時々昼寝している。革命的警戒心が欠如している。 pic.x.com/ynn3ncmgqy

誤解を恐れず言うと、「性にはある種の暴力性が避けようもなく刻印されているのではないか」という意味では、「原」のような何かは想定できると自分は思っている。すべてがジェンダーに帰するとは思わない。文化や社会性（時には愛？）が剥き出しの「原」を覆い隠すベールとなっている。

夫の親戚の叔母様方（既に80台後半）も、何かあるとおはぎを作る。私の母は祖母の家に行けば食べられるため、おはぎをほとんど作らなかった。お店で買ってくることはあった。私は一度も作ったことがない。おはぎ作りは、大家族か、親戚が集まる風習の中で維持される。それもだんだん廃れていくだろう。

また老老介護の末の殺人事件のニュースを耳にし「他人事じゃないね」と呟いたら、「90近くまで生きて長年連れ添った相手に殺されるなら、まあな」と夫が明るく言うので、自分が殺される側になってて殺人に追い込まれる側の想像は全然してないが、このくらい能天気の方が救われるかもしれないと思った。