#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」ただ、美味しさを追求していくと、腐敗と同様のプロセスである発酵が活用され、毒がある植物はスパイスとして使われるようになる。つまり、味覚の快不快は健康への良し悪しを見分けるためにあるが、美食を求めるのは必ずしも健康のためではない。

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」美的感覚はある種、人間の生存本能に根ざしていて、安全であることに対するセンサーだと思っている。味覚を例に考えると、エネルギーになる甘いものは美味しいと快感が得られ、腐ったものや毒を含むものは不快に感じて避ける。

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」何の役に立つのかをすぐ考えないことも重要。科学の発展や製品の開発は、どのような社会的なインパクトがあるのか、誰に届いていくのかなどを想定して進むが、みんなが驚くものは、科学者やデザイナーの知的好奇心と美的感覚から生まれたものが結構ある。

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」科学者とコラボレーションしようと思った理由は純粋な知的好奇心と美的感覚。まずは研究に対して「面白い！」「美しい！」と心から感じること。もしくは、研究そのものが美しく見える瞬間がある。学生や若いデザイナーにもそう言っている。

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」科学から何か新しい価値を見い出すためには、なぜ科学者が面白がっていて、どこにやりがいがあると感じているのか、まず共感することが大切。科学者と深く共感した部分でものを作ることを心がけてくれ、と常に言っている。

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」コラボレーションで大切なのは、プロトタイプは研究の本質に迫るものを作ろうと言っている。「この研究を使えば、こういうものができます」という安易なものづくりは、役に立つものを作ることと同じになってしまう。そんなに面白くはならない。

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」科学とデザインはどちらも抽象に美しさを見い出す。複雑な現象をシンプルな法則で捉えたとき、生き物らしさを単純なデザインで表現した時、そこには「そうだよね」と思える共感がある。 #KeyConcepts

#202408ns「科学とデザインをつなぐ『共感』」科学者とデザイナーが知的好奇心と美的感覚から協働し、最先端の科学にかたちを与えたプロトタイプが生まれた。見た人の心を動かし、変化の先にある未来を考えるヒントになる。 #KeyConcepts

#202408ns「美を科学する 山中俊治に聞く 科学とデザインをつなぐ『共感』」語り：山中俊治（東京大学）、聞き手：遠藤智之（編集部）。知的好奇心と美的感覚から生まれたプロトタイプは、科学者と描き出した未来のかたちだ。

#202408ns「人知れず消えゆくオンライン論文」調査対象はデジタルオブジェクト識別子（DOI）でラベル付けされた743万8037点の文献。今回の調査の対象となったDOIサンプルは、各加盟機関に登録されたDOIから最大1000件を無作為に抽出した。これらの文献の28％が保存されていなかった。

#202408ns「人知れず消えゆくオンライン論文 一部を調査したところ200万本以上の論文が保存されていなかった」700万点以上のデジタル出版物を対象とする調査。学術論文の1/4以上が適切にアーカイブ・保存されていなかった。論文をオンラインで保存するシステムが、研究成果の増加に追いついていない。

#202408ns「マリファナの通信簿」マリファナ使用者は他人への共感が高まることを示した研究結果もあるほか、高齢マウスの精神機能向上を見出した例もある。それでも、専門家は自己判断での使用をしないよう注意を呼びかけている。「医者に相談してほしい」。

#202408ns「マリファナの通信簿」大麻とその誘導体は疼痛緩和にも役立つ。もっとも、その効果はプラセボと大した差がないと主張する研究者もいる。抗がん剤治療に伴う吐き気の低減、てんかん発作の沈静化、多発性硬化症の症状緩和、睡眠補助薬にも使える。

#202408ns「マリファナの通信簿」米国の多くの成人はマリファナを自己責任で娯楽と気晴らしに使っている。オピオイドなどとは違い、命に関わる過剰摂取のリスクは実質的にゼロだ。加えて「タバコの方がはるかに短期間で依存症となる」。

#202408ns「マリファナの通信簿」大麻草は鉛などの金属汚染物質を大量に蓄積する性質がある。これらが使用者の血液中に入りうる。加えて、この薬物は妊娠中に胎児に移行しうる。低出生体重との関連を示す研究が複数ある。一部の薬局はつわりに効く薬として宣伝しているが、もっと安全な代替薬がある。

#202408ns「マリファナの通信簿」発達途中の思春期の脳、特に精神疾患の素因がある脳は、マリファナの過剰摂取によるリスクが最も大きい。統合失調症や精神病、抑うつが発症・悪化し、行動と学業成績に影響する。「安全性の観点から、若者は絶対にマリファナに近づくべきではない」。

#202408ns「マリファナの通信簿 大麻と健康に関する最新の知見をいくつか」マリファナは、肺や心臓、脳、生殖腺などへの悪影響と関連する。例えばマリファナの大量摂取は動脈血栓と心不全のリスクを高める。男性の生殖能力にも影響するようだ。慢性気管支炎などの呼吸器系疾患につながる可能性もある。

#202408ns「渦巻く議論」Xに買収される前までは、アカデミアの研究者はツイッターのアーカイブに無料でアクセスできた。だが現在のXの料金体系では、6500万件のツイートを研究者が手にいれるために、毎月少なくとも42000ドルを支払う必要がある。「つまり、この種の研究を行うことはもはやできない」。

#202408ns「渦巻く議論 ハリケーンが直撃するたびにソーシャルメディア上での気候変動に関する投稿が急増する」X（旧Twitter）を使っていない人も多いが、実際の世論はXで起こっていることを反映している場合が多い。「物事を議題に押し上げ、政権の座にある人々に深刻に受け止めさせる」のに役立つ。

#202408ns「日本の論文『ほぼ引用なし』が半数」欧米ではこうした数値指標を使わず、専門家が業績の内容で評価するとの声も多い。一方、日本にそうした評価がすぐに広がると考える人は少ない。政府や大学、研究費の配分期間などが数値指標を重視する限り、変わることは難しい。

#202408ns「日本の論文『ほぼ引用なし』が半数」だが「物事の分析に客観的数値を使うのはいいが、評価は価値観を伴う主観だ。画一的な数値評価は不十分というより学術の発展には有害だ」。評価の趣旨や目的を明確に示し、客観的な情報を十分に集めた上で、高度に専門的な評価がなされるべきだ。

#202408ns「日本の論文『ほぼ引用なし』が半数」研究者の評価はその分野の専門家が担う。だが科学が高どに専門化し、一人の研究者が評価できる範囲は限られている。その隙間を埋めるのに重宝されるのが論文評価の数値指標だ。

#202408ns「日本の論文『ほぼ引用なし』が半数」研究時間がないなか「論文を書け」というプレッシャーで、やむなく書いたのかも。日本の研究者は多忙で、#2018fy の調査によると大学教員は職務時間の33%しか研究に当てられていない。16年前から14ポイント落ちている。医学系の研究者には診療もある。

#202408ns「日本の論文『ほぼ引用なし』が半数」論文は同じ国など著者に近い研究チームが引用することが多い。日本も国際共同研究を増やそうとしているが、国際的に見ると繋がりが薄くなっているという指摘は多い。

#202408ns「日本の論文『ほぼ引用なし』が半数 引用数が0〜3回の論文が占める割合は、世界平均を下回る水準だった」#2020fy の日本の論文のうち被引用数が0〜3回のものは48.7%。米国や中国では約38%、34〜39％の英仏独、43.6%の世界平均などよりも悪い。「『研究廃棄物』になってはいないか」。

#202408ns「サケの卵を何度も産むニジマス」開発したニジマスが4歳まで確認した生殖細胞の総数は、通常のサケに比べて、卵は約5倍の5000個程度、精子では約2倍の1兆個程度に増えた。移植した生殖幹細胞からできる卵や精子の量や回数は、代理となる親魚に制御されることがわかった。

#202408ns「サケの卵を何度も産むニジマス」生殖幹細胞はオスに移植すれば精子、メスに移植すれば卵を作る。ニジマスに作らせたサケの精子と卵を受精させたところ、健康なサケが誕生した。ニジマスは毎年、サケの卵や精子を作り続けた。

#202408ns「サケの卵を何度も産むニジマス」ゲノム編集技術を使って、自らの生殖細胞を作らないニジマスを開発した。サケから卵や精子のもととなる生殖幹細胞を取り出し、開発したニジマスの稚魚に移植した。稚魚のオスは1歳、メスは2歳で性成熟し、サケの生殖細胞を作るようになった。

#202408ns「サケの卵を何度も産むニジマス 産卵後に死んでしまうサケの代わりに、ニジマスを代理親とする」サケの卵や精子をニジマスに作らせる技術を開発した。サケは生涯に一度しか卵や精子を作れないが、ニジマスを代理の親魚として使えば何度も作れる。東京海洋大学の吉崎悟朗教授ら。

#202408ns「『iPS細胞から生殖細胞』に進展」マウスではオスのiPS細胞から卵子を作り、別のオスの精子と受精させることで、オスのマウスだけから子マウスを誕生させることは成功している。だがヒトとマウスは卵子や精子ができる仕組みが異なる。ヒトの卵子や精子を人工的に作る技術は実現していない。

#202408ns「『iPS細胞から生殖細胞』に進展」今回開発した手法を使うと、始原生殖細胞が卵原細胞や前精原細胞に変化する様子も詳しく観察できるようになった。「生殖細胞の分化がうまくいかない原因を解明する研究を加速する」。遺伝子の働きなどを解明する実験を進めやすくなる。

#202408ns「『iPS細胞から生殖細胞』に進展」研究チームは、ヒトのiPS細胞から作った始原生殖細胞をもとに、卵原細胞と前精原細胞を大量に作成する技術を開発した。始原生殖細胞を培養する際、骨形成因子（BMP）というタンパク質を用いることで、4カ月ほどの培養で細胞数を100億倍以上に増やせた。

#202408ns「『iPS細胞から生殖細胞』に進展」従来、ヒトのiPS細胞から作った始原生殖細胞をもとに、卵原細胞と前精原細胞を作成する場合、マウス胎児の卵巣細胞などと混ぜて培養していた。だが5000個の始原生殖細胞から作れる卵原細胞は約500個にとどまり、作製の効率が非常に低かった。

#202408ns「『iPS細胞から生殖細胞』に進展 卵子や精子のもとになる細胞を大量に作成する技術を開発した」ヒトのiPS細胞から卵子や精子のもとになる細胞を人工的に大量に作成する技術を開発した。卵子や精子ができる仕組みや不妊症の原因を解明する研究に役立つ。京都大学の斎藤通紀教授ら。

#202408ns「原種のコレクター」花の形態分析・比較に加えてDNAやアイソザイム分析も試みた。結果、原種のノハナは「北海道・東北」、「関東甲信越・中部」、「九州」の3集団に分類できた。その上で江戸系の菖翁花の起源は、信州・霧ヶ峰周辺と日光・小田代ヶ原のノハナと断定。定朝の文献通りだった。

#202408ns「原種のコレクター」代表的な育種家が江戸時代後期の旗本、松平定朝だ。自らを菖翁と称した定朝のハナショウブは「菖翁花」と呼ばれ人気を集めた。明治以降も各地に園が誕生、輸出もされた。戦後は各地に離散した江戸系、伊勢系、肥後系を集めて改良したハナショウブ（新花）も登場した。

#202408ns「原種のコレクター」江戸時代から受け継がれてきた江戸、伊勢（三重）、肥後（熊本）のハナショウブ（古花）の起源を原種の分析で突き止めた。ハナショウブはのハナショウブという原種を基に育種家が作り出した。ノハナは氷河期より湿地に自生し、近年は5月から6月に紫色の花が咲く。

#202408ns「挑む 田淵俊人 玉川大学農学部先端食農学科教授 植物の可能性拓く 原種のコレクター」ハナショウブやトマトの原種を体系的に収集。原種の持つ「野生の強さ」を遺伝的に解明。植物のルーツ情報、消失の危機を訴える。

#202408ns 日経サイエンス「美を科学する／山中俊治が語る 科学とデザインをつなぐ『共感』／組紐のトポロジー／国宝 天目茶碗 光彩の謎／羽毛の進化／羽毛の変化 自然が育む鳥の機能美／初期の奇妙な銀河／自己愛の病理／素数ゼミのダブル発生」 #ns