今最後の分裂を終え原形質混じりあわぬ日が来た　おめでとう #tanka #jtanka

人知れぬ愛の宿降るさみだれは果つる二人を永久（とわ）に隠して #tanka #jtanka

顔のない少女のひとりあゆみ来て葵みのりと名乗り出でたり #tanka #jtanka

あやまたず意味はあまねく射るまるで動物園のエイプのように #tanka #jtanka

はすかひに見し三日月のごとき窪とほからぬ窪なれば手を伸ぶ #tanka #jtanka

242 2011-06-16 生気ない 美女が佇む デルヴォーの 絵画に時が 止まる気がした #kloboc #tanka #jtanka #短歌

ドーナッツひとつの濃度たぶんぼくよりはひとけた少ないはずの #tanka #jtanka

君のいう「また」が一体いつを指す言葉か分からず春が終わった　（栞） #tanka #jtanka

ホ長調聴くたび滲む思ひ出は君の指先夕立ち暑く #tanka #jtanka #短歌

うわずみをすくいとれればいいのだろ裏声でつぶやくふりをして #tanka #jtanka

薄暗いプラネタリウムの太陽はたちまち沈みぼくは震える　加藤治郎『ニュー・エクリプス』 #tanka #jtanka

夕暮れのキッチンふたり手をつなぎ回る冷凍ピラフを見てる #tanka #jtanka #短歌

きみのいる刑務所とわがアパートを地中でつなぐ古きガス管／寺山修司 #短歌 #tanka #jtanka

breakeven　寝覚めの床にゆで卵完全に剝くことを予感し #tanka #jtanka

てのひらをひたいに当てて睡りに陥ちるつかのまを瞼は重たく動く(小関茂歌集Ⅲ) #jtanka

ふらんすに行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠し　テレビを見よう #tanka #jtanka

きげんにせんろっぴゃくごじゅうきゅうねんの夏　あたらしき戦後はまだか #tanka #jtanka

もはや戦後ではない　青い青い青いそらひくひくとゆるい痙攣 #tanka #jtanka

不在地主のふいに来たりて根こそぎに柔き新芽を刈り取りにけり #tanka #jtanka

寒かったのはわかるからひんやりとした手で俺の背後に立つな （asita） #jtanka #utalovot

ボクだけにそのふくらみを任させてボクのスカアト望み通りに #tanka #jtanka

湯上がりの汗引くまでのしばらくをあてのない予感を待っている #tanka #jtanka

口実として解釈の場に不在だった、ということなら許される #tanka #jtanka

水性の君の言葉が消えぬよう雨の降る夜はパソコン閉じる #短歌 #tanka #jtanka

水底にずっと座っていたかったただ息が続かなかっただけ #jtanka #tanka

方法的錯視のゆるき快楽かなかぼちゃならざる群集ととも #tanka #jtanka

241 2011-06-15 今はもう すべて忘れて 眠りたい 君の笑顔も 胸の痛みも #kloboc #tanka #jtanka #短歌

脳（なずき）その板に凭せつduty free shop の袋抱き眠り居り #tanka #jtanka

炎天下こそ逃避行ができるのさ幌馬車からら、どこにいこうか #tanka #jtanka #短歌

二人して死ねたらいいね　でも二人　生きていけたらもっといいよね　（栞） #tanka #jtanka

八月の雨でなぜだか思い出す部活動室涙のキミを #tanka #jtanka #短歌

理解する必要はないと出発の前にバスガイドが言ったじゃない #tanka #jtanka

オモイデの写真は残る　いつどこでなぜ撮ったのか忘れたあとも #tanka #jtanka

アド・バルーン引き下ろされる夕刻の住宅展示場　果てにいる #tanka #jtanka

(bot) かにぱんがパンコーナーに置いてないくらい整然たる訳がある #tanka #jtanka

もしもあの悲しい日々に戻れたとしても何にもできないだろう #jtanka #tanka

怒りみなうしろに吐きてひとときも目を上ぐることなきホルン吹き #tanka #jtanka

海までの長いお別れ制服のきみとセックスしたかったです #tanka #jtanka #短歌

オムレツを褒める時とはまるで違う響きの「じょうず」で動けなくなる／小池佑 #短歌 #tanka #jtanka

人生という散文を生きながら短歌に仕上げ歌い続ける（薫智大介）　#tanka #jtanka