反動的という言葉を純粋に物理学的に解釈している私には、少しも気にならないのである。玉突台の青いクッションの上で、左翼の赤玉と右翼の白玉が衝突する場合、動と反動とは相等しく、赤玉も白玉もお互いに相手を「反動的」と呼称することは自由なのである。 自由人のノート／林房雄

玉音を拝して、まず何よりも驚き、何よりも喜ばしかったことは、陛下の御声が若々しく、朗々として光と力に満ち、悲痛をたたえて、しかも悲痛を超えた自信にあふれていたことであった。 日本よ美しくあれ／林房雄

詩人……散文の行をかえて売る一種の商人。 文壇新語辞典／林房雄

祖国への上陸第一日に感じた「食わずとも着ずとも、この国で生きたい」という喜びの心が存するかぎり、この兵士は救われ、日本もまた救われる。美しいのは現在の日本ではない。この兵士の心である。この心が我々の胸に生きているかぎり、美しい日本は必ず再建されるのだ。 日本よ美しくあれ／林房雄

（「林房雄著作集」第2巻、翼書院、昭和44年1月） dl.ndl.go.jp/pid/1674482/1/… 小林秀雄が殴られた話は江藤淳も当該書を引用して書いています*。 *江藤淳『小林秀雄』（「江藤淳著作集」第3、講談社、昭和42年）105頁

小林が大宅壮一をこきおろしたので、大宅の弟子が腹を立てたというのが喧嘩の始まりらしかった。小林秀雄は喧嘩の種はよくまくが、撲り合いになると、全然無抵抗な男であるから、さんざん撲られて、鼻血を出した。私は間に入って喧嘩をとめ、（以下略）〉 林房雄『文学的回想』

中学の先輩に三浦義一がいた。市長の息子で、北原白秋の高弟で、激しい美しい詩や短歌をつくっていた（その三浦義一ちゃんが、私が左翼作家になった頃には、右翼暴力団の大物で〔略〕政界財界の怪物になっている。――この怪人物の精神の歴史は、今の私にはまだ理解できない）。 文学的回想／林房雄

返信先:@VZKPHVouAneCKUY他2人②日本防衛論としての、あるいは欧米と並ぶまでの戦争は、大正中期の第一次大戦まで、としたのが司馬史観。 昭和の日本軍はおかしくなった。 と自分の出征体験も含め、司馬はそう論じた。 正しいかどうかは別にして、林房雄の極論よりはましだと保守派に浸透。 日中開戦からは、とても防衛とはいえない

德永〔直〕は私の言葉とグラトコフの『セメント』を参考にして、『太陽のない街』を書いて来た。〔略〕この話は今までどこにも書いたことがない。「日本のゴーリキイ」君の世界的傑作に「階級的裏切者」林房雄の筆が加わっていると解ったら、いろいろな意味でお気の毒だと思った 文学的回想／林房雄

返信先:@aho_kotaいわれのない間違いでもあなたは信じてしまいそうだね。 その程度の考えでは見直した内には入らないね。 林房雄の「大東亜戦争肯定論」を読んだことありますか？ 無いでしょうね。 林房雄も極左からの転向です。

返信先:@VZKPHVouAneCKUY他2人あなたにとっては、「大東亜戦争」は、「歴史認識」の問題なんだろうけれど、1903年生まれの林房雄にとっては、「歴史」であり「体験」だった。 本人は出征しなかったが戦中、戦後に兵士はじめ現地を見た人々から聞いて、日本兵、日本人が敵兵でもないアジアの人々にした、残酷な行いを実感したはず

理論家は、論敵が敵だといつも思ひ込んでゐる。論敵などといふ都合のいゝ敵があるわけではないのだが。〔略〕理論は現実の尺度だと思ひ込んでゐる。理論の監視にも係はらず、外界の変化に順応する自分の生活感情が知らぬ間に絶えず理論を計つてゐる事に気が付かぬ。 林房雄／小林秀雄

林房雄さんの最初の奥様の亡くなった時（昭和25年）のことですが、御通夜の席で三島さんから私に、それとなく娘との結婚話が出されましたので、私もさりげなく、しかし、きっぱりとお断りしたことがあります。主人に相談することなど考えもしませんでした。*「続・川端康成の思い出」川端秀子

「当代の文士諸侯の書くものは、〔略〕読みはじめても、途中でやめてしまうが、君の『青年』という小説は読みはじめたら、一気に読まされてしまった。〔略〕ただ、〔略〕激しいという点では、伊藤は井上以上だったのだ。〔略〕その点を君は見逃しているようだね。」（小泉三申） 文学的回想／林房雄

白柳秀湖氏は会うたびごとに三申翁のことを口をきわめて讃めた。〔略〕「君の小説の欠点は日本支配階級がまるで書けていないことだ〔略〕明治大正の時代を自ら作った人物には、色々と直接に会って見るがよい。何か得るところが必ずある。その手初めに小泉三申翁を紹介したいね」 文学的回想／林房雄

日本よ美しくあれと望むことは、我が心よ美しくあれと願うことにほかならぬ。人を責めることではない。己れ自らを責めることである。我が心の闇に射す一筋の光に喜びと生甲斐を見出すことである。 日本よ美しくあれ／林房雄

それで、政治が物足りないのはたしかで、僕は、アメリカン・デモクラシーが普遍妥当性をもっているとは、微塵も思いませんがね。政治を、とにかく政治にとどまらしめるというところの限界が、国によって全然違うと思うのですよ。 #三島由紀夫「対話・日本人論」（林房雄との対談）

（理性的、技術的な政治制度は）アメリカのような国では、それでなんとかやっていけるでしょうが、もっと古い歴史のある国では、反発するものが起きてくるのは当然だと思うのです。それだけでは、どうも政治も物足りなければ、芸術も物足りなくなってくる。 #三島由紀夫「対話・日本人論」（林房雄と

政治の世界の、普遍的理性という問題は、国際連盟で失敗し、戦争裁判で馬脚を現わし、国際連合で無力化している。現実の政治制度は、人間の普遍的理性と、民族の深層心理的衝動との、二つの車輪の間にいつも二つに引き裂かれる宿命をもっている。 #三島由紀夫「対話・日本人論」（林房雄との対談）

進化論が迷妄なら、政治制度の進化論も迷妄であって、政治にとって、原始的形態は必ず、よく理性で考え抜かれ磨き抜かれた近代的形態の間隔を縫って出て来る。理性的、技術的な政治制度は、政治の本源的なパトスと必ず抵触するときがくるからです。 #三島由紀夫「対話・日本人論」（林房雄との対談）

本来、政治と芸術というのは同じ泉から出ているのではないかと僕は思う。だから排斥し合うのではないかと。 #三島由紀夫「対話・日本人論」（林房雄との対談）

日本の小説家は文明開化の世になっても、小説家のくせに大説家顔をしたがり、小説家は小説家のままで偉いのだという道理に気がつかない。「おれは戯作者だ」と正面を切れたのは昔は井原西鶴、今は坂口安吾ぐらいなものである。同じ勇気が鷗外や漱石や藤村にあったかどうか 小説と大説／林房雄

鶴木次郎のブログ 林房雄著「天皇の起源」株式会社シーエイチシー刊pp.211-215より抜粋 jtsuruki.blogspot.com/2015/08/pp211-… 20241012 株式会社新潮社刊 新潮選書 高坂正尭著「歴史としての二十世紀」pp.106-109... jtsuruki.blogspot.com/2024/10/202410…

「勇気とは良心と理性の命ずるところに従って、如何なる暴力をも恐れぬ精神のことだ。前線にのみ勇気の断片が存在し、国民の日常生活の中に勇気の一片すらなかった国民にとって、敗戦は当然の運命である。」 敗北／林房雄

「西郷隆盛」著者：横山まさみち/林房雄 1巻～2巻 無料、3巻～8巻 75%OFF ※ ブラウザ上から読めます！ #漫画が読めるハッシュタグ amazon.co.jp/dp/B07RWLZNQK?…

民主主義は資本家の独裁をも労働者の独裁をも許さぬ。 　この自明の理が、敗戦直後の日本人にはわからなかった。 自由主義の自信／林房雄

シェイクスピアの作品が某貴族に献ぜられていることを「封建的」と考え、武田麟太郞が編集者にていねいな言葉を使いすぎると言って「お前は文壇乞食か」とどなりつけ、彼を泣かせたりした頃なのだ。秀湖氏にすすめられても、すぐには蘇峰翁、三申翁に『青年』を贈らなかった 文学的回想／林房雄

林房雄「繭」を読んだ。半分くらいまでは良かったんだけど

「では、最初の方を、僕が書きなおしてあげるから、その調子で全体を書き改めてみたまえ」と言って、〔德永直『太陽のない街』に〕筆を入れた。というよりも、最初の十枚ほど別の原稿紙に書いてやって、筋の立て方、章の切り方、表現の方法など、詳しく教えてやった。 文学的回想／林房雄

【表現者クライテリオン１１月号】 金子宗德先生の 『現代日本人は「西洋近代」に代わる枠組みを提示できるのか？』 （石原莞爾・保田與重郎・林房雄を手掛かりに） これは是非読みたいです。 x.com/munesama0712/s…

#石原莞爾 と #保田與重郎 と #林房雄 の言説に学ぼうという試みです。 x.com/h_criterion/st…

思ひ出深い藝大の演奏会といへば信時潔の海道東征。奏楽堂で聴き、滅多にないことだがCDも買つた。戦後の楽壇は時局に阿つた主流派が信時と黛を追放することで自らの生き残りを図つた。文壇で林房雄と保田與重郎をさうしたやうに。藝大学長の交代でやつと二人の作品を演奏できるやうになつた。 pic.x.com/YUxQtmCfBc

返信先:@ZJLhVaU2cS3fgjFちな欧米の植民地を解放したのは日本。ソースは林房雄

〔福田恆存『キティ颱風』が〕上演されたとして、観客の声を街頭録音してみると次のようになるかもしれない。 　A「ずいぶん長い芝居だが登場人物は全部狂人だね。作者も狂人ではないのかい？」 　B「そうかもしれない。戦後の日本人はみな多少とも狂人だからね」 キティ颱風／林房雄

太平洋戦争の犯罪性を認めることと、日本人を骨無しの意気地なしの役立たずにしてしまうことは別である。反省とは、人間の個性と誇りを絶滅して卑屈な乞食を作ることではない。強い個性を作るために、ぎりぎりの真実と直面することだ。 桃色の眼鏡／林房雄

小林秀雄は喧嘩の種はよくまくが、撲り合いになると、全然無抵抗な男であるから、さんざん撲られて、鼻血を出した。 文学的回想／林房雄

【10月9日に亡くなった著名人】 ピウス12世(ローマ教皇／1958年没) チェ・ゲバラ(政治家、革命家／1967年没) 正力松太郎(実業家、政治家／1969年没) オスカー・シンドラー(実業家／1974年没) 林房雄(作家、文芸評論家／1975年没) #今日は何の日

【本日は】 林房雄没 72歳 昭和50年（1975年）10月9日。 亡母は「大東亜戦争」と呼んだ。亡父は「引きずり込まれた」「満洲でやめていれば」と。『大東亜戦争肯定論』には納得せず、江崎道朗『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』は両親に読ませたかった一冊。 pic.x.com/XTDwvMmuUj

母が私を物かげに呼び、心配顔でたずねた。 「あの人（小林秀雄）は、どうかしているんじゃないかえ。何を言っても、顎をつき出してそりかえるばかりじゃが……」 （略） 「そんなに偉いのかい？　わたしには気違いみたいに見えて気味が悪いよ」 文学的回想／林房雄