ポスト

石森みさお@140字小説@330_ishimori

住宅地を歩いていると、どこからか蚊取り線香の懐かしい匂いが漂ってきた。道の少し先では一人の《面影》が私と同じように匂いの来る方向を探していて、顔形がわからないほど透き通って見えたが静かに微笑んでいるようだった。異なる世界線に放り込まれた《面影》が、何かの懐かしい面影を探している。 pic.twitter.com/tQLFyCCb65

石森みさお@140字小説@330_ishimori

みんなのコメント

メニューを開く
石森みさお@140字小説@330_ishimori

枯れた畑があった。老婆の《面影》が土いじりをしていた。老婆の横で家族らしき男性が泣き笑いの顔をしていた。老婆が男性に何かを差し出し、男性が渡されたそれに囓りついた。「母ちゃんのトマト、また食えるなんてな」彼らの間にはトマトの《面影》が存在するようだ。夏暮れに滲む彼らの世界線には。 pic.twitter.com/MXYi6WqIbC

石森みさお@140字小説@330_ishimori

人気ポスト

もっと見る
Yahoo!リアルタイム検索アプリ