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石森みさお@140字小説@330_ishimori

朝凪の岬に立つ。風が入れ替わるこの瞬間のように、街は此岸と彼岸の境目にある。彼はすでにこの世の者ではない。少なくともこの世界線に今生きる人間が《面影》として観測された事例はない。私がこの街にいた頃、彼とはほとんど関わりもせず、私は街から去り、彼は死んだ。喫茶店で語らうこともなく。 pic.twitter.com/QnOF7eAFF8

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《面影》として存在するのはどんな感じか尋ねると、彼は普段と変わらぬ調子で「はっきりした夢の中みたいだよ」と答えた。私はメモを取るふりをして彼の横顔から目をそらす。淡い面影に勝手な感傷を重ねて、カラカラに乾いた心に何がしかの思いを満たしてしまおうなんて、自分の浅ましさに目眩がする。 pic.twitter.com/B7Pf9BeMgT

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