しかし、抵抗してても、入選もするもんだから、年の功でとうとう参与なんかになっちゃってね。だけれども芸術院会員にはなれませんよね。みなこれしてだからね。芸術院会員になるには文部省のお目にかなわないとだめだからね。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会 #彫刻 #芸術院会員

彫刻家になって文展に入ってても、いまは日展ですがね。そもそも北村西望あたりに対する抵抗精神で、毎年出品してるでしょう。 だから日展の作品とは全然傾向の違う作品で、私はずーっとこの六十年間とおしてるんです。 #長沼孝三 #青いとまと #彫刻家 #文展 #日展 #北村西望

よし、彫刻家になるには文展にとおらなきゃだめだ。」 てんで、それから今度は秋の文展の作品を創って「インテリゲンチャ」で……、彫塑館に飾ってある。それがスッとあのとおり入っちゃって、また偉く評判よかったりして。それっきりズルズルズルーッと彫刻家になっちゃった。 #長沼孝三 #青いとまと

「今度誰かをとるなら、君をとるが……、」 といったような苦い返事なわけ。そうするとこっちもカッとしちゃって 「なに、三越がとらないんならいいよ」と。 「俺は新聞に出るほどの彫刻の素質がある……。」 なんていう、これまたとんでもないな。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会

ところが昭和六年というのが、また不景気のどん底で、大学は卒業したけれど、という年。ちょうどことしの大学生みたいなもので、内定しててもだめだったの。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会 #昭和六年 #不景気

実は学校時代、彫刻でなくて、もっぱらデザインの勉強してたの。図書室にいって古いデザインだ、なんていって。学校の帰りには三越に寄って、あそこの宣伝部で杉浦非水だの原万助の手伝いしながら、卒業したら入れる。という約束で、内定までしてたの。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会 #杉浦非水

そんなことがあるもんだから、学校卒業して六十点でビリだったけれども、俺には彫刻家の素質あるぞ、なんて若気のいたりで思うわけなんですわ。 その頃、図案の方をやってたんだけど、三越の図案部にね、就職する約束がついていたの。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会 #東京藝術大学 #東京美術学校

一番ビリの私の所へ後輩どもが列をなして、こいつにくるんだよ。 俺ひとりこいつをやって、グデングデンになっちゃってね。あの晩はとんでもない大失態を演じてしまいました。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会 #長井市

そこに私の創った立体ポスターの写真がこんなに大きく載っている。 「ことしの美術学校の卒業はたいしたものだ」 なんて。新聞記事が出たんですよ。そうすると会場の雰囲気がおかしくなっちゃった。特待生が存在なくなっちゃってね。 #長沼孝三 #青いとまと #謝恩会 #毎日新聞

そして酒盛りが始まって、特待生の方はもう調子いいわね。その時に後輩が外から「やあー」なんて大声あげて新聞持って来た。会場に持って来て、みんなに触れ回ってるんだよ。見たら、毎年あるその東京美術学校卒業制作展の記事が、毎日新聞に出ているんです。 #長沼孝三 #青いとまと #東京美術学校

《謝恩会》 そして卒業制作に出したんですよ。当然学校の点数は六十点よ。ところが卒業式の日、謝恩会が上野の山下であったなあ。特待生なんか北村西望あたりを囲んで並んでるわけだ。末席の俺は一番ビリで小さくなってこうしていたんですよ。 #長沼孝三 #青いとまと #北村西望 #東京藝術大学

しかし私は立体ポスターというのを創った。「彼と彼女」という映画が封切られる。その時のポスター、こっちは彫刻だから彫刻のポスターを創っちゃった。 #長沼孝三 #青いとまと #筋肉をひろえ #長井市

感動しないものを創って何が芸術だ。という、言葉でいうと気骨。そんなことで学校は六十点で出たと。 たまたま話は脱線するけれども。卒業制作考えなきゃいけないでしょう。卒業論文を出さなきゃいけないわけだ。そうすると僕は木彫だから、木彫で出さなきゃいけない。 #長沼孝三 #青いとまと