#一人百人一首 57 【意訳】 えー！さびしいなぁ。 せわし過ぎない？ 忙しいのは分かるけど 久々に会えたのに あんなに早く帰っちゃうなんて… まるで一瞬だけ顔出して すぐ雲隠れしちゃう夜中の月みたいじゃんか。 【元歌】 巡り会ひて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな 紫式部

#一人百人一首 57注_4 〇雲隠れにし夜半の月かな 雲隠れ:動詞/ラ行下二段活用「雲隠る」連用形/雲間に隠れる。 に:助動詞/完了「ぬ」連用形/～てしまった。 し:助動詞/過去「き」連体形/～た。 夜半:名詞/夜中 の:格助詞/連体修飾/～の。 月:名詞/月 かな:終助詞/詠嘆/だなぁ

#一人百人一首 57注_3 〇それとも分かぬ間に それ:代名詞/その人 と:格助詞/動作の相手 も:係助詞/強意？ 分か:動詞/カ行四段活用「わく」未然形/判断する。理解する。 ぬ:助動詞/打消し「ず」連体形/～ない 間:名詞/あいだ(時間としての) に:格助詞/動作の対象/～に

#一人百人一首 57注_2 〇巡り会ひて見しや 巡り会ひ:動詞/ハ行四段活用「めぐりあふ」連用形/やっと出会う (未は/用ひ/終ふ/体ふ/已へ/命へ) て:接続助詞/〔逆接の確定条件〕/…のに 見:マ行上一段活用「みる」連用形/理解する。わかる。 し:助動詞/過去「き」連体形/～た や:係助詞/〔疑問〕/…か

#一人百人一首 57注_1 【直訳】 やっと出会えたのに、 それだと理解できない間に 雲間に隠れてしまった、夜中の月だなぁ。 【元歌】 巡り会ひて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな 【詠み人】 紫式部

#一人百人一首 56 【意訳】 ねぇ わたしね しんでしまうのよ それでね さいごにひとつだけ わがままきいてほしいの あなたのかお もういちどだけよくみせて そしたら あっちでうわきせずに あなたのことまってるわ 【元歌】 在らざらむ この世の他の思い出に 今ひとたびの 逢ふこともがな 和泉式部

#一人百人一首 56注_4 〇逢ふこともがな 逢ふ動詞/ハ行四段活用「あふ」連体形/逢う。 (未は/用ひ/終ふ/体ふ/已へ/命へ) こと:名詞(体言)/事 もがな:終助詞/願望/～できたらなぁ。

#一人百人一首 56注_3 〇此の世の他の思い出に今ひとたびの 此の世の他の→あの世 この世:名詞(体言)/現世 の:格助詞/連体修飾/「～の」 他:名詞/他 の:格助詞/連体修飾/「～の」 思い出:名詞/思い出 に:格助詞/動作の対象/「～に」 今:副詞/もう。 ひとたび:名詞/一回。 の:格助詞/連体修飾/「～の」

#一人百人一首 56注_2 〇在らざらむ ※生きていないであろう 在ら:動詞/ラ行変格活用「あり」未然形/生きている。無事でいる。 (未ら/連り/終り/体る/已れ/命れ) ざら:助動詞/打消し「ず」未然形/…ない。 《接続》活用語の未然形に付く。 む:助動詞/推量「む」連体形/…だろう。…う。

#一人百人一首 56注_1 【直訳】 生きていないだろう この世ではない場所の思い出として もう一度 逢えたらなぁ 【元歌】 在らざらむ この世の他の思い出に 今ひとたびの 逢ふこともがな 【詠み人】 和泉式部

#一人百人一首 55 【意訳】 ここには贅を凝らして作った滝が流れていた 今は水絶え流れ落ちる音は聞こえないが 滝があったという名声は枯れることなく伝わり続ける 名声を受けるべき人も息絶えて久しいというのに 【元歌】 滝の音は絶えて久しく なりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ 大納言公任

#一人百人一首 55注_5 〇なほ聞こえけれ なほ:副詞/やはり 聞こえ:動詞/下二段「きこゆ」連用形/耳にする。 けれ:助動詞/詠嘆「けり」已然形/だなぁ。

#一人百人一首 55注_4 〇名こそ流れて 名:名詞/評判 こそ:係助詞・係り結び(けれ)が已然形になる/〔「こそ…已然形」の句の形で、強調逆接確定条件〕…は…だけれど。…こそ…けれども。 流れ:動詞/下二段「ながる」連用形/伝わる て:接続助詞/〔並行〕/…て。…て、そして。

#一人百人一首 55注_3 〇なりぬれど なり:動詞/四段活用「なる」連用形/変わる。 ぬれ:助動詞/「ぬ」已然形/〔完了〕/…てしまった。…てしまう。…た。 ど:接続助詞/〔逆接の確定条件〕…けれども。…が。…のに。

#一人百人一首 55注_2 〇滝の音(おと)は絶えて久しく 滝:名詞/滝 の:格助詞/連体修飾/「～の」 音:名詞/音 は:係助詞/〔強調〕/…は。 絶え:動詞/下二段「たゆ」連用形/絶える。 て:接続助詞/〔継起〕/…して、それから。 久しく:形容詞/シク活用「ひさし」連用形/長い月日。

#一人百人一首 55注_1 【直訳】 滝の音は 聞こえなくなってしまってから 長い月日が経つけれども 評判はやはり耳にするなぁ。 【元歌】 滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ 聞こえけれ 【詠み人】 大納言公任

#一人百人一首 54 【意訳】 私、怖くなっちゃったの 「永遠に愛してる」って あなたの言葉をいつか疑う日が来るのが だから今、神様にお願いしてたの この満ち足りた気持ちのまま 今すぐ私の命を奪ってくださいって 【元歌】 忘れじの 行く末までは難ければ 今日を限りの 命と もがな 儀同三司母

#一人百人一首 54注釈_4 〇今日を限りの命と もがな 今日:名詞/今日 を:格助詞/動作の対象/「～を」 限り:名詞/最後 の:格助詞/連体修飾 命:名詞/寿命 と:格助詞/動作の相手/「～と」 もがな:終助詞/〔願望〕/…があったらなあ。…があればいいなあ。

#一人百人一首 54注釈_3 〇行く末までは難ければ 行く末:名詞/将来 まで:副助詞/〔範囲・限度〕/…まで。 《接続》体言、活用語の連体形、副詞、助詞などに付く。 は:係助詞/〔強調〕/…は。 難けれ:形容詞/ク活用「難し」/難しい。 ば:接続助詞/〔順接の確定条件、原因・理由〕/…ので。…から

#一人百人一首 54注釈_2 〇忘れじの 忘れ:動詞/下二段「忘る」/自然に忘れていく。 (未れ/連れ/終る/体るる/已るれ/命れよ) じ:助動詞/〔打消の意志〕/…するつもりはない。…ないようにしよう。…まい。 の:格助詞/連体修飾/「～の」

#一人百人一首 54注釈_1 【直訳】 将来まで忘れないようにしよう というのは難しいので 今日が寿命の最後ならいいのになぁ。 【元歌】 忘れじの 行く末までは難ければ 今日を限りの命と もがな 【詠み人】 儀同三司母

#一人百人一首 53 【意訳】 待たされる気持ちなんて あなたは知らないのよ。 「わかってる」なんて 絶対に言わせないわ。 泣いても泣いても ちっとも夜は明けない。 その長さや苦しさを あなたはご存じ？ 【元歌】 嘆きつつ 独り寝る夜の明くる間は いかに久しき 物とかは知る 右大将道綱母

#一人百人一首 53注釈_4 〇物とかは知る ※「かは」は係り結びのため「知る」が連体形に。 物:名詞/物事 と:格助詞/引用？ かは:係助詞/〔反語〕/…だろうか、いや…ではない。 知る:動詞四段活用「知る」連体形/分かる。 活用(未ら/用り/終る/体る/已れ/命れ)

#一人百人一首 53注釈_3 〇明くる間はいかに久しき 明くる:動詞/下二段活用連体形/夜が明ける 間:名詞/あいだ は:係助詞/〔強調〕/…は。 いかに:副詞/どれほど 久しき:形容詞シク活用/長い (未（しく）・しから/連しく・しかり/終し/体しき・しかる/已しけれ/命しかれ)

#一人百人一首 53注釈_2 〇嘆きつつ独り寝る夜の 嘆き:動詞/四段活用連用形/悲しむ つつ:接続助詞/〔継続〕/…し続けて。（ずっと）…していて。 独り:名詞/一人 寝る:動詞/下二段活用「ぬる連体形」/寝る※「夜」に接続 (未ね/用ね/終ぬ/体ぬる/已ぬれ/命ねよ) 夜:名詞/夜 の:格助詞/主格/「～が」

#一人百人一首 53注釈_1 【直訳】 泣き続けて 一人で寝る夜の明けるまでの間が どれほど長い物か知っていますか？ いや、知りません。 【元歌】 嘆きつつ 独り寝る夜の明くる間は いかに久しき 物とかは知る 【詠み人】 右大将道綱母

#一人百人一首 52 【意訳】 おかしくなったんです。 あなたのせいです。 朝がくれば、また夜が来て 会えるって分かってるのに。 朝日に向かって「邪魔すんなよ」なんて 恨み言、言ったりしてるんですよ。 【元歌】 明けぬれば 暮るるものとは知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな 藤原道信朝臣

#一人百人一首 52注釈_5 〇朝ぼらけかな 朝ぼらけ:名詞/夜明けがた。 かな:終助詞/詠嘆。

#一人百人一首 52注釈_4 〇知りながらなほうらめしき 知り:動詞/四段活用「知る」連用形/分かる 活用(未ら／用り／終る／体る／已れ／命れ) ながら:接続助詞/〔逆接〕/…けれども。…のに。 なほ:副詞/やはり うらめしき:形容詞/シク活動「連体形」/うらめしい。

#一人百人一首 52注釈_3 〇暮るるものとは知りながら 暮るる:動詞/下二段活用連体形/日が暮れる※体言に接続 (未れ/用れ/終る/体るる/已るれ/命れよ) もの:名詞/物事。もの。 と:格助詞/変化の結果「～と」/ は:係助詞/〔主題・題目の提示〕/…は。

#一人百人一首 52注釈_2 〇明けぬれば 明け:動詞/下二段連用形/夜が明ける ※次が動詞なので ぬれ:助動詞/ナ変型已然形「完了」/「～しまう。」 《接続》活用語の連用形に付く。 ば:接続助詞/〔順接の確定条件、原因・理由〕/「…ので。…から。」 《接続》活用語の未然形、已然形に付く。

#一人百人一首 52注釈_1 【直訳】 夜は明けてしまったから 暮れるものだとは知っているけれども やはりうらめしい 夜明けごろだなぁ。 【元歌】 明けぬれば 暮るるものとは知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな 【詠み人】 藤原道信朝臣

#一人百人一首 51 【意訳】 お慕いしています。 でも、どうして言えるでしょうか。 この秘めた想いを。 あなたは知る事も無いでしょうね。 言葉に出来ない私の想いが この草のように燃えているのを。 【元歌】 かくとだに えやは 伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃える想ひを 藤原実方朝臣

#一人百人一首 51注釈_5 〇燃ゆる想ひを 燃ゆる:/ヤ行下二段活用「燃ゆ」連体形/燃える 想ひ:名詞/恋慕 を:格助詞/動作の対象/「～を」 ※「火」と「想ひ」の「ひ」が掛かる掛詞

#一人百人一首 51注釈_4 〇さしも知らじな さ:副詞/そのように。 し:副助詞/「強意」 も:係助詞/〔類推〕/…でも。…さえも。 知ら:動詞/四段活用「知る」未然形/知る 活用(未ら/用り/終る/体る/已れ/命れ) じ:助動詞/〔打消の推量〕/…ないだろう。…まい。 な:終助詞/[詠嘆]/～なぁ

#一人百人一首 51注釈_3 〇伊吹のさしも草 伊吹のさしも草:美濃近江間にまたがる山「伊吹山に生える、さしも草」 伊吹:上記地名と「言ふ」が掛かる「掛詞」 の:格助詞/連体修飾/「～の」 さしも草:名詞/ヨモギの異名。

#一人百人一首 00注釈_2 〇かくとだにえやは かく:副詞/このように。 と:格助詞/比喩/「～ように」 だに:副助詞/〔最小限の限度〕/せめて…だけでも。 え:副助詞/〔下に打消の語や反語表現を伴って〕とても…でき（ない）。 やは:係助詞/〔反語〕…（だろう）か、いや、…ない。

#一人百人一首 51注釈_1 【直訳】 このように想っているとだけでも せめて言いたいのですが、言えません。 伊吹山のヨモギではないですが (あなたは)知らないのでしょうねぇ。 ヨモギのように燃える想いを。 【元歌】 かくとだに えやは 伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃える想ひを 藤原実方朝臣

#一人百人一首 50 【意訳】 勝手だよね？ 「君のためなら命も惜しくない」って 本気で思ってたのに こうして想いを交わした後になると 「君のために永遠に生きたい」って 神様に願ってるんだから。 【元歌】 君がため 惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな 【詠み人】 藤原義孝

#一人百人一首 50注釈_5 〇思ひけるかな 思ひ:動詞/四段活用連用形/「願う。」 ける:助動詞/詠嘆/～ことよ かな:終助詞/詠嘆/～だなぁ。