【311】 閃光 青く光る あの光の裂け目に 目を凝らす 一瞬の 閃光 心の裂け目には 見て見ぬふり する自身を 稲光が貫いた 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/w9dft8n15p

【310】 月が見ている その向こうに故郷が見える 何処にも在るはずのない故郷 僕の中に在るのは？ いつだって望郷の思いでいっぱいだ 帰りたい 帰りたくない ただいまって 言いたかっただけなのに 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/2xk1ejyf3n

【309】 意識が浮上すると同時に ひとみが光を映す 眩しい、と自覚する前に 瞬きをしている 目覚めるのは いつだって重たい倦怠感がある 石のような身体が 動き出すのは 意思の力 背負った翼は畳まれたまま 羽ばたくのを待っている 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/sosem63lyc

【308】 たましいのゆくところ 美しいところだといいな あの子のたましいは 何処にいっただろう 僕にはわからない 永遠にわからないだろうことが とてもかなしく だから描き続けるのだろう 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/bjxyxyyszx

【307】 願いを含ませて羽が膨らむ 大きな大きな羽を広げて飛び立つのだろうか 今宵は新月で 白い羽だけがぼんやりと光る 目印は夏の三角 何処へでもゆける 何処へゆこうか 飛び立った場所には 願いをたっぷり吸った羽根が一枚 光っている 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/wrphnhbdci

【306】 血が乾いて黒くなる 空は灰色だ 絶え間ない飛行音が 死を連れてくる 願いは数多の星になる 祈りは常に胸にある 苦痛からの早い解放を 青空を 星空を 陽の光を 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/shnpolrhvo

【305】 久しぶりだね 影に言う ずっとさびしかったんだ 影は答えないけれど ずっとさびしかった それを口にすら出せなかった だから、ありがとう きっとこれから幾度も さびしいだろうけれど 僕はその度に さびしいって君に言うよ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/g4cp0x7jw2

【304】 美しい色のスカートを履く これは僕が僕であるために履く 真っ黒い装いをする これは僕が僕であるためにする 真っ白いワンピースは 特別だった それを着て写真を撮ってもらった それは僕であるのに 僕じゃないみたいだった 大切な写真 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/i1ddfrrmdj

【303】 ねえ君は考えたことがある？ 大切なひとが誰かに殺されること 無数のひとびとの誰かになること 大切なひとが 自分自身が 無名の亡骸になること ひとつひとつに 名を刻んで 永遠にしたいなんて 考えたことがある？ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/n1v87evjgl

【302】 眠るよ この夜の海で 深海の夢を見るのだ 僕はシーラカンスになって 悠々と 幾百年を過ごすのだ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.x.com/g5wrv7imwb

【301】 大切なものを分け合えたら 痛みも分け合えたら 不安も分け合えたら それはどれほどの幸福だろう いつか 分け合って 並んで立っていた時 どれほど幸福だったろう 今でも夢に見る 幸せで さびしい夢 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/xSwD0khYgt

【300】 古い文字が滲んで消える その瞬間を見たかった いつだってそう 何かが終わる瞬間を見たかった 看取れることはそう多くはない 殆どが難しいだろう いつだって 僕は失ってしまってから それを知る だから願わずにはいられないのだ この生を この死を 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/JPZYxREI2L

【299】 月が出ていた まだ太陽が沈みきっていないのに 束の間の邂逅に目を瞬かせたら 汗が目に入り涙になった 泣きたくなんてないのに 溢れる 嗚呼、気付かなかった 僕はずっとこの邂逅を望んでいたんだ また、また、 再会しようこの場所で 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/4t7IMUXelT

【298】 夜のふち 時計がてっぺんを回った頃 僕はひとり 煙草をふかしている いつかの 夜の海を思い出している ここには海も灯台も あの真っ暗な空もないけれど きらきら光る街明かりが ただ生きている 証だと思うと 涙が出てくるんだ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/Y6P8YnTle7

【297】 大きな穴がぽっかり空いている それは心の穴 それは身体の穴 それは眼差しの穴 それは落とされた爆弾の穴 それは失われたいのち それは泣くこともできない心 無数の穴が足元に広がる それは埋めることのできない穴 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/MF0PsiHYMe

【296】 月を食む 琥珀糖のような食感 シャリシャリ どんどん欠けてゆく月に 途端に不安になる それでも また満ちてゆくので 食欲に負けてしまう シャリシャリ 月を食む 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/yjJuYK9vLL

【295】 心にぽつんと落ちてきた 君の言葉を 幾度も反芻する 声を忘れてしまっても 顔を忘れてしまっても その言葉を忘れたくない 君に幾度も救われている その言葉たちを 何度も胸に抱いて泣いている 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/X94DrMoSKt

【294】 海に行きたいなって言うと 泳ぐのかい？って聞かれるけれど ただただ打ち寄せる波や 真っ黒い夜の海を見たいだけ 灯台があるともっと良い 僕を見失いそうになったら 灯台を目印にして 航海中なのかい？って笑うから もうずっと漂流中だよって答える 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/Q8D6G82tBf

【293】 青い夜に沈んでゆく身体を 繋ぎ止めるために ぬいぐるみたちが夢の番をする 夜に落っこちてしまわぬように 柔らかい毛布に丸まって眠る 夢が醒めたら きっと朝になるよね 怖くないよって 言われたいし言いたいよ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/W6CjBHe0cr

【292】 ヒーローは朝焼けとともに現れた 朝日が逆光となって影を落とす それでも光るひたいの汗に 戦いの痕を見る 去ってゆくのは一瞬だった 制限時間があるのだ そう決まっている ヒーローも人間なのだ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/prQEA2b5A9

【291】 消えそうに儚いのだと思っていた恋は 思いのほか重たく 永遠と続くのかという夏に似ていて うんざりするね 君の飲んだサイダーが恨めしい それを思い出している、夏 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/Kh5Oo13hSD

【290】 重たい月が毎月のように巡ってくる いつか、いつかは失われるもの それでも今はこれが 良いものなんて思えない 重たい月はあと何回？ 潰えることに実感が湧かない 心と身体がばらばらになる 性すら恨むよ この月が大事なものならよかった 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/rdMhsq79Th

【289】 月を見て寂しくなるのは 綺麗だねって 言える相手が居ないこと それでも美しい月が昇るたび 綺麗だねって 天に向かって呟くの 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/ftXmZUjgGs

【288】 落花 ひらりと風に舞う花弁 その花は一晩しか 咲かないのだという 落花 僕は落ちたそれを また埋めるのだ 毎年、毎年 埋め続けるのだ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/G3DDu8Sund

【287】 日暮れ前の雷雲が 雨を運んでくる 目を焼くほどの閃光に 少しだけ心が浮足立つ 吸っている煙草の火が チリ、と音を立てて 空から降る轟音に掻き消される 雨の匂い 灰雲 光 明滅する光 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/wvhHIA9w2p

【286】 風切羽 光が乱反射して 網膜に刺さる 鳥が頭上を走るのを 足下の影で知る 僕にはない風切羽 彼方まで 走ってゆけたら 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/kSeUoW1ihr

【285】 僕の中の深い深い 湖に 君が訪れたのは きっと運命だったよ 君は僕の中に 大きな深い湖を見つけてくれた その存在を教えてくれた 僕だって知らなかった場所 それが居場所になった 今でも僕は その湖で悠々と泳いでいる たったひとりでも 泳いでいる 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/7vveIp55uA

【284】 おもちゃみたいな月が昇っていた 取り外して手元に置くと ぼんやり明るい 君は君自身では 光れないのではなかったっけ？ これは僕が裡に溜めた 僕自身の光だよ 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/hFMEvlHqEB

【283】 落下する星の最後 線香花火みたいに消える 燃えているのを 覚えていて 目に焼き付けるから 最後まで生きていて 絵・文：茅野カヤ #一日一兎 #うさぎ pic.twitter.com/rh5tETqLrU

吉岡沙紀ちゃんの利き手を間違えた絵です、、、、 9/12 #一日一兎 26日目 pic.twitter.com/E41jeKZJE3