#一行怪談 鏡に映る私の顔には、今日も「私はあなたの秘密を知っている」という文字が浮かんでいる。

#一行怪談 事故で亡くなった先輩のロッカーから、先輩の母親の金切り声がひっきりなしに聞こえるので、先輩の死因は本当に事故だったのかが部活内で疑問視されている。

#一行怪談 一人暮らしの家の深夜、トイレのノック音で目が覚めた私は、今日が彼氏を海に沈めた日であることを思い出すも、何人目の彼氏のことかは思い出せず、それよりも明日の会議に備えるために早々に眠ることにした。

#一行怪談 季節外れの生首が降ったということは、世界の終焉に一歩近づいたということです。

#一行怪談 街灯から垂れている首吊り死体は私を見下ろして時折何か口を動かしているものの、その口の動きがどんな言葉を表しているかがわかった時には手遅れだった。

#一行怪談 「早く帰ろうぜ」と笑う友人の頭から蜘蛛の糸のようなものが空へと伸びていることに気づいた、深夜二時の廃墟の外。

あ 　　な 　　た 　が う 　　ら 　　　め 　　し 　　い 　・ 　・ 　　・ #一行怪談

#一行怪談 娘が義父からもらったという熊のぬいぐるみが最近臭ってきたため中を確かめると、潰れた蛙がぎっしりと中に詰まっていた。

#一行怪談 妻の目に映る私の顔は今日も、かつて山に埋めた妻の不倫相手の顔。

一瞬の中にあるきらめきを絶望に変えるのが楽しいと感じる恐ろしさ #一行怪談

この前姉に見せてもらった心霊写真は、体の一部が欠けているだけでなく、断面がちゃんと分かった。 #一行怪談

「見ないテレビは消せ」とうるさかった母が亡くなって、気兼ねなくテレビをつけっぱなしにしていると、どこからかハエが飛んできて、リモコンの電源ボタンの上に乗ると、 テレビの電源が切れた。 #一行怪談

#一行怪談 夫を殺した翌朝、「おはよう」と私に笑いかける見知らぬ男を見て、これが今日の私の配偶者かと殺しのプランを頭の中で組み立てながら、「おはよう」と笑顔を返す。

#一行怪談　網を引くと、人魚が掛かっていたが鼾をかいて爆睡していたので正直萎えた。

運動会、選手宣誓しなきゃなのにズボンのチャックが閉まらない。 #一行怪談

#一行怪談 「おめでとうございます、あなたは1563人目の転生者です」という声と共に目が覚めたが、一日過ごしてみたもののいつもと何も変わらず、腕を組み頬を掻き頭を抱えたものの、「まあ、いいか」と考えるのを止めて四本の腕を下ろした。

#一行怪談　見覚えのある腕が現れるまで、周囲の人は腕に怪我を負い続けるのだろうか。#返怖

「人が死ぬ高さ」の話が出たあたりで、これが道徳の授業ではないと気付いた。 #一行怪談

「〇〇の母です。 △月△△日、〇〇は長きに渡る闘病の末、地の底へ落ちていきました。」 #一行怪談

#一行怪談 写真に写った顔が 体に移った。

近所の駄菓子屋に【遺書】と書かれたガチャポンが置いてある #一行怪談

#一行怪談 朝に空に見えた笑顔が夜になると真顔になっていた。

#一行怪談 目の前で本を読んでいる友人から 着信が入った。

動物園のシマウマの飼育員が、ホームセンターで、思い詰めた顔で白いペンキを見つめている。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

遺書雑誌の袋とじのグラビアで、綺麗な女性アイドルが遺書を踏んづけていた。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

虹で遊んでいた子どもたちの爪がどす黒く汚れている。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

#一行怪談　壊した祠から「ありがとうございます」と手を握られた。

友人の紹介で、 繁華街でなんのいわれもない赤い封筒を道端に落としてくる仕事に就いた。 #一行怪談

子供の目の動きから見て、どうやらあいつはまだあのビルで飛び降りを繰り返しているらしい。 #一行怪談

空を見ていると、近所の雑居ビルの屋上に、まるで私達を見下ろすように、仏壇がおいてあるのが一瞬見えた。 #一行怪談

あなたの予言を当たったことにするために、私は頑張ります。 #一行怪談

山奥で朽ちている乗用車を見つけたが、まだ車検が切れていない。 #一行怪談

夏、家の前の道の上でびちびち跳ねている金魚を見ながら、雨降れ、と心の中で祈っている。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

人類が滅亡した後の荒野で、信号機たちが、自分たちの本当の色を灯し始める。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

ベビーカーに一個のツナ缶を載せた女と、一匹のマグロが、水族館の水槽越しに見つめ合っている。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

#一行怪談　豪華客船ツアーに当選、周りに内緒で参加したら生者は俺一人。

担架に載せられた墓石が救急車に運び込まれる。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

少年のフーセンガムが月と同じ大きさまで膨らんだ時、月からの使者が針を持って現れた。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel

高名な書道家が、自身が書いた「蚊」という文字の前で、恍惚の表情を浮かべながら全身を掻きむしっている。 #一行怪談 #ショートショート #超短編小説 #マイクロノベル #twnovel