要するに、君の邪心を匡正(きょうせい)して、善事を進め、聖王の心を体して公平を尊び、下に同調しないものです。美善は上に在って、怨讐は下に在り、安樂は上に在って、憂戚(ゆうせき)は臣の方に在る、此の様なのが私の所謂(いわゆる)忠臣でございます」と、#墨子 は答えた。【1】

#墨子 が応えて言った。「下を向けといえば下を向き、上を向けといえば上を向く、これはまるで影の様でございます、じっとしてれば音がなく、呼べば應(応;こた)える、これは響(ひびき)の様でございます、貴方(あなた)は影と響とから何を得ようとなさるのでございますか。【1】

#魯陽の文君 が #墨子 に向かって言った。 「私に彼は忠臣だといって敎えてくれる者がある、上を向けといえば上を向き、下を向けといえば下を向く、何事もなくじっとして居る時は音もなく、呼べばはいと應(応;こた)える、果して忠臣というべきであろうか」【2】

其の邪を匡(すく)いて其の善に入れ、尚同して下比することなし、是れの以(ゆえ)に美善は上に在りて怨讎(おんしゅう)は下に在り、安樂は上にありて憂慼(ゆうれい)は臣に在り。此(こ)れ #翟(てき;#墨子)の忠臣と謂うものなり。【1】

若(も)し #翟(てき;#墨子)の所謂(いわゆる)忠臣なるものを以てせば、上、過(あやまち)あれば則ち之を微(かす)かにし以て諫(いさ)め、己に善あれば則ち之を上に訪(はか)りて、敢(あえ)て以て外に告ぐるなし。【2】

人の上に立つ者は暴虐を行いながら、妄(みだ)りに天命天誅と称して、他国を侵略攻奪するべきでないと、この章で『#墨子』は言う。 『#孟子』の #公孫丑 篇の[沈同以其私問曰燕可伐与(#斉 の大臣である #沈同 が個人的に、#燕 は打って良いかを孟子に問うた)]章にも、よく似た話が記載されている。【2】

#墨子 は、次のように言った。「あなたは、#鄭 で二代にわたって君主が殺され、それを怒って天が三年のあいだ不作をもたらし、罰を加えたとおっしゃる。そうだとすれば、天の罰はもう十分です」。【2】

「そうでしょう。あなたが #魯陽 全体を領有しているように、天下はことごとく天の領有するところです。もしあなたが軍隊を差し向けて #鄭国 を攻めるとすれば、天は怒って、あなたに罰を加えないでしょうか」と、#墨子 はいった。【2】

#魯陽 の #文君 が #鄭(てい)を攻めようとしていた。 #墨子 は、思いとどまらせようとして、文君にいった。 「もし魯陽の領内で、大貴族が小貴族を攻め、大氏族が小氏族を攻めて、人民を殺し、家畜、衣類、穀物などの財産を略奪する行為に出たとしたら、君主たるあなたは、どう処置なさいますか」【2】

#墨子 が、#魯陽文君 にこういわれた。「世俗の君子は皆、小事はよく知っているが、大事は知らないことが多いのです。今ここにある人がいるとして、その人が一匹の犬や彘{てい;雌豚}を盗めば、直ちに不仁者といって之を非難します。しかし、一つの国や都を侵略すると、却って之を義人といいます。【2】

こんにちは。 　「#哲学の日」にちなむAI作「#哲学者とコーヒー」④。 　#孔子 に続き、#墨子。 　いや、「すみこ」じゃなくて「ぼくし」なんだけど😅 #生成AI #コーヒー好きと繋がりたい #コーヒーのある暮らし pic.twitter.com/LAE18JnJWI

『#墨子』のこの文章では、#斉の大王 に対して、人を殺す刀と其の刀を執って人を試し切りする者との喩(たとえ)をもって、軍隊を興(おこ)し戦をすれば、結局、君主は、その損失を受けて不利となることをいう。【1】

#墨子 は #斉の大王 に会って言った。 「ここに刀がひとふりあるとします。人の頭で試したところ、思いもしなかったのですが、一刀のもとに断ち切ってしまいました。刀が鋭利といえましょうね」 「その通りだ」【2】

故に大国の小国を攻むるは{攻められた小国が、大国を仇に思って攻める為}、是(こ)れ交(こもご)も相賊(そこな)うなり、過{禍;あやま}たば必ず国に反(かえ)る。 この章では、戦を好み敗亡した #吳王、#智伯 の例を挙げ、#斉 も余計な戦争をすると、自から敗亡することを免れないと、#墨子 は言う。【2】

返信は固定ツイートを御覧ください #映画評論 #始皇帝天下統一 #墨子 #注釈 #注30 #コラム13982 （注30）BC470?～BC390年？。 ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%A8…

『#史記』の #田敬仲世家 及び #六國年表 によると、#田和 が始めて立ち、諸侯となったのは、#周 の #安王 十六年にあたる。これによって推測すれば、#墨子 が大王に見(まみ)えたのは、其の後であろう。【1】

#墨子 が、「力を以て人の國を併せ、軍を覆し、人民を賊殺(ぞくさつ)いたしましたら、誰が其の不祥を受けるのでございましょう」と問うた。 大王は、暫(しば)し俯(うつむ)いて考えておったが、やがて首を擧げて、 「其の不祥を受けるものは俺(わし)じゃ」と答えた。【1】

#墨子 が、「大勢の者に試して見ますと、同じ様によく切れます。いかがでしょう」と言った。 大王は、「利刀じゃ」と言った。 墨子が、「刀は業(わざ)物であるとして、其の不祥を受けるのは誰でしょう」と言った。 大王は、「刀は業物の名を得て、刀を試した者が不祥を受けるであろう」と言った。【2】

【百里之諸侯】百里とは土地が方百里であることを言う。百里の土地を有するは、もともとは大国の諸侯の国だったが、#墨子 の時代には百里は小国の名称となった。 【讐忠】忠臣を却(かえ)って怨みに思い、讐(あだ)をなすこと。前文にある #禹湯文武 忠を悦び義を行うということに相対して言う。【2】

#墨子 が #齊 の大王の #田和 にお目通りをして言った。 「今ここに一振りの刀があるとします。人の頭を切って試して見るのに、刃が触れたかと思うと、忽(たちま)ちにして頭が落ちるという程でございましたら、どんなものでございましょう」 大王は、「きれる刀である」と言った。【1】

この章では、#魯君 が強国である #斉 の兵を禦(ふせ)ぐ方策を問うたのに対し、#墨子 が答えたことは、天を尊(たっと)び鬼に事(つか)え、国民を愛利(愛し育(はぐく)み、利益を与えて豊かに)し、隣国との交誼(こうぎ)を厚くして、挙国一致して当たる以外に、対応策が無いということだと言っている。【2】

#齊 では、愈々(いよいよ)#魯 を伐(う)つことになった。#墨子 は齊の大將である #項子牛 に説いて言った。 「齊が魯を伐つのは大きな間違いだ。昔、#呉王夫差 は、東の #越を伐って、#越王句践 を #会稽(かいけい)に棲(す)まわせて臣下として事(つか)えるようにした。【1】