ところが #墨子 が言うには、「やはり物事には專門があり、自分達が斯ういう細工をしても駄目である。車の横木を作る者は何でもないような者だけれども、自分はそういう職人に及ばない。あの職人達は一尺か二尺の木を用いて、ひと朝も掛からないで少しの時間の間に車の横木を作ってしまう。【1】

#墨子 という人が木を削って鳶のような形にして、これを空に飛ばすことを工夫した。丁度凧のようなもので、これに乘って敵陣の狀態などでも窺(うかが)えるというような譯で、これは實用になる積りで、三年も掛って漸(ようや)く出來上ったので、これを飛ばして見たところが、『一日にして敗る』【1】

咫尺(しせき)の木を用い、一朝の事を費(ついや)さず。而(しこう)して三十石の任を引き、遠きを致し力多く、歳数に久し。今、我、鳶(とび)を為(つく)る、三年にして成り、蜚(と)ぶこと一日にして敗る。#惠子、之を聞いて曰く、#墨子 は太巧なり。輗(げい)を為るを巧とし、鳶を為るを拙とす。【2】

『#韓非子』#外儲説(がいちょせつ)に云う。 #墨子、木鳶(もくえん)を為(つく)り、三年にして成り、蜚(と)ぶこと一日にして敗る。弟子曰く、先生の巧、能(よ)く木鳶をして飛ばしむるに至る。墨子曰く、吾、車輗(しゃげい)を為る者の巧(たくみ)なるにしかざるなり。【1】

【五十石之重】『#説文解字』禾部に「䄷百二十斤也」とあり、石は䄷の借字。 この章では、#墨子 は物を爲(つく)るも人に利益を与えなければ巧とすべきではないと言う。【2】

おもちゃのトビ(鳶)やカササギ(鵲)を #墨子 がつくったのか、#公輸子 がつくったのか、どちらとも決めかねるが、「人を利する技術が“巧”であり、人を利さぬ技術は、“拙”なのだ」という墨子の技術に対する見方は、一貫している。【1】

一尺たらずの材木しか使わず、一日もかけないで仕上げてしまい、それでいて三十石の重荷をのせて、遠くまで運ぶ力がある。しかも何年も長持ちする。わたしの作ったトビ(鳶)は、三年もかけながら、一日飛んだだけでこわれてしまった」 と、#墨子 は答えている。【2】

これと似たような話は、『#韓非子』にもある。『韓非子』では、カササギ(鵲)がトビ(鳶)になっており、つくった人間は、#公輸子 ではなくて、#墨子 自身となっている。 弟子がその技術をほめると、 「いや、車の把手(にぎりて)をつくる者にはかなわない。【1】

【オナーオブキングス】の新しい動画を投稿しました！ 墨子（ぼくし、Mozi）で草むらの見えない敵をキルします！ youtube.com/shorts/iz6x66r… #HOK #honorofkings #墨子

#公輸子 が、竹と木を削って、おもちゃの鵲(かささぎ)をつくった。さっそく飛ばしてみると、三日間も飛んでいた。 「わたしほど腕の立つ技術者はいないだろう」 と公輸子は自慢した。 それをきいて、#墨子 は、 「鵲をどんなに精巧につくったところで、大工が車のクサビをつくるのには及ばない。【1】

#公輸子 は、#墨子 に鉤距(こうきょ)の威力(いりょく)を自慢していった。 「わたしには鉤距という武器があります。あなたの説く義には、これほどの力がありますか」 「わたしの“#義”の鉤距は、あなたの鉤距よりも威力があります。【2】

#光る君へ #30 #孫子 の呉越同舟の一節が出て来た。既に #論語 #孟子 #荀子 #墨子 #荘子 は出ているので残されている主要 #諸子百家 はいよいよ #老子 #韓非子 くらいではないか。#虎に翼 にはまだ韓非子の書物自体は出て来ていない。

[#項子牛]#斉 の君主 #田和(でんか)に仕えた将軍であり、#魯 国を侵略したとされている。 [#勝綽、#高孫子]の両人は、皆 #墨子 の弟子。 【済驕而正嬖】済は止むこと、嬖は僻である。その驕(キョウ;おごり)を止めさせ、僻(ヘキ;かたより)を正させることをいう。【2】

これを知った #墨子 は、弟子の #高孫子(こうそんし)を #項子牛 のもとに使いにやり、こういわせた。 「#勝綽 をひきとらせてほしい。かれをあなたのもとに仕えさせたのは、あなたの驕慢(きょうまん)をおさえ、あなたの野望をくじくためであった。【2】

#墨子 は、弟子の #勝綽(しょうしゃく)を、#斉(せい)の将軍、#項子牛(こうしぎゅう)のもとに仕えさせていた。 ところが、勝綽は項子牛が三度 #魯 を侵略すると、そのつど行動をともにした。【1】

#墨子 が言うには、國に七つの大に患(わずら)うべきこと(#七患)がある。此の七つの中の一つでもあると、決して其の國は榮えて行かない。その七患を擧げて見ると、先づ國に備えがなく、城も廓(かく)も或いは堀も皆手薄であって、守ることが出來ない。【2】

#王子閭 の態度こそは仁ではないでしょうか』と、#孟山(もうざん)は感心していった。 #墨子 はそれをきいて、 「なるほど、だれにもまねのできることではない。だが、それだけでは、まだ仁ではない。【1】