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「え、今夜も…レポートは?」 「疑問に思ったことをメモしておくだけでいい。何ならもう書かなくても結構だ。俺はこれからお前たちの質問を読んでから調べ物をしなきゃならん…」 死んだ目でレポートの束を見る蒔田に二人はほんの少しだけ申し訳なく思った。 #uminv

乾小路烏魅/美濃国審神者@uminosuke

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「はい…父、晴嵐が危篤になりまして…ちょっとお休みを…」 「すぐにお父さんのところへ行きなさい!もう、こんな伝言誰かに頼めばいいのにあなたは真面目なんだから!」 紅椿は慌てて立ち上がると晴昴の手から端末を奪い、背中を押す。 「シザーズか蒼雪に仕事は引き継がせるから」 #uminv

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確信に近い蒔田の一言に直矢は安堵する。 「でもすぐには帰ってきませんよね…一応地上に降りてきたレキシューは退治できたけど、まだ目玉は浮かんでいるので」 「…だな。一通りの掃討は終わったが、また日の入りと共に出てくるだろう。油断は禁物だ」 #uminv

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あれからどれくらいの月日が流れたであろうか。全ての事務的な仕事を終えた紅椿は豪奢なソファーに体を投げ出していた。 「ボス、よろしいでしょうか?」 ノックと共に部屋に入ってきたのは背の高い女性だった。 「あら、晴昴。どうしたの、厳しい表情をして…晴嵐に何かあったの?」 #uminv

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半ば諦めていたこんのすけたちが生きているかもしれない―――それだけでも直矢のテンションが上がる。 「俺のこんのすけも無事だといいなぁ」 「きっと大丈夫だろう。相当数の気配を感じると白山吉光が言っていたから、100匹以上―――行方不明の殆どは無事だと思うぞ」 #uminv

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戦争に手を出さなければ単純な取引で済んだのだろう。だが戦争に、そして太陽系連盟との取引に色気を出してしまったため、連盟側に『利用価値あり』ということがバレてしまった。ある意味反社会的組織よりもたちが悪い相手に青龍組側はなす術もなく従うしか無かった。 #uminv

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「え?もしかしてわかったんですか?うちのこんのすけも行方不明なんですけど!」 直矢は思わず蒔田に詰め寄る。 「はっきりとはまだ解っていない。だが空中に浮かんだ巨大な目玉からこんのすけらの反応があると霊感が強い刀剣男士ら複数人が言っているから間違いないだろう」 #uminv

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「あと君がいなくなったら別の『プレミアム・ジュエル』を送ってくるだろう。1兆ドルの価値を持つ君等を我々に与えたとしても、連盟にとってはメリットが大きい―――せめて『金銭条件』はもう少し減らしたいところだが」 「ハッキングの件と連盟の手先になるのは仕方ない、ってところですね」 #uminv

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「道理で授業でやっていない戦法やら難しい用語が沢山出てきたわけだ…」 頭を抱える蒼の肩を直矢がぽん、と叩く。 「俺等だけじゃ無理だから、ここは後日先生に解説してもらお?俺達だって今後使わなきゃならない戦法だろうしさ」 「ま、そういう事だ。あ、そう言えばこんのすけの件だが」 #uminv

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ボスとギルティの話に紅椿が割って入る。だが、その紅椿の提案をやんわりと否定したのは側で話を聞いていた晴嵐だった。 「残念ながらそれはNG。たとえ君が向こうに『勝手』に帰っていったとしても、スパイの疑惑がかけられてしまう。君は僕らと長く居すぎてしまったよ」 #uminv

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「これ、出しちゃダメですかね?」 すると蒔田はすっ、と手を伸ばし二人からメモの束を預かった。 「出す分には構わないが、今すぐに答えるのは無理だ。俺でさえわからない戦術が沢山出てきたんだ。今回初めて出てきた戦法も多数あったからな」 「そうなんですか!」 #uminv

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今まで神妙にボスの話を聞いていたギルティが声を上げた。 「あれは向こうの交渉術に負けた俺達が…」 「ねぇ、ボス。『対価』を支払わず私を『返還』する余地は無いの?または私が勝手に『脱走』して向こうに行くってことは?ちょっと向こうに有利すぎるでしょ、今回の条件は」 #uminv

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蒔田の机に積み上げられたレポート―――それは他の研修生らが『課題とは別の質問事項』として提出したものだった。その山をちらちら見つつ、直矢と蒼はメモの束をそっと差し出す。 「ははは…中継の説明が難しすぎて。わからないところをメモしていたらこんな感じになりました」 #uminv

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「なんかそれってズルくない?連盟側ばっかりに有利なような気がするんだけど…紅椿と一緒にいられるのは嬉しいけどさ」 「むしろ紅椿がこちら側に、という点以外は完全にこちら側が不利だな。だが『戦争』に手を出して、連盟の誘いに迂闊に乗ってしまった―――これは俺の判断ミスだ」 #uminv

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「…お前たちは質問の束とか持ってきてないだろうな?今日は質問に答えてやれんからな」 蒔田はそう言いながら自分の机を指し示す。そこには原稿用紙に書かれた『課題』とは別の、分厚いレポートの束が何冊も積み上がっていた。 #uminv

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確かに『プレミアム・ジュエル』レベルの優秀なアンドロイドが犯罪組織に居た場合、連盟としては許すわけにはいかないが『便利に使える手足』ならばむしろ有益だ。自分たちへ被害を及ぼさないように、さらには経済的損失も青龍組に保証させれば連盟にとって都合がいい。 #uminv

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その指摘に直矢と蒼は深く頷いた。ただ400字詰め原稿用紙2枚を、しかも転送装置で職員室の前まで来ることを許可されているのに、女性候補生それぞれに2~3名の刀剣男士が護衛についているのだ。職員室が混雑するのも当然である。そして混雑の理由はそれ以外にもう一つあった。 #uminv

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「―――連盟からの最後の条件は『必要に応じて連盟の闇の部分の仕事を請け負う』ことだ。今回の件で連盟は味をしめたんだろう。紅椿がこちら側に居れば、自分たちは手を汚すこと無く、低予算で汚れ仕事を押し付けることが出来ると。なお拒否すれば容赦なく青龍組及び関連企業を潰すとのことだ」 #uminv

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と、職員室のドアを開けたらそこはクラスメイトと護衛の刀剣男士らで渋滞していた。 「な、何でレポート出すだけなのにこんなに混んでるんですか、先生!」 蒼の叫びに気がついた担任の蒔田は苦笑いを浮かべ、首を横に振る。 「『護衛』らが過保護すぎるんだよ」 #uminv

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「ああ。ひとつは『プレミアム・ジュエルの『窃盗』は許せないが正当な『対価』を支払うなら所持権利を許すということ。2つ目は連盟や各国政府、企業へのハッキングに使用しないこと。最後の3つ目は…」 ボスの言葉にその場にいる全員が固唾を飲み、その口許を凝視した。 #uminv

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2年生になってそれもようやく落ち着いてきたが、恋愛関係などを匂わせでもしたらとんでもないことになるだろう。実際、咲耶が演練で男性審神者に語りかけられた時の刀剣男士らの威嚇は尋常ではなかった。 「ま、今日は殆どが転送装置で来ているだろうから護衛はいないよね」 #uminv

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「今まで向こうは『プレミアム・ジュエルを返還せよ』の一点張りだったんだが、幾つかの条件付きながらこちらに置いていても構わないと言い出し始めている」 「それ、どういうこと?そもそも条件って一体なに?」 ボスの言っている意味が理解できず、シザーズが小首を傾げる。 #uminv

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蒼のボヤキに直矢も深く頷いた。研修所に入りたての頃、どの女性候補生にも3人以上の刀剣男士―――親が娘の護衛に付けた、特に体格の良い刀剣男士―――が付いていた。休み時間に話しかけるのは勿論NG、授業で必要なディスカッション時でさえ睨みつけることが多々あった。 #uminv

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その顔は今にも泣き出しそうな、しかしそれを必死に堪えている表情だった。 「あたし、やだよ。紅椿とお別れなんて」 「ああ、その件だが…今現在は交渉停止中、とだけ言っておこうか。ちょっと流れが変わって来ていてな」 ボスは眉間にシワを寄せながら皆をぐるりと見回した。 #uminv

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直矢達も初期刀の護衛は付いているものの、そこまで近くにピッタリと、というわけではない。むしろ何かあったとき彼らが思い切り刀を振るえるよう2,3m程の間隔はいつも空けている。だが女性となるとそうは行かないらしい。 「セクハラ防止の刀剣男士バリアはハンパねぇもんな」 #uminv

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直矢達が研修所に到着したのはちょうど午前9時だった。門を警護している守衛に学生証を提示し、中に入れてもらう。 「あれ、職員室の方が賑やかだね。もう誰か来ているのかな」 「つ~か、多分移動装置使ってる組の方が断然早く到着するでしょ」 「確かに。女の子の徒歩は危ないもんね」 #uminv

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晴嵐の言葉に紅椿も頷いた。 「そりゃこの短期間にここまで続けばね…で、どうするの?このまま逃がしちゃう?それとも…」 「こいつも『始末』しておいて。表舞台から身を引いても『院政』で首相を操るだろうからね。裏に隠れる分、更に厄介になる」 「りょーかい!」 #uminv

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そんな他愛もない会話をしているうちに研修所の開門の時間が近づいて来た。 「そろそろ行こうか」 「うん。そうだね」 直矢と蒼は着替えてから荷物をまとめ、研修所へ向かって歩き始めた。 #uminv

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「あれ?この辞任する総務大臣って『ターゲット』の一人じゃなかったっけ?」 シザースの一言にその場に居た全員が彼女が手にしていた端末を覗き込む。 「ああ、そうだね。この男は最後の1人だ。流石に戦争賛成派が次々に亡くなっているんで何かを察したんだろう」 #uminv

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「まぁ確かに…目玉のおやじだって妖怪だし」 「目玉のおやじって…あの古文で出たやつ?」 「うん。20世紀漫画で取り上げられていたあれ。21世紀じゃ漫画やアニメだったのが今じゃ古典文学だもんな~。不思議な感じだけど、それが『歴史』ってもんなんでしょ」 #uminv

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その後、紅椿やシザーズのチームによる『仕事』は密やかに、しかし着実に進められた。病死を装った毒殺に事故、そしてわかりやすく銃による暗殺など多種多様だったが、太陽系連盟からの依頼を着実にこなし、とうとう残りあと一人となる。そんなある日、紅椿は思わぬニュース速報に出くわした。 #uminv

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「あ、俺もそれは聞きたい。あれマジ気持ち悪かったもんな。まだ伏し目がちでそこまで開いていなかったけど、あれ開いてくんのかな」 「だとしたらキショくない?目玉だけでこっち側を覗き込んでるみたいでさ」 「つ~か、目玉だけのヤツなんて大概バケモンだろ」 #uminv

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他所の国での『仕事』がここまでうまくいくとは限らないが、やらなければ自分たちが潰される。全てを成功させ、戦争を終わらせなければ―――仕事の打ち合わせをする紅椿の横顔は、冷徹な暗殺者のものだった。 #uminv

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映像での戦いぶりの凄さは理解できたが、時折出てくる専門用語はまだ研修所で習っていないものも多く、細かなところはあやふやだった。研修所に居られる時間は短いが少しでも聞いておきたい。 「あとさ、上空のでかい雲の中に目玉みたいなもんあったじゃん?あれも聞いておきたい」 #uminv

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「まだまだ俺達の仕事も始まったばかりだ。だが、全ての『ターゲット』を3ヶ月以内に始末すれば、1年で戦争が終わる可能性が98%まで高まる」 更にテティナイトの輸出が始まれば経済活動も活発になり、景気も更に良くなるだろう。 「今回みたいにすんなり行けばいいけどね」 #uminv

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「先生たちも昨日の中継見てたかな?だったらあの戦いぶりの解説を聞きたいんだけど…番組の説明、難しくなかった?」 「あ、それな。俺も正直半分くらいしか解らなかったから聞いておこうかと思って。メモも持って行くつもり」 と、蒼はレポートに入れられなかったメモの束を直矢に見せる。 #uminv

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シザーズが憤懣やる方ないといった表情を浮かべる。 「ま、どのみち一番厄介な『事実上のリーダー』を破壊することには成功したんだ。L国に関してはしばらく放っておいて大丈夫だろう。それにまだ同盟国の戦争推進派3名の暗殺が残っている」 「…和平交渉までの道のりは長そうね」 #uminv

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何せ古式ゆかしい『原稿用紙』で書いたものだ。電子文書ならクリックひとつで送信できるが、これはわざわざ持っていかねばならない。時の政府から『8:50から9:00まで』との条件付きで瞬間移動装置の使用を許されている研修生だが、蒼の家から研修所まで徒歩10分、歩いていくほうが早い。 #uminv

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「あそこは元々首相派と軍総司令官との仲が極めて悪くて、副首相だった『ターゲット』が仲介…じゃねぇな、無理やり押さえつけて政府としての体裁を保っていたから。もし、俺達の計画を手に入れていたとしても、『邪魔者を消してもらえる』と黙っていた可能性もある」 「ひどいね、人間って」 #uminv

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審神者側が歴史修正主義者の大群をほぼ壊滅状態にまで追い込んだのは午前4時半だった。日の出までまだ時間があるが、ほぼ一文字則宗の見立て通りだったと言えるだろう。 「ふぇ~っ、何とかまとめられたぁ…蒼、そっちは?」 「俺も辛うじて。あとは9時までに持ってきゃ良いんだよな?」 #uminv

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