本国政府はアイアンサイドの介入に気づかないまま事態の推移を見守り、すぐに失望した。ペルシアの新政府は権力掌握の5日後に英国ペルシア協定を破棄、組閣後初の条約として革命ロシアとの条約締結に動いた。レザ・ハーンは4年後には自ら王位に就て新王朝を開くこととなる #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

1921年2月15日に国王と面会したアイアンサイドはレザ・ハーンを権力ある地位につけるよう説得したが果たせず、同月21日には3000の兵を率いてテヘランに入城したレザ・ハーンは自ら総司令官の地位についた。アイアンサイドの動きはその後長らく誰にも(英本国にも)知られなかった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

そこで師団長スタロッセルスキーを更迭したアイアンサイドが選んだのがペルシア人の大佐レザ・ハーンで、アイアンサイドに「現在英国が援助しているペルシア国王アフメド・シャーに退位を強いないならクーデターを起こしても可」と言われたレザ・ハーンはこれを了承した #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

この師団の師団長（と将校・下士官の一部）はロシア人だった（一般兵士と将校の多くはペルシア人）がロシア革命後は英国の資金を貰いつつも英国の指図には従わずに反革命派の立場での「ロシアの国益」を唱えてギーラーン・ソヴィエト軍と交戦、しかし敗北続きとなっていた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

そこに英軍の新司令官として着任したアイアンサイド将軍はペルシア政府が自立出来るようにした上で英露両国ともに撤兵すべきと考え、その道具として1879年にロシア帝国がペルシア国王の近衛兵として組織していた「ペルシア・コサック師団」に着目した #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

この「ギーラーン・ソヴィエト共和国」は革命ロシアとは無関係で赤軍艦隊による攻撃も現場が勝手にやったこととされた。何にせよ「ロシア・共産主義からペルシアを守る」という建前を守れなかった英国では陸軍省がペルシアからの全部隊撤収を要求、カーゾンの責任が追及された #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

英国ペルシア協定が批准されないまま迎えた1920年5月、ロシア国内戦に敗れてカスピ海のペルシア領の港町エンゼリーに逃げ込んでいた白軍の小艦隊が赤軍艦隊の奇襲を受けた。同地に駐留していた英軍の小部隊は白軍小艦隊を赤軍に引き渡して撤収、同地には赤色政権が成立した #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

その間に革命ロシアが帝政時代にペルシアに有していた権利・債権を放棄していた。現実には当時の革命ロシアにはそれらの権利を行使し得る能力がなかっただけ(なので放棄しても損にはならない)とも言えるのだが、それでもこの措置との対比でカーゾンの要求の過酷さを際立たせた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

当時テヘランに存在した定期刊行物26中25が協定を糾弾、しかも両国政府とも協定調印後に気付いたのだが、ペルシア憲法によれば協定類は「国民議会」での批准を必要とした。1915年以降開かれていなかった国民議会の召集はしかしその独走を恐れたペルシア政府に先延ばしされた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

カーゾンによればこの英国ペルシア協定はペルシア独立の土台を築くものであってペルシア国民はロシアの拡張主義を防ぐためこれを歓迎すると信じていたが、ロシアが革命の混乱で後退したことでペルシアを脅かす国は英国のみとなっていたことには思い及ばず、世論の総反発を被る #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

しかしこの隊は反乱.脱走が相次いで戦力に疑問符がついたためカーゾンはペルシア政府閣僚達への賄賂と引き換えに1919年8月、英人行政官による鉄道建設や英人専門家による国家財政再編、それらのための資金貸与とその返済のため英人が関税徴収監督にあたるとの協定を取り結んだ #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

ただし中東の英国軍はチャーチルの経費削減策に追われて片端から撤収しており、その中でカーゾンが英国政府内での政策決定を握っていたペルシアにも小規模な部隊4つを置くのみで、うち1つは英人将校が地元民兵士を指揮する「南ペルシア・ライフル銃兵団」であった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

WW1終結時の英国では他の地域の問題に多忙を極めるロイド・ジョージに代わってカーゾン外相がペルシアに強い関心を示していた。カーゾンは前世紀から中東でのロシアへの盾として構想していた「ムスリム国家の連結体」を革命の混乱でロシアが後退した今こそ実現しようと提案した #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

その張本人として噂されたのはエンヴェル・パシャ、ムスタファ・ケマル、ファイサル、ドイツ、ユダヤ、ボリシェヴィキ等であったが、そのうちボリシェヴィキは確かに中東で英国を脅かす機会を窺っていて、ペルシアで圧力をかけることでイラクの叛乱を成功させ得ると考えていた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

このイラク叛乱に対してはインドから増援部隊と補給品が大量に投入され、本国の新聞に浪費を叩かれつつ2千の死傷者を出して1921年2月までかけて鎮圧した。英本国では中東各地でこう次々に騒乱が起こるのは中東以外のどこかにその張本人がいるからだろうと考える者が多くいた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

1919年から翌年初夏にかけて英国軍人.行政官の暗殺や砂漠でのアラブ人ゲリラの蠢動が続いていたが、1920年6月に恐らく徴税への不満から様々な部族が一斉蜂起した。ベルはその原因を民族主義者の扇動に求めたがウィルソンは民族主義でなく部族民の無政府主義のせいと考えた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

1920年6月にベルと面談したバグダードの大物アラブ人政治家は、大戦中にこの地を占領してから3年以上英国は独立政府を作ると口で言うばかりで何もしてないと非難した。それでいて駐留軍部隊は危険なまでに削減されていたが、ウィルソンはともかくベルはさほど気に留めなかった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

更にバグダードの商業生活は大規模なユダヤ社会に支配され、モスル周辺のネストリウス派を含む相当規模のキリスト教徒もいた。ウィルソンによるとイラク住民の75%は部族民で政府に服従する習慣がなく、ベル曰く地方の実力者はアラブ人政府にすら反対と思われた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

まずバスラ.バグダード.モスルの3州が纏まった単一国家になり得るとは信じ難く、それでも戦略的要地で油田のあるモスルはイラクに含める必要は認めるが同地は本来クルディスタンの一部である筈でクルドがアラブの支配を認めないと思われ、スンナ派とシーア派の対立も問題だった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

本国内閣から「どんな国家or政府が樹立されるかをメソポタミア住民に尋ねるよう」と指示されたウィルソンはそれを確認する術がないと返答した。曰くイラク(というアラブの呼称が使われるようになってきていた)四分五裂していて一つに纏まることはないのである #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

英国当局にとって民族自決を唱えるのは野心に燃える怪しげな策謀家であって、連合国首脳がウィルソン流のプロパガンダを捨てさえすればそんなものは鳴りを潜める筈だった。メソポタミア現地の暫定行政権は行政弁務官アーノルド・ウィルソン大尉とその補佐のベルの手中にあった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

ところでダマスカスの民族主義者にはメソポタミア出身の元オスマン軍人が多くて英国に対する脅威になり得る存在だったがメソポタミア現地の英国当局は組織的な民族主義運動よりも現地住民グループ間の緊張やクルド、ベドウィン等の無法集団の方が厄介な問題だと考えていた #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

だが今回の暴動はチャーチルをはじめとする本国の政治家達にもパレスチナ統治とシオニズム事業がアラブとの摩擦を引き起こし多額の予算を計上することへの危惧を抱かせた。同時期にはイラクでも大規模な反乱が発生、もはや中東完全撤退もあり得ると考える英国人も多くなった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

これを受けた英本国政府はパレスチナにそれまで敷いていた軍政を民政に移行、新高等弁務官として自由党のユダヤ人で英国の支援によるパレスチナにおけるユダヤの郷土創設を最初に提案した閣僚でもあったサミュエルを任命した #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

英国当局は暴徒のアラブ人のうち数名に重刑を言い渡す程度だったかジャボティンスキーとその仲間は非公開軍事法廷で非合法の武器配布という罪状で懲役15年に処した。これへの不満の声に押された英本国政府が実施した調査では現地英軍当局が暴動を勢いづけていたことが判明する #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

ジャボティンスキーは英国当局に警備の委託と武器支給を要請して断られたためエルサレム旧市街のアルメニア人武器商人から武器を調達した。1920年4月4日に噂通りに反ユダヤ暴動が発生して死傷者数百名が出たがジャボティンスキーの自警団が警備していた地区は犠牲無しとなった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

1919年末〜翌年初頭にはベドウィンやアラブ人匪賊がユダヤ人村を襲撃する事件が発生、春になったらエルサレムで暴動が起きるとの噂が流れた。そこで大戦中に英軍所属のユダヤ人部隊を組織したジャボティンスキーがシオニスト指導部の同意の上で自警団の編成に着手する #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

パレスチナ・アラブもその全部が反シオニズムで纏まっていた訳ではなく、親ファイサルもいれば反ファイサルもいたし、親英国派、親フランス派もいた。代表的名望家としてはエルサレムのアル・アサイニ家とアル・ナシャシビ家がいて、1920年頃は前者は反英、後者は親英だった #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

実際にパレスチナのアラブ人達は声高に反シオニズムを唱えており、パレスチナの英人行政官の多くはアラブ人に共感を寄せて本国政府のシオニズム政策への不満をたぎらせた。シオニスト側はアラブ人との協力を強調し、未使用の土地を買って開墾するだけだと力説した #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…

英国はトランスヨルダンには少数の行政官を送っただけで軍部隊は配さなかった。それではフランス軍の侵攻があった場合に対処不能であり、特にフランスが反シオニズムを掲げてトランスヨルダンを含む全パレスチナのアラブを味方につけてしまう可能性が危惧されるようになる #平和を破滅させた和平 x.com/senator_gs/sta…