明治の皇室典範第1条　大日本國皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ繼承ス

皇室典範第１条　皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

皇室の血統原理とは正統性そのもの。男系の血筋を崩して正統性の失われた皇室というのは、この先相当危ないことになるだろう。親子で連続しているうちはいいが、それが途絶えたときに、一気に危機が訪れるだろう。男系継承は親子でつながらなくても問題ない安定した方法。

西洋の王室はここ最近どこも長子継承に変更したが、血統原理を放棄した王室というのは、世界史的に未経験のこと。これからどうなるかわからない。長子で継承できているうちはいいが、傍系から王を出すときにかなり危なくなるだろう。皇室・王室と血統原理の関係について甘く見ないほうがいい。

好き好んで皇族になりたい人なんていない。皇族子孫が皇室に戻る場合、お願いされて承諾する話。それを門地による差別なんてありえない。お願いされたのを引き受けるだけ。ものごとをまったくわかっていない人がそういうことを言う。

皇位がおよそ二千年、男系でつながるというのは世界史的には奇跡。海外の人はその事実を知ると驚愕する。一つの王朝が二千年続くことも奇跡だし、男系でつながっているのも奇跡。わざわざこれを断絶しようとする人は、何らかの意図があると思いたくなる。

日本人は時間を大切にする。だから老舗を重宝する。老舗とは看板に時間が加わること。ぽっと出の成り上がりより、代々続く名家のほうが信用される。時間が加わるとは時代の取捨選択に耐えてきたといういこと。皇位の男系継承は時間そのもの。日本人がこれを断ち切るなど絶対にあってはならない。

武士も最初は単なる用心棒だった。それが政治を行い、時間が経てば名門になる。時間とは用心棒を名門にする力がある。日本国と同時に天皇がはじまり、その位は男系の血筋で受け継がれてきた。これが天皇の正統性で、その血筋をこの現代で消し去ろうとするのが女系天皇賛成論。あり得んだろう。

天皇にとって何より大事なのは正統性。正統性とは一時代ではつくれない。時間をかけてつくられるもの。時間を大事にするのが皇室。初代天皇から二千年も続く血のつながりを、消してしまうなど、そんな発想は正統性を重んじる考え方にはあり得ない。

天皇の血筋とは、初代天皇と現在の天皇がつながっているということ。父だけでつながるのが男系の血統。父や母が入り混じっていれば、一般国民とほとんど変わらない。血統とは特別だから意味がある。要するに女系天皇とは、歴史的に血統でつながる天皇から、血統という特別を消してしまうということ。

旧皇族の子孫が将来天皇になれば、天皇の系図に天皇ではない人物がずらっと並ぶと高森明勅氏は問題視するが、その理屈で言えば、女系継承したときから天皇の系図から歴代天皇が全員いなくなる。新しい天皇が始まるということ。

血統はつながっているか、いないか。血縁は近いか、遠いか。血縁だけで行くと近い人がいなくなったらどうにもならない。血統はつながっている人であれば離れていても大丈夫。いざとなれば探すこともできる。天皇を血縁だけでやっていくのは危ない。血統を守ることが天皇を守ることにつながる。