弟子の #魏越(ぎえつ)が遊説に旅立つにあたって、聞いた。 「今後、行き先ざきで君主に会うことになりますが、そのさい、まず第一に何を説いたがよいでしょうか」 #墨子 はこたえた。 「その国がどんな問題に直面しているかを見抜くことだ。【2】

#子墨子、#魏越(ぎえつ)を游(あそ)ばしむ。曰く、「すでに四方の君子を見るを得ば、何をか先ず語らん」。子墨子曰く、「およそ国に入らば、必ず務めを択びて事に従う。国家昏乱なれば、これに #尚賢･#尚同 を語る。国家貧なれば、これに #節用･#節葬 を語る。【2】

#子墨子 游 #魏越。曰、既得見四方之君子、則何将先語。子墨子曰、凡入国、必択務而従事焉。国家昏乱、則語之 #尚賢 #尚同。国家貧、則語之 #節用 #節葬。国家憙音湛湎、則語之 #非楽 #非命。国家淫僻無礼、則語之 #尊天 #事鬼。国家務奪浸凌、即語之 #兼愛 #非攻。故曰、択務而従事焉。【1】

#子墨子 が弟子の #魏越(ぎえつ)を遊説に出かけさせた。魏越が、「各地の君子に会うことができれば、まず何を話したものでしょうか」と問うた。子墨子は次のように答えた。「国にはいれば、その国の急務をえらんで説くことが必要だ。国家が乱れておれば #尚賢･#尚同 を話す。【1】

#子墨子、#魏越(ぎえつ)を游ばしむ、魏越曰く、旣に四方の君子を見るを得ば、則ち將に何をか先づ語るべき。子墨子曰く、凡そ國に入れば、必ず務を擇[択;えら]んで事に從う。國家昏亂なれば則ち之に #尚賢尚同 を語る。【1】