美容学校時代の友人達と、ようやく休みが重なった日。乗り込んだ循環線は、平日の昼前だというのにずいぶん混んでいた。大半は疲れた顔の、外回りのサラリーマン達で、自分の隣に立つ人も例に漏れずだった。暗く澱む、つらそうな隈を横目に見ていると、突然視界からその人が消えて、思わず手が伸びた。

客先へ向かう混んだ電車の中で、急に息苦しくなって力が抜ける。吊り革から手が離れる瞬間、隣にいた青年が俺の身体を支えてくれた。青年のプラチナブロンドの髪が揺れたのを見て、金色の絹糸のようだと咄嗟に思うのは、服に興味がなかった俺が、すっかり服飾業界に染まってしまったせいなんだろうか。

自分だけに向けてピアノと歌を贈って欲しい…というのが秋葉からの誕生日のリクエストなんだけど…改めて向き合うと、なんだかちょっと照れ臭い。 「…ふふっ」 ああもう、心の底から楽しみって感じで笑って…仕方ないなぁ。 「…じゃ、はじめるね」 ──心の底から、あなたの新たな始まりを祝おう。 pic.x.com/xysfn2swtf

「えへへ…ありがとうございます！」 いや喜んでもらえて嬉しいけど…あれで良かったの？ プレゼントにとクレープ作りに挑戦したものの、失敗続き… 辛うじて形になったものが、秋葉の手の中にあった。 「わたしの為に、プロデューサーが作ってくれたのが…嬉しいんですよ♪」 満面の笑みで、ぱくり。 pic.x.com/4izekvpbre

プレゼントは小さな瓶の香水。手に軽くつけてみると、初めて嗅ぐけど、とっても素敵な香り。 「テスター嗅いだとき、秋葉の笑顔のイメージが浮かんだんだ」 …だって。 なんかズルいなぁって思ったから、えいってプロデューサーの手に、自分の手を擦り付ける。 えへへ…わたしの匂い、お裾分けです！ pic.x.com/npsug5gxtn

今日誕生日の秋葉のリクエストで買い物…はいいのだが。 「ほら、次あっちのお店！」 店をはしごして、僕は大量の荷物を抱えるハメに… 「えへへ〜、一度やってみたかったんですよね。男の人に荷物持ってもらって買い物デート！」 発想がバブルのそれ… 「今度は靴見に行きますよ〜」 まだ買うの！？ pic.x.com/jowkefmkyo

…で、秋葉がいつの間にか焼く側に回ってると。 「なんか楽しくなっちゃって…」 まぁ主賓が楽しければいいんだけども。 「はいっ、ちょうど焼けたんでプロデューサーにも。とっておきのバターシュガーです！」 どれどれ…おっ、美味しいな！ 「えへへ…その笑顔が、何よりの誕生日プレゼントです♪」 pic.x.com/0oz2yuzehg x.com/tokimekiidol57…

フラニーからのプレゼントは、彼女がチョイスしたコスメの詰め合わせ。メイク初心者の秋葉に向けた一揃いだ。 「うわぁ嬉しい！ありがと～！」 「割と独断で選んでるから、気に入らなかったら言ってね？」 「ううん、みんないい色！ちょっとメイクしてくる！」 手伝うわよ、と笑いながら鏡に向かって。 pic.x.com/7ml3xub7z6