なお、#白公の乱 の謀(はかりごと)を推し進めた #石乞 は、穀物倉庫を焼き、捕えた #惠王 を殺すように #白公 を促した。 しかし、白公は、こう言って拒んだという。 「それはまずい。王を殺害するのは不祥だし、倉庫を焼き払えば、穀物が底をついてしまう。そうなれば、どうやって城を守る気だ」【1】

「#春秋左氏伝」によると、#白公 の兵、#昭王(太子 #健 の弟)の子、#惠王 の王宮に逼(せま)り、惠王、僅(わずか)に #昭夫人(昭王の夫人)の宮に逃れて免(まぬが)れることを獲(え)たり、とある。令尹 #子西(しせい)と司馬 #子期(しき)も殺害され、楚の王室は大きな禍(わざわい)に遭(あ)ったという。【2】

#非儒篇 には、【白公之謀】にある。#白公 は #楚の太子、#健 の子なり名を #勝 と曰う。健は讒(ざん)を蒙(こうむ)りて死す。勝奔(はし)りて #呉 に在り。後 #楚人 召還して #白邑(楚の地)に居らしめ、白公と謂う。白公は父の讒死を憤(いきどお)り、遂に兵を挙げて乱を作すも、軍敗れて縊死す。【1】

【白公之禍】#白公 その人について令尹 #子西 は、「信にして勇を好み、不利とならず」とほめ、#葉公 でさえ、「言を復(ふ)むを好みて勇士を求む、ほとんど私あるか」と述べている。#郭沫若(かくまつじゃく)はこの点をとらえて、白公を当時の民意を代表した新興勢力とみなし、高く評価している。【2】

此の篇では、#王子閭 の事に就いて論じ、仁者は必ず智あり、徒(いたずら)に公平潔白のみを以て仁となすべきでないと言う。 【執王子閭】『#左伝』#哀公 十六年の伝に「#白公 欲以 #子閭 為王。子閭不可。遂刧以兵」とあり、#杜注(#杜預 の注釈『#春秋経伝集解』)に「子閭 #平王 子 #啓」という。【1】

#楚王 に失政があると思ったら、進んで王位を譲り受けて、国を治めるべきではなかったか。また、#白公 が義をふみにじったのであれば、みずから王位を譲り受けて、白公の叛逆(はんぎゃく)を誅(ちゅう)すべきではなかったか。だから、#王子閭 の態度は、まだ仁ではない、というのだ」【2】

弟子の #孟山(もうざん)が、#楚 の #王子閭(おうしりょ)を称賛していった。 「むかし、#白公(楚の公子、名は勝)が、楚で叛乱(はんらん)を起こしたときのこと。かれは王子閭を捕えると、胸元に白刃を突きつけて、こう迫りました。 『王位に即いていただきたい。さもなければ、いのちを頂くまでだ』【1】

#子墨子 曰く、「難(かた)きはすなわち難し。然れどもいまだ仁ならず。もし王をもって無道となさば、何の故に受けて治めざるか。もし #白公 をもって不義となさば、何の故に王を受けて、白公の王に反(そむ)くを誅(ちゅう)せざるか。故に曰く、難きはすなわち難し。然れどもいまだ仁ならず、と」。【2】

#孟山(もうざん)、#王子閭(おうしりょ)を誉(ほ)めて曰く、「昔、#白公(はくこう)の禍(わざわ)いに、王子閭を執(とら)えて、斧鉞(ふえつ)を腰に鉤(こう)し、直兵を心(むね)に当てて、これに謂(い)いて曰く、王たらば生き、王たらざれば死(ころ)さん、と。【2】

#孟山 誉 #王子閭 曰、昔 #白公 之禍、執王子閭、斧鉞鉤腰、直兵当心、謂之曰、為王則生、不為王則死。【1】