#石乞 は、#白公 に #楚王 を殺すことをすすめた。しかし、白公は聞きいれず、その結果、#恵王 に逃げられ、ついに一敗地にまみれて、山に奔(はし)って首をくくった。石乞は、白公の死後いけどりにされ、白公の死に場所を言わなかったために、かまゆでの刑にあったといわれる。【2】

＜#白公の乱＞ #白公 の叛乱は、#魯 の #哀公 十六年七月に起きており、#孔子 は、同年４月に没したとされている。『#春秋左氏伝』によれば、白公は、七月に兵を挙げ、#令尹子西(れいいんしせい)と #司馬子期(しばしき)とを殺し、同時に #楚 の #恵王 をつかまえた。【1】

そこで #白公 は、剛力の士 #石乞(せきこつ)とともに、#子西 を朝廷におそって殺した。同時に #楚 の #恵王 を幽閉して、王座をうばおうとしたが、このクーデター{#白公の乱}は一カ月余で失敗し、恵王の臣下に殺されてしまった。#魯 の #哀公 十六年(前四七八年)のことである。【2】

＜#白公＞　#楚 の #平王 の #太子健(けん)の子で、名は #勝。 白公は、#鄭 に亡命していた父親が鄭に殺されたため、楚の令尹(れいいん;大臣)#子西(しせい)に招かれて楚にきていた。かれは、鄭を伐って親の仇をむくいたいと思い、子西に協力を頼んだが、子西はこれを無視した。【1】

【若以白公爲不義何故不受王誅白公然而反王】とは、 若し #白公 にして無道ならば、#子閭 たる者、一時王の位を受けて其の權[権]により白公を誅(ちゅう)し、然る後に其の王位を返すも遅しとせざるを云う。【2】

【遂死而不爲】遂の下に、死字を補う。#王子閭 は節を守り、遂に殺されても王とならざるを云う。若し #畢沅{#清 の学者}の説の如く[死]を省けば、[遂]を[亡]と訓ず。 【何故不受而治也】とは、#白公 のために殺された王、卽ち #子閭 の父が無道ならば、之に代りて其の國を治むること可なり。【1】

【斧鉞鉤要】とは、斧鉞(ふえつ)を以て要{腰}を曲げさせること。 【直兵當心】は劍(けん)や矛(ほこ)の如き、真直(まっす)ぐな兵器を、心{胸}にあてること。 卽ち #白公 が #平王 を弑(しい)し、其の子の #王子閭 を擁立(ようりつ)せんと欲して、之を脅迫(きょうはく)したことを云う。【2】

もし #白公 が不義というなら、どうして王位を受けて白公を誅し、そのあとで位を王にかえさないのか。なるほど困難であるが、それをしないようでは、まだ仁者とはいえない」【1】

弟子の #孟山(もうざん)が #楚 の #王子閭(りょ)(#平王 の子)をほめていった。「昔、#白公 が乱を起こしたとき、王子閭を捕え、斧鉞(まさかり)を腰にあてがい、剣を胸につきつけ、王になれば生かしておくし、王にならなければ殺すといった。【2】

#子墨子 曰く、難きは則ち難し、然れども未だ仁ならず。若し王を以て無道なりとせば、則ち何が故に受けて治めざるや、若し #白公 を以て不義なりとせば、何が故に王を受けて白公を誅し、然して王を反(かえ)さざるや。故に曰く難きは則ち難し、然れども未だ仁ならずと。【1】

#孟山(もうざん)、#王子閭(おうしりょ)を譽(ほ)めて曰く、昔 #白公(#楚公子 の白公 #勝)の禍(か)に、王子閭を執(とら)えて、斧鉞(ふえつ)を要(腰;こし)に鉤(こう)し、直兵{劍矛}を心(胸;むね)に當[当]てて之(これ)に謂(い)って曰く、王と爲らば則ち生きん、王と爲らずんば則ち死せんと。【1】